( 259099 )  2025/02/02 16:44:54  
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海運会社の東海汽船がこの春から船の見送りに使われる紙テープの禁止を決めました。

これは海洋汚染を防ぐためです。

以前は紙テープが船体に絡んで危険な状況が発生したり、紙テープの回収が難しかったりしました。

他の港でも同様に紙テープの使用を控えるよう呼びかけています。

紙テープの起源は1915年のアメリカで始まったもので、日本の商社が商品として販売して大ヒットしたことが始まりだと言われています。

(要約)

( 259101 )  2025/02/02 16:44:54  
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船と島の人をつなぐ紙テープ ※写真はイメージ(Keisuke.W/stock.adobe.com) 

 

 「ありがとう」「元気でね」ーー船で旅立つ人と島で見送る人をつなぐ色とりどりの紙テープ。入学や就職、人事異動など、春先の港でよく見る別れのセレモニーですが、今春から紙テープの使用禁止を決めた海運会社があります。 

 

■テープは船員が回収、危険や苦労も 

 

 東京と伊豆諸島などを結ぶ「東海汽船」(本社、東京都港区)は1月29日、公式サイトに「客船出航時の紙テープを使用した見送りの取り止めについて」と題する文書を掲載。3月1日から、同社船の見送りには紙テープの使用を禁止すると発表しました。 

 

 同社は紙テープを使った見送りは長年親しまれてきた「客船ならではの見送りの風景」と理解を示す一方で、かなりの量の紙テープが海洋に流れているとして「海洋汚染防止の観点から速やかに改善を要する」と説明。「弊社船をご利用の皆様には、船の見送りの際の岸壁・本船上からの紙テープを使用した見送りの取り止めにご理解・ご協力をいただきますようお願い申し上げます」と呼びかけました。 

 

 同社担当者によると、同社は主に2つの航路を往復で運航しており、一つは東京~大島~利島~新島~式根島~神津島。もう一つは東京~三宅島~御蔵島~八丈島。 

 

 「航路の特性上、各島において離任の時期等に紙テープの見送りが親しまれておりました。紙テープには水溶性テープの使用を推奨しておりましたが、中には水に溶けないものも含まれ、長年対応に苦慮しておりました」(同社担当者) 

 

 惜別のあとに残された紙テープの回収にも苦労が。 

 

 「各島出航ごとに船員が船体に残ったテープを回収しておりました。紙テープの着色が船体各所に付着し水洗いや塗装のやり直し等の作業も発生しておりました。回収した紙テープについては、東京到着後に船内で回収した他のゴミと一緒に処分しております」(同社担当者) 

 

 ときには危険を伴う作業が発生することも。 

 

 「見送り後にちぎれたテープが船体に絡みつき、各島出航ごとに船員が立入禁止区域などのテープの撤去を行っておりましたが、撤去作業に伴う転落やケガの恐れが常にあり、安全運航確保の観点からも取り止めの決断となりました」(同社担当者) 

 

 同社では「実施日(3月1日)前におきましても、極力、紙テープのご使用をお控えいただきますようご協力の程、お願い申し上げます」としています。 

 

     ◇ 

 

 国内では岸壁での見送りを行なっていない港も。鹿児島県にある新港区奄美・沖縄フェリーターミナルでは、旅客の安全性や利便性、荷役作業の効率性の向上を考え、見送る場所は旅客ターミナル施設内のスペースに限定。紙テープに関しても「環境への配慮、船舶・荷役機械への巻き付きによる故障を未然に防ぐため、紙テープは使用しないでください」と理解を求めています。 

 

■「紙テープで別れの握手を」起源は? 

 

 別れの紙テープの起源は、1915年にアメリカ・サンフランシスコで開催されたパナマ・太平洋万国博覧会までさかのぼります。日本の商社が商品梱包用として紙テープを出品しましたが大量に売れ残ってしまいます。苦境を知った現地在住の日本人実業家が安く買い取り、大きな船が停泊する港に運んで「紙テープで最後まで別れを惜しむ握手を」と売り出したところ大ヒット。これが別れの紙テープの始まりと言われています。 

 

(まいどなニュース・金井 かおる) 

 

まいどなニュース 

 

 

 
 

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