( 257634 )  2025/01/30 17:10:00  
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コンビニ業界では、セブン-イレブンが苦戦しており、ローソンやファミマとの競争が激化している。

しかし、セブンにとってのライバルはコンビニだけでなく、スーパーも加わっている。

中食需要の増加やスーパーの食品専門店舗の台頭など、コンビニとスーパーの間で競争が進行している。

特にオーケーは激安価格で知られ、コンビニとの比較で優位性を示している。

一方、ロピアは「日本版コストコ」と呼ばれるほどの商品の大きさや多さで特徴付けられ、コンビニとの競争に勝る部分を持っている。

これにより、コンビニもスーパー化する動きが見られ、中食需要に対応するために新たな展開を模索している。

(要約)

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コンビニ大手3社のなかで、「一人負け」という状況のセブン。しかし、今やライバルはコンビニだけではない(写真:papa88/PIXTA) 

 

■変化が加速するコンビニ業界 

 

 筆者は最近、コンビニについての記事を書いている。コンビニは基本的に店としての「機能」がメインで、各社の特徴は横並びだった。しかし、日本全国にコンビニがいきわたり、その数が飽和している現在、コンビニにもそれぞれの「色」が生まれつつある。 

 

 例えばローソンは無印良品や薬局、本屋などとコラボをして「場所」としての魅力を追求。一方で、ファミマは「コンビニエンスウェア」という衣料品への注力を見せ、商品ラインナップの魅力向上に努めている。 

 

 対して、コンビニ業界の王者として君臨しているセブン-イレブンは不調が続く。同社はかねて食品分野を中心とする商品の「質」を高める戦略を行っていたが、2024年3〜11月期(連結)の純利益は前年同期比65%減の636億円。 

 

 海外のコンビニ事業のつまずきが大きな影響を及ぼしているが、ローソン・ファミマといった国内の他のコンビニチェーンとの争いが激化していることは間違いない。 

 

【画像18枚】セブンの真のライバル?  安くて美味しいと評判の「オーケー」の人気弁当メニューはこんな感じ 

 

 ただ、セブンにとってのライバルはこの2社だけではない。実は、ここに「スーパー」も入ってくる。 

 

 今回は、変動するコンビニ・スーパー業界とセブン-イレブンの立ち位置について考えたい。 

 

■増加する中食需要と、接近するコンビニとスーパー 

 

私は以前「セブン『高級路線で客離れ』に見る大苦戦の真因」という記事で、これまで高付加価値の商品をメインに作ってきたセブン-イレブンで現在行われている「エコだ値」「うれしい値!」という割引戦略を取り上げた。 

 

 ファミマ・ローソンが大胆な割引政策(値段はそのままで量がかなり増量されるなど)を行っているのに対し、セブンが追随するように割引戦略を行ったのだが、これについて書いた。 

 

 この記事への反応として出てきたのが 

 

 「それでもコンビニの商品は高いので、うちはスーパーで買います。スーパーのほうが安い」 

 

 といったもの。もっと具体的に、 

 

 「近所にはオーケーがあるから」 

 

 「ロピアは安くていいです」 

 

 とスーパー名を出しているコメントもあった。 

 

 

 コンビニとスーパーを比較するコメントが多かったのだ。 

 

 確かに近年、各スーパーは価格競争と共に「中食」(外で買って中で食べる食事を指す)需要に合わせて惣菜や弁当のラインナップを充実させつつある。もともと、中食はコンビニが得意としてきた商品群である。 

 

 この背景には中食需要の増加がある。リクルートが発表している「外食&中食動向」によれば、中食の市場規模は2017年度が1兆1614億円だったのに対し、2023年度は1兆4087億円で、20%の上昇を見せている。 

 

 コロナ禍を経て落ち着きつつはあるものの、共働き世帯の増加や単身世帯の増加に伴って確実にその需要は増えていると思われる。ニーズがあれば、各社それに対応するのは当然だ。 

 

 また、スーパー業界自体が総合スーパー(GMS)よりも食品専門スーパーの勢いが強いこともあり、コンビニの土俵にスーパーが入り込んできている。 

 

 誤解を恐れずいえば「スーパーのコンビニ化」ともいえる事態が進行しているのだ。 

 

■いま、一番勢いのあるオーケーはコンビニをどう迎え撃つか 

 

 特に最近、食料品で勢いのあるスーパーを見てみよう。 

 

 まずはオーケーだ。「EDLP(エブリデイ・ロー・プライス)」をモットーに特売日を設けず、徹底した安売りを行うことで知られる。地域にある価格競合店よりも安く販売する「競合店対抗値下げ」など、意欲的な試みでも人気を博している。 

 

 そんなオーケーは惣菜・弁当を激安価格で販売。中でも人気なのが、「三元豚のロースかつ重」。お値段は税抜き339円。500円以内とは驚きである。 

 

 実際に食べてみたが、カツはかなり厚く、消費者から見える部分ではコストカットの風を感じない。体感コスパがとても高いのだ。 

 

 これ以外にもお弁当棚には税抜き299円の弁当などもあり「激安弁当」として知られている。 

 

 さらにコンビニと否応なく比較してしまうのが、おにぎり。コンビニの定番商品だが、安いものではなんと税抜き70円という、まさかの2桁価格。企業努力に敬服してしまう。コンビニおにぎりが150円前後になりつつある時代、こんなにありがたいことはない。 

 

 

 また、惣菜で根強い人気なのがピザ。店内で手作りされた直径30センチほどのピザが税抜き498円という価格である。 

 

 また、1/4カットでの販売も行われており、そちらは100円台。筆者は「チェリートマトのマルゲリータ」を買ってみたが、値段はなんと税抜き129円。駄菓子の値段である。 

 

 単身者だと、ピザを1枚食べ切るのはなかなか難しいから、このカットはとても嬉しい。ただ、1/4カットでも相当でかいので、少食な人は要注意だ。 

 

 そういえば、セブン-イレブンも宅配ピザを始めることを発表していたが、こちらはマルゲリータで780円。セブンにとってはかなりの強敵だろう。 

 

 こうした意味で、コンビニ弁当・惣菜の値段や買いやすさ、量などの点で相当有利な戦いを進めているのがオーケーである。コンビニの数には負けるものの、今後さらに数を増やしていけば、少しだけ距離が遠くてもオーケーへ……という動きに十分なり得るクオリティである。 

 

■「食のテーマパーク」ロピアは、「コストコ×ドンキ×食」 

 

 オーケー以外にも、特に食品分野で名前を聞くことが多くなったのがロピアだ。神奈川県の精肉店を発祥とするスーパーで、生鮮食品のみならず惣菜・弁当にも大きく力を入れる。 

 

 中に入ってみると、目立つのは商品のPOPやディスプレイ展示。広告が何枚も上から吊るされ、そこには手書きの荒々しい宣伝文句が書かれている。「ドンキ」のようだ。 

 

 同社は「食のテーマパーク」を目指して、楽しい売り場空間の構築に注力している。 

 

 また、ロピアの特徴が「日本版コストコ」という異名を取るほどの商品の「大きさ」。 

 

 私が見ている中でも「豚切り落とし」が100g79円と激安で、なおかつ1パックのサイズがA4の紙ぐらいのサイズがあった。でかすぎる。 

 

 「ドンキ×コストコ」という、交わらなそうな2つの小売店の特徴を「食」に特化して行っているのがロピアだといえば、わかりやすい。安さ・多さ・楽しさを兼ね揃えるということで、コンビニと比べてもその強さがわかるだろう。 

 

 

 こうした特徴は、惣菜・弁当コーナーでもしっかり活かされている。それぞれの惣菜にはその見どころがびっしりと書かれ、「買ってください」といわんばかりの”圧”がある。 

 

■ピザが1枚で399円…!  

 

 オーケーと同じく、こちらにもピザが売っている。価格帯は500〜800円だが、この日は税抜き399円。セール価格でオーケーよりも安くなっていた。ロピアでは度々セールが行われていて、これも、人気の一つである。 

 

 また、コンビニとの比較でいえば、「小林さんちのおにぎり」は鮭といくらが大量に入っているインパクト抜群の見た目で税抜き298円。これ1個でお腹いっぱいになりそうだ。 

 

 他にも500円以下の弁当などが並ぶ中、筆者は「カルボナーラペンネ」を買ってみた。 

 

 税抜き555円(税込み599円)とゾロ目。しっかりと量が入っており、1つ食べるだけで相当お腹いっぱいになる。 

 

 これをコンビニ各社のカルボナーラと比べてみると、ファミマは税込み498円で少し安い。ただ、量はロピアの方がしっかり入っている印象を受ける。 

 

 ローソンは税込み599円で、完全に同じ価格。セブン-イレブンは同じような「大盛カルボナーラ」を税抜き580円で販売しており、数十円高い設定だ。 

 

 かなり近接していることがわかるが、ロピアの方は「多田工房の燻製ベーコン」と素材へのこだわりを見せている点で、分があるかもしれない。 

 

 ロピアとコンビニが近くにあったら、どちらで買うのか、かなり迷うところだろう。 

 

 いずれにしても、各スーパーの惣菜・弁当ともに対コンビニで立ち向かえる内容になっていると感じられる。 

 

■逆に「スーパー化」するコンビニ 

 

 一方で、スーパーがコンビニ化する中、コンビニの方はむしろスーパーのような展開を辿っているのだ。 

 

 例えば、今話題にしてきた中食でいえば、ローソンでは「まちかど厨房」という取り組みを行っている。これは店内厨房で作ったできたてのお弁当やおにぎりを提供するもので、全国で9000店舗を超える店舗で導入されている。 

 

 これなどは、スーパーマーケットが行う惣菜や弁当の作り方と似ている。日本のスーパーマーケットでは伝統的に店内調理が行われてきたが、それと似たことをローソンも行っているわけだ。ほぼほぼ「ミニスーパー」的な展開である。 

 

 

 
 

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