( 259274 )  2025/02/02 19:41:39  
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元専属通訳の水原一平被告が、ドジャースの大谷翔平の口座から大金を不正に送金した罪で裁判を受けている。

水原被告は、大谷通訳としての「過酷な労働環境」と低賃金を訴え、報酬が不当であると主張している。

しかし、球界関係者や通信員はこの主張に疑問を呈し、通訳としては十分な報酬を受け取っていたと指摘している。

連邦検察も、水原被告の主張に根拠がないとして反論している。

裁判所からの量刑は2月6日に決定される予定である。

(要約)

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水原一平被告 

 

 ドジャースの大谷翔平の口座から巨額の不正送金をして銀行詐欺罪などに問われている元専属通訳の水原一平被告の裁判が動きだした。連邦検察は1月23日、水原被告に対し、4年9カ月の禁固と大谷への約1700万ドル(約26億3000万円)の賠償を求刑。水原被告は連邦地裁に申立書を提出したが、その内容が物議を呼んでいる。 

 

 水原被告は申立書で、大谷の通訳として「過酷な労働環境」と、それに見合っていない「低賃金」を訴えた。 

 

 報道によると、過酷な労働環境について水原被告は、大谷の通訳だけでなく「ほとんどをサポートする必要があった」とし、送り迎えや食料品の買い出し、郵便物の確認、犬を獣医やトリミングに連れて行くことなど、「毎日24時間待機」する状況だったと記した。とくにシーズンオフは多忙で、大谷が毎日のように練習するため、施設の予約や練習の記録、練習パートナーの役割まで対応しつつ、日々の雑事をこなし、「肉体的にも精神的にも追い詰められた」と主張した。 

 

 これに対する報酬について水原被告は、大谷がエンゼルスに在籍していたときはエンゼルスから年俸を受け取っていたが、2018年は8万5000ドル(約1300万円)、19年から21年までは8万7000ドル(約1350万円)、2022年は9万9611.16ドル(約1500万円)、2023年は25万ドル(約3800万円)で、ほかに大谷からシーズン中は月額2万円、オフシーズンは月額約40万円が支払われていたと記した。それでも、大谷の家の近くの高級住宅地に家を借りるため高い家賃を払わなければいけなかったことや、日本と米国を往復する航空運賃の負担などがあり、「仕事の対価としては低賃金だ」と感じていて、お金に困ってギャンブルに手を出したと主張している。 

 

 この主張について、かつて日本人メジャーリーガーの通訳を務め、水原被告と交流があった球界関係者は「彼は勘違いしていますよ」と語気を強める。 

 

 

■「通訳としては破格の待遇です」 

 

「米国で通訳が選手の身の回りの世話をサポートするのは、大谷だけに限った話ではありません。僕も選手のトレーニングをサポートしてデータを作り、グラウンド外でもスーパーで食料品を買って料理を作り、選手が行きたい場所に送り迎えし、家族が来た時のエスコートなど通訳以外の仕事をしていました。日本で通訳をしていた時に比べて忙しかったけれど、やりがいを感じました。 

 

 水原さんがオフシーズンの業務にストレスを感じていたなら、大谷と話し合えばいい。記事で見ましたが、大谷からポルシェをプレゼントされ、歯の治療という名目で6万ドル(約900万円)を受け取っている。十分に厚遇されていたと思いますよ。物価が高い米国での生活を考えると、エンゼルス時代に年俸8万5000ドルで大谷の自宅近くの高級住宅街に住んでいる時は金銭面の余裕がなかったかもしれません。でも、その後は年俸が増え、ドジャースでの年俸は8000万円近かったといいます。通訳としては破格の待遇です。生活が苦しいからギャンブルに手を染めたという理屈は無理があります。何十年も大谷の通訳をするわけではないし、嫌なら辞めればよかっただけの話です。あまりにも自分勝手な考えに落胆しました」 

 

 過酷な労働で低賃金だったという主張には、米国駐在の通信員も首をかしげる。 

 

「食事の送り迎えといっても、大谷はシーズン中にほとんど外食に行きません。犬を獣医やトリミングに連れていくことも頻繁ではないでしょう。大谷はしっかり睡眠をとることでも有名です。水谷被告は日本にいる関係者とやり取りする際に、時差の関係で深夜に対応して睡眠不足になったことはあるのかもしれませんが、『毎日24時間体制の過酷な労働環境』だったという主張はちょっと無理があるように感じます」 

 

 かつて日本ハムで通訳を務めていた水原被告は、大谷が日本ハムからポスティングシステムを利用してメジャーに挑戦する際、専属通訳として一緒に海を渡った。当時の球団関係者はこう振り返る。 

 

「ちょっと意外に感じたんですよね。彼は通訳としては優秀ですが、気の利くタイプではない。大谷の身の回りのサポートができるかなと。だから大谷のサポートをきっちりこなしている様子に凄いなと感じていました。ただ、こんな形で信頼を裏切る形になってしまって……」 

 

 

■「隠れるようにずっと電話をしていた」 

 

 大谷が投打の二刀流で圧巻のパフォーマンスを見せていくにつれ、水原被告は大谷の「相棒」として、米国でも人気者となっていった。唯一無二の道を突き進む大谷を水原被告は献身的に支えていたように見えたが、スポーツ紙の記者は22年ごろから「ある異変」を感じていたことを明かす。 

 

「水原被告が球場にいる時、ずっと電話をしていたんですよね。ロッカー裏に隠れるような感じでした。大谷の関係者との橋渡し役で忙しいのかなと思ったら、日本ハムの球団幹部やスポーツメーカーの人が『一平に電話が全然つながらないし、折り返しもない』と漏らしていたんです。大谷の通訳として米国のメディアに対応する時も目がずっと泳いでいたことがありました。体調不良かなと思いましたが、この時はすでにギャンブルで多額の借金を背負っていた可能性があります」 

 

 連邦検察は1月30日、水原被告の申立書の内容は「裏付けがない主張だ」と反論する意見書を裁判所に提出したと報じられた。水原被告への量刑は2月6日に言い渡される。 

 

(今川秀悟) 

 

今川秀悟 

 

 

 
 

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