( 259529 )  2025/02/03 14:30:31  
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2025年に入り、米国の労働者のほぼ半分が新しい仕事を探しており、リベンジ退職と呼ばれる現象が増加しています。

リベンジ退職とは、職場でのネガティブな体験に対抗して行われる、怒りの退職や怒りの応募といった行動のことです。

この現象は、長年の職場の進化や急速なテクノロジー進歩によるものであり、従業員が求めるものが変化していることも影響しています。

 

 

リベンジ退職の悪循環を断つためには、会社やリーダーが危険信号を早期に察知し、従業員の声に耳を傾けることが重要です。

従業員のメンタルヘルスや柔軟性を重視し、信頼感を構築することも有効です。

企業は、リベンジ退職対策を早めに行い、従業員との関係を改善することで、エンゲージメントを高めることが重要です。

 

 

2025年は、リベンジ退職のトレンドが進行中であり、適切な対策を取ることで雇用市場において変化をもたらす可能性があります。

(要約)

( 259531 )  2025/02/03 14:30:31  
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New Africa / Shutterstock 

 

2025年に入り、米国労働者の実に半分近くが新しい職を探している。これは、過去10年間で最高の数字だ。 

 

レイオフや、オフィス勤務への復帰を義務付ける厳しいポリシー、さらには業務量の急増を受けて、従業員はもはや黙ってはいない。働き手は突然仕事を辞め、声を上げている。大企業は、働き方の柔軟性やワークライフバランスを考慮していない、として反旗を翻しているのだ。 

 

2025年は、「リベンジ退職」が職場における一大トレンドになっている。ある研究では、本年中に退職を計画している、と回答した従業員の割合は28%に達した。さらにグーグル検索では、「リベンジ退職」が検索される頻度が、ここ数週間で234%増加している。 

 

■「リベンジ退職」とは何か? 

 

「リベンジ退職」とは、職場でのネガティブな体験への対抗策として、働き手のあいだで広がっているトレンドだ。具体的には、仕事ぶりを認めてもらえない、燃え尽き、あるいは職場文化になじめない、といった体験が引き金になっている。専門家によればこれは、長年にわたって進んでいた職場の進化や、急速なテクノロジーの進歩がもたらした、避けられない帰結だという。さらに、新世代の働き手たちが仕事に求めるものが変化していることが、このシフトを加速している。 

 

MasterClass at Work(マスタークラス・アット・ワーク)で学習デザインおよび戦略部門のトップを務めるジョン・スコットは、筆者に対するメールで、「怒りの退職」や「怒りの応募」という現象が起きていると指摘した。前者は、従業員が事前の警告なしに、派手な抗議行動の末に退職する現象だ。後者は、蓄積したいら立ちや、特定の出来事をきっかけに、従業員が新たなチャンスをつかもうとして、矢継ぎ早に複数の求人案件に応募する現象を指す。 

 

スコットは2024年の時点で、2025年には就職市場が強含みに動くと予測し、さらにリベンジ退職が増加すると読んでいた。この現象について同氏は、「不満がたまっている従業員に、新たに別の仕事に転職する機会が与えられると、それに飛びつく状況」と定義している。実際、同氏の予測の通りに、2025年に入ってリベンジ退職が増加しており、従業員が大企業と「対等な立場で話をする」ようになっている。 

 

スコットは、従業員がリベンジ退職に踏み切る兆候として、現在の職場における4つの特質を指摘している。 

 

1. 昇進や、専門的な働き手としての成長に関する透明性の欠如 

2. より深いパーパス(人生の目標)とつながりを感じられない状況 

3. 意思疎通や意思決定の欠如による、職場におけるもめごとの悪化 

4. 本来の職能から外れた業務にやりがいを感じられず、離脱を望む 

 

 

■リベンジ退職の悪循環を断つには 

 

人材開発企業のSHLで上級コンサルタントを務めるマレー・ベスター博士は、リベンジ退職を回避し、リスクを最小化する責任は、雇用主である企業側にあると考えている。ベスター博士によれば、これは単なる一過性のトレンドではなく、事業主に対して、急速に変化しつつある職場の現実に適応するよう促す警鐘だという。 

 

リーダーシップコンサルティング企業のDDIで、リーダー向けインサイトの提供を担当するシニアバイスプレジデント、マット・パエーゼによると、リーダーがこの悪循環を断つ最初のステップは、楽観的な見方を捨て、厳しい質問を自らに問いかけることだという。具体的には、以下のような問いが挙げられる。 

 

・自身の行動や発言によって、マネジメントの仕事の価値を下げていないか? 

・従業員が持つリーダーシップの可能性を本当の意味で認め、育てているか? あるいは、単に業績の良い者を昇進させているだけか? 

・燃え尽きを招く、悪しき職場文化の蔓延を防ぐために、ワークライフバランスを理想的な状態に整えているか? 

 

小論文作成サービスのEduBirdie(エデュバーディー)で最高人事責任者を務めるエイブリー・モーガンは、リベンジ退職の悪循環を断ち、最高の人材を社内にとどめるために必要な4つのポイントを教えてくれた。 

 

1. 危険信号を早期に察知する 

 

「従業員の心は、一夜で離れるわけではない。従業員のモチベーションが欠けていることを示す、わずかな兆候にも目を配るべきだ。具体的には、締め切りを守れない、コラボレーションの減退、慢性的なやる気の欠如などが挙げられる」 

 

「実績を評価する定例の1対1のミーティングでは、直接的だが、従業員の心情にも寄り添った、以下のような質問を投げかけよう。例えば、現在割り当てられている仕事量はどれほどか? あなたの1日をより良いものにするために、何か1つを変えるとしたら何だろうか、といった質問が良いだろう。これによって、本音のフィードバックを得るための扉を開けておくことができる。自らの意見が聞き入れられていると実感できれば、勤務先との心理的なつながりが断ち切られたり、従業員が急に退職したりする確率は下がるはずだ」 

 

2. 即座に行動に移し、信頼感を醸成する 

 

「約束が守られないことは、職場における信頼関係が損なわれる要因の1つだ。例えば、リーダーが従業員に対して成長の機会を約束した一方で、個々のタスクにいちいち口を挟んでいたら、従業員はこのダブルスタンダードを歓迎しないだろう」 

 

「再び信頼を構築するには、むやみに約束をすることを避け、現実的な目標を設定し、常時結果を出すことだ。これは、たとえ小さなタスクでも構わない」 

 

「ここで重要となるのが透明性だ。上司は、自分の決断の裏にある理由づけを明確に示そう。自分が輪に加えられていると感じると、従業員が会社に長く居続ける可能性が増すはずだ。2週間おき、あるいは1カ月ごとに、現状を話し合うスタンドアップミーティングを開催し、他のチームメンバーと同様に、上司も報告を行うようにすることは、こうした雰囲気を作るのに非常に役立つだろう」 

 

 

3. 結果だけでなく、そこに至る努力にも報いる 

 

「評価されている、という実感は、金銭面だけでなく、努力が認められているという認識から生まれるものだ。大小を問わず、部下の成功を賞賛しよう。特に、舞台裏で頑張ってくれた人は大いに讃えるべきだ。褒め言葉も、『チームのみんな、よくやった!』といった、誰にでも当てはまるものではなく、具体的なものにしよう。例えば、『アレクサ、君のプレゼンテーションは圧巻の出来だった。そこでの知見が、あのクライアントとの商談の流れを大きく変えたよ』のように語ると良いだろう」 

 

「個人の能力に即した賞賛や、成功の原動力となった特定の詳細部分に光を当てる言葉が、社員のモチベーションに再び火をつける。会社から心が離れる状況が起きる前に、その芽を摘むことができるはずだ」 

 

4. メンタルヘルスと柔軟性を最も重視する 

 

「燃え尽きは、現実に起きている問題だ。自分のメンタルヘルスが無視されていると感じる従業員は、静かに、あるいは大っぴらに不満を述べる形で、いずれは勤務先を去ることになるだろう。これは、特にZ世代にとって重要だ。この世代は、健康的なワークライフバランスと働き方の柔軟性を、従来型のキャリアを発展させるチャンスよりも重視する傾向にあるからだ」 

 

「従業員の心身の健康を推進する日や、柔軟性のあるスケジュール設定、メンタルヘルスに関する知見に触れられる環境は、もはやぜいたく品ではない。これらは、常に利用可能な状態にしておくべきだ」 

 

「さらに重要なポイントとして、リーダーは、自ら模範を示さなければならない。小休止を取るよう促し、就業時間を過ぎたら、仕事用のサービスからサインオフすることを当たり前とし、週末のメールやSlackでのやり取りを控えよう。リーダーが心身の健康に価値を置いている姿を目の当たりにすると、それを手本としてチーム全体の雰囲気も定まってくる」 

 

■企業ができるリベンジ退職対策 

 

専門家たちの意見をまとめよう。企業は、先回りして対策を練ることで、信頼感を再構築し、従業員のエンゲージメントを強化し、リベンジ退職の引き金になる不満を緩和することができる。 

 

厳しい時代に入りつつあるなかで、リベンジ退職のトレンドが勢いを増しているが、以上に紹介したような対策は、2025年の雇用市場でゲームチェンジャー的な要素になるかもしれない。 

 

Bryan Robinson, Ph.D. 

 

 

 
 

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