( 256849 )  2025/01/29 04:14:09  
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東福岡高校サッカー部の2年生であるA君は、サッカーを純粋に楽しみたいと思っているが、部内でのトラブルが起こり、指導者との間に軋轢が生じている。

A君は部員数の多さや指導の違いに不満を持ち、他大学のサッカー部にも参加したいと考えたが、その行動が問題視され、活動停止処分を受ける。

さらに、体調不良を訴えてクリニックで身体化障害と診断された。

指導者や学校側はパワハラの疑いを否定しているが、A君は名門サッカー部での活動を続けることを切望している。

(要約)

( 256851 )  2025/01/29 04:14:09  
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「僕は純粋にサッカーがしたいだけなのに……」 

 

 口惜しさを噛みしめるように語るのは、東福岡高校サッカー部2年生のA君。日本代表も輩出した名門校に、異変が起きている。 

 

◆◆◆ 

 

東福岡高校OBの長友佑都 

 

 1月13日に閉幕した第103回全国高校サッカー選手権。9大会ぶりに4強入りを果たしたのが、福岡県代表の東福岡高校だ。 

 

「1997年に公式戦無敗で史上初の高校3冠を達成。“赤い彗星”の異名を持ち、OBには本山雅志(元鹿島アントラーズ)や長友佑都(FC東京)、毎熊晟矢(オランダ・AZアルクマール)など日本代表も多数います」(スポーツ紙記者) 

 

 過去に不祥事もあった。 

 

「2023年、志波芳則総監督が寮内で規則を守らなかった部員の頬を平手で叩いたとして辞任。再建に向けて新監督に就任したのが、同部OBの平岡道浩氏(47)でした」(同前) 

 

 そこへ新たな火種が――。冒頭のA君が語る。 

 

「ウチの部は部員数が多く、手厚く指導を受けるのは試合に出るトップチームがメイン。下部の部員は自分たちで練習メニューを考えないといけません。僕はもっと上達したいと思い、昨年9月、福岡大学のサッカー部に『外部の人間でも練習に参加できるか』と問い合わせのメールを送りました。すると翌月に平岡監督から父親同伴で呼び出されて、福大にメールを送ったことを理由に『サッカー部を誹謗中傷している』と詰め寄られたのです。普段の生活態度も注意されました」 

 

 小誌もこのメールを確認したが、部を誹謗中傷するような文言は見当たらない。だが平岡監督は、1枚の紙を持ち出した。 

 

「この場で“誓約書”にサインするよう言われたのです」(同前) 

 

 誓約書には〈本校サッカー部の一員として顧問やスタッフの指導に従います〉〈指導に従わない場合は、部活動停止等の訓告に従うことを了承いたします〉などと記されていた。 

 

「仕方なく父親とともに署名捺印しましたが、意に沿わない行動をしたら誓約書で黙らせようとするのは、パワハラ行為だと感じました」(同前) 

 

 

 誓約書騒動から3週間後の10月28日。A君が寮の風呂場でサッカー部の同級生に髪を引っ張られて言い合いになり、転倒して右肘と後頭部を強打。すると11月2日、再び平岡監督から呼び出しがあった。 

 

「無期限の部活動停止を言い渡されました。確かに僕もその時、風呂場の丸椅子を叩きつけて壊してしまいましたが、相手は処分なし。せめて筋トレはしたいと頼んだのですが『自費でジムに行け』と」(同前) 

 

 その3日後には県大会の試合があった。サッカー部の応援席にいるA君を見つけた平岡監督は、 

 

「サッカー部のところで応援するな」 

 

 と告げた。 

 

 小学校からサッカーを始め、憧れの名門校の門を叩いたA君。指揮官の行為は次第に心を蝕んでいった。 

 

「血尿や難聴、不眠、蕁麻疹などの症状が表れるようになった。食事もまともに摂れず、親から寮にゼリー飲料やヨーグルトなどを差し入れてもらいました。11月26日、市内のクリニックを受診したら『身体化障害』と診断されました」(A君) 

 

 一連のトラブルをどう考えているのか。平岡監督を直撃した。 

 

――パワハラ疑惑について取材している。 

 

「えぇ、そうなんですか(笑)。学校に預けているので、学校に聞いていただけたらと思います」 

 

――誓約書に署名させた? 

 

「いや、それはまた違う話なんですよ。私たちもしっかりと話していきたい。『なんでそうなるのかな?』ってところはある」 

 

 高校に質問状を送ったところ、こう回答があった。 

 

「該当メールを理由に誓約書を提出させた事実はない。指導の必要があったため提出してもらったものであり、これがパワハラに該当するとは考えていない。(無期限活動停止については)やむを得ず指導上の措置を採ったもので、問題はないと考える。本校サッカー部においてパワハラがなされた事実はない」 

 

 A君は、名門サッカー部で活動を続けたいと切望している。 

 

「週刊文春」編集部/週刊文春 2025年1月23日号 

 

 

 
 

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