( 258881 ) 2025/02/02 05:10:44 0 00 日本の都市部では、メルセデス・ベンツ「Gクラス」を目にする機会が少なくありません。
実際、Gクラスは1000万円を大きく超える高級車であるにもかからわず、輸入車販売台数ランキングの上位にしばしばランクインしており、先日発表された2024年の外国車メーカーモデル別販売台数でも5573台と、全体の7位、輸入SUVとしては3位に入っています。
また、いわゆるクルマ好きでない人々からも「ゲレンデ」の愛称で親しまれており、もっとも知名度の高い輸入車のひとつとなっています。
では、なぜ日本人はこれほどまでにGクラスが好きなのでしょうか?
メルセデス・ベンツ新型「G450d」
それを解くカギのひとつとなるのが、日本におけるメルセデス・ベンツの立ち位置です。
日本では伝統的に「輸入車=高級車」というイメージが根強く、なかでもメルセデス・ベンツは高級車の代名詞的存在として君臨してきました。
そうしたイメージを定着させた立役者と言えるのが、輸入車販売大手のヤナセです。
1915年の創業以来、日本における輸入車ビジネスをリードしてきたヤナセは、1954年にメルセデス・ベンツの日本総代理権を獲得しています。
その後のヤナセは、単なる車両の輸入販売にとどまらず、アフターサービスを充実させたり日本市場向けの仕様変更をメーカーに提案したりすることで、日本のユーザーが安心して輸入車に乗れる環境を整備してきました。
そうした地道な努力があり、1970〜1980年代にかけて輸入車ブームが巻き起こった際に、ヤナセによって輸入されたメルセデス・ベンツが大きな信頼を勝ち取ることとなりました。
もちろん、メルセデス・ベンツ自体が優れた自動車メーカーであることは言うまでもありません。
ただ、日本においてはメルセデス・ベンツがプレミアムブランドとして強い存在感を放つようになった背景には、ヤナセの存在があることはたしかです。
その結果として、メルセデス・ベンツを代表するモデルのひとつであるGクラスも、高いブランド力を持つことになったものと考えられます。
また、1980年代後半から1990年代前半にかけての「RVブーム」も、日本でGクラスの人気が高まるきっかけになったものと思われます。
メルセデス・ベンツ新型「G450d」のインテリア。外観は昔ながらのスクエアタイプだが、内装は常に最新式にアップデートされている
バブル景気に沸く当時の日本では、スキーやキャンプといったレジャーを楽しむユーザーが増えたこともあり、RV(=レジャービークル)が空前のブームを迎えていました。
そのなかでも、トヨタ「ランドクルーザー」や三菱「パジェロ」といった、本格的な悪路走破性能を持つクロスカントリー車(クロカン)は一目置かれる存在となっていました。
一方、一部の富裕層はさらなるステータスを得るために、輸入車のクロカンを求めるようになりました。
いまでこそ、ほとんどのプレミアムブランドがSUVをラインナップしていますが、当時は数えるほどしかなく、そのひとつがGクラスでした。
軍用車ゆずりの無骨なスタイリングとメルセデス・ベンツらしい高級感という、一見相反する要素を見事に融合させたGクラスは、RVブームのなかでもひときわ目立つ存在でした。
その後、芸能人やスポーツ選手などがこぞってGクラスを愛車としたこともあり、Gクラスの人気はさらに高まることとなります。
そうした人気の高さは、リセールバリューの高さへとつながります。
また、Gクラスは古さを感じさせないタイムレスなデザインであるため、年式にかかわらず一定のリセールバリューが維持される傾向にあります
こうした好循環により、Gクラスはメルセデス・ベンツのなかでももっとも高価なモデルのひとつでありながら、もっともコストパフォーマンスに優れたモデルとなっています。
つまり、日本人がGクラスをこれほどまでに好きである背景には、メルセデス・ベンツ自体のブランド力の高さにくわえ、RVブームという追い風、そして人気の高さに裏打ちされたリセールバリューの高さがあると言えそうです。
Gクラス初のBEV、メルセデス・ベンツ新型「G580 ウィズEQテクノロジー エディション1」
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そんなGクラスですが、2024年には初のBEVモデルが登場しています。
BEVでありながらスクエアなルックスや高い悪路走破性能は健在であり、Gクラスらしさは損なわれていません。
ただ、BEVはガソリン車などに対してリセールバリューが低い傾向があるうえ、日本ではまだまだBEVのシェアが低いのが実情です。
そのような市場特性があるなかで、次世代のGクラスがどのような評価を受けるのかに注目が集まります。
Peacock Blue K.K.
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