( 259171 ) 2025/02/02 17:50:56 0 00 TOCビル
今年に入ってSNSで頻繁に聞かれるのが、〈コンクリートの建物はもう造れなくなる〉といった声だ。
コンクリートや木材、鋼板、ガラス、アルミなどの資材価格は4年ほど前と比較して、軒並み30~80%ほど値上げした。ほかにも人件費、エネルギー費の高騰が建設・建築業界を直撃している。
「ディベロッパーが土地を購入し、マンションやビルを建てるまでの期間に、価格はさらに値上がりして当初組んでいた予算がオーバーすることがたびたび起こっています。人手不足の影響で着工が先延ばしにされている間に費用はかさみ、事業収支が合わなくなる。計画見直しが余儀なくされることは少なくありません。収支が合わなくなった物件は、転売もしくは塩漬けせざるを得ない状況です」(不動産アナリスト・長谷川高氏)
実際、東京・五反田の複合施設「TOCビル」の建て替え計画の見直しをはじめ、いたるところで建設計画の中止などがされる事態となっている。
「大型プロジェクトだけでなく、自宅のリフォームや外壁塗装などの工賃が大幅に高騰する中、相見積もりを断られるケースも起こっています。だからといって業界が潤っているわけではなく、2024年3月期の連結営業損益が赤字となった清水建設といった大手でもコスト高に苦慮している状況です。特に労働人口の減少で人材がなかなか確保できず、新規受注がしづらい状況は続くはずです」(長谷川高氏)
東京の新築マンションの分譲戸数は、15年に4万戸程度だったのが、23年は2万戸程度と半減。建設費高騰に見合った価格でも販売できるのは、都心部に限られてきている。
「都市部の再開発案件はそろそろ頭打ちですが、老朽化した建物や公共施設の建て替えが増えている状況で、新たに建物を造るのが容易でない状況は続くとみられています」(長谷川高氏)
将来、コンクリート建築が造られなくなる、というのはあながち間違いではないという。もしそうなった場合、古いものを直しながら利用していくしかないのか。
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