( 257126 ) 2025/01/29 16:46:33 0 00 ベストカーWeb
信号機のない横断歩道で歩行者が渡ろうとしているのに、一時停止しないクルマが多いのはなぜだろうか?ドライバーがクルマのほうが偉い、クルマのほうが優先と思っているからだろうか?それとも歩行者が遠慮しているからだろうか?なんとJAFが全国調査したところ、約半数のクルマがいまだ停まらないという。横断歩道を渡ろうとしている歩行者が優先で、一時停止しないと違反になるということを知らないのだろうか?
文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部、Adobe Stock(トビラ写真=Paylessimages@Adobe Stock)
最近、都内の道路を走行中、横断歩道を渡ろうとしている歩行者がいるのにクルマが停まらないで走り去る光景を目にする。なかには、こちら(筆者)が一時停止しているのに、反対車線のクルマが一時停止せず何食わぬ顔で通り過ぎることもある。
以前に比べると、停まるクルマが増えていると実感はするものの、それでもまだ停まらないクルマがいるのか、という感じることが多い。
では、実際はどうなのか、昨年、JAFが全国で実施した「信号機のない横断歩道における歩行者優先についての実態調査」を見ると非常に興味深い結果が出ている。
調査は、2024年8月7〜28日、各都道府県で2ヵ所、全国合計94ヵ所において、信号機が設置されていない横断歩道を通過する車両6647台を対象に実施。
そのうち、歩行者が渡ろうとしている場面で一時停止したクルマは3525台(53.0%)で過去最高となり、前年の調査時と比べて7.9ポイント増加し、41都道府県で停止率が上昇するなど、増加傾向にあることがわかった。
反面、いまだに約半数のクルマが一時停止していないということになる。
では横断歩道を渡ろうとしている歩行者がいるのに、一時停止せずにそのまま走り去っていった場合、法規ではどうなるのか?横断歩行者等妨害等違反となり、罰則は3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金、反則金は9000円(普通車)、点数は2点となる。歩行者が横断歩道前に立っていた場合でも捕まったケースがあるので要注意。
全国一時停止率を細かく見ていこう。2016年にはたった7.6%だったが、年々増加傾向にあり、2021年には36.0%、2022年39.8%、2023年45.1%、そして2024年には53.0%となった。
ここまで停止率が増えたのは、東京オリンピック&パラリンピックに向けて警察庁が全国の関連機関に向けた通達によって、各警察署の啓蒙活動によるドライバーの意識の高まり、さらには交通取締りが強化されたことが大きい。横断歩行者等妨害等違反の取締り件数は、令和5年中は約31万件で、令和元年の約1.4倍となっている。
■横断歩道における一時停止率の高い都道府県TOP5 長野県=87.0% 石川県=80.9% 岐阜県=75.2% 熊本県=74.8% 福岡県=74.3%
■横断歩道における一時停止率の低い都道府県TOP5 富山県=31.6% 北海道=34.1% 福井県=34.7% 茨城県=35.2% 和歌山県=36.2% ※東京都=38.7%、大阪府=40.4%
一時停止率が高いのはダントツ1位の長野県。なぜここまで長野県では横断歩道でのルールがしっかり守られているのか、長野県警の交通企画課の担当者によると「交通取り締まりや交通安全協会のボランティアによる街頭での活動が行われているのは他の都道府県と変わらず、特段これという要因はない」そうだ。
だが、長野では子供の集団登下校の際、横断歩道で道を渡り終えたら、クルマを止めて待っていてくれたドライバーに子供がお辞儀をする習慣があるという。「いつから始まったか調べてみてもはっきりとはわからないが、この習慣は30年以上続いているのではないか」とのこと。
つまり、長野県では、横断歩道上で歩行者とドライバーがコミュニケーションをとるという習慣が、長い時を経てしっかり根付いており、それが一時停止率の高さにつながっているようだ。
また、横断歩道でのルールやマナー向上のための動画を県警交通企画課がYouTubeにアップしたり、県と県警合同でキャッチフレーズ募集のキャンペーンを行うなど「全国に誇れる長野の交通マナー」を県民にアピールして、交通事故を減らすための努力が行われているという。
改めて正しい交通ルールを見ていきたい。横断歩道や自転車横断帯に近づいた時は、横断する人や自転車がいないことが明らかな場合のほかは、その手前で停止できるように速度を落として進まなければならない。菱型マークが道路に標示されていた場合は、横断歩道または自転車横断帯があることを示しているので気をつけよう。
歩行者や自転車が横断している時や横断しようとしている時は、横断歩道や自転車横断帯の手前(停止線がある時はその手前)で一時停止をして歩行者や自転車に道を譲らなければならない。
横断歩道や自転車横断帯やその手前で止まっているクルマがある時は、そのそばを通って前方に出る前に一時停止をしなければいけない。横断歩道や自転車横断帯とその手前から30m以内の場所では、ほかのクルマを追い越したり、追い抜きをしてはならない。
つまり、横断歩道を渡ろうとする、渡っている歩行者がいた時は必ず一時停止する。ドライバーは赤信号と同じと思って一時停止したほうがいいということだ。
横断歩道のない道路を横断している場合はどうか?横断歩道、自転車横断帯とその端から前後に5m以内の場所では、駐車も停車も禁止。ただし、赤信号や危険防止のために一時停止する場合などは別となる。
令和元年から令和5年までの過去5年間で、自動車と歩行者が衝突した交通死亡事故は4435件発生しており、約7割の3079件は歩行者が横断中の事故。
また、横断中の事故のうち、約7割の1993件が横断歩道以外の場所を横断している時に発生しており、そのうち約7割は、走行中の自動車の直前直後を横断したりするなどの法令違反があった。歩行者側もしっかり交通ルールを守ってほしいものである。
SNSで、横断歩道を渡る際に小学生が一時停止しているドライバーを見てお辞儀をして手を上げて横断しているシーンが賞賛されてバズッたことはあるが、こういった日本の美徳を末永く見たいものである。
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