( 259699 )  2025/02/03 17:43:25  
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『未来の地図帳』という本は、人口減少が日本の地域にどのような影響を及ぼすかを明らかにしたベストセラーであり、若い人が東京に集まる理由や女性の働き方の傾向などが指摘されている。

東京への一極集中を是正する必要があると述べられ、地方の人口減少対策や高齢者の問題への対応が急務であると強調されている。

(要約)

( 259701 )  2025/02/03 17:43:25  
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〔PHOTO〕iStock 

 

人口減少日本で何が起こるのか――。意外なことに、多くの人がこの問題について、本当の意味で理解していない。どう変わればいいのか、明確な答えを持っていない。 

 

100万部突破『未来の年表』シリーズのベストセラー『未来の地図帳』は、20年後の日本人はどこに暮らしているのか?人口減少が10〜20年後の日本のどの地域をどのような形で襲っていくのか?についての明らかにした必読書だ。 

 

※本記事は『未来の地図帳』から抜粋・編集したものです。 

 

なぜ、若い人々は東京圏に集まるのだろうか? 

 

若者にとって、刺激の多い大都会はいつの時代にあっても魅力的だ。働く場所も多い。 

 

「住民基本台帳人口移動報告(2018年結果)」から20~24歳を取り出してみると、転入超過数のトップは茨城県の4796人だ。以下、福岡県(4116人)、北海道(3997人)、大阪府(3904人)といった大都市を抱える道府県が続くが、ベスト10にはトップの茨城県だけでなく、新潟県、静岡県、福島県、長野県、栃木県といった東京圏の近郊の県が名を連ねている。 

 

東京圏の学校に進学し、出身地に戻らない若者が少なくないことは先述したが、こうした状況に加えて人手不足となった企業が、東京圏に出やすい周辺県の大学や専門学校などの学生たちを確保すべく働きかけを強めていることも背景にある。 

 

これらのデータを併せて考えると、地方から東京圏に仕事を求めて出てくる女性の増大が、一極集中の流れを押し上げているということになる。 

 

「就業構造基本調査」(2017年)で、男性より女性に人気の高い職種をカテゴリー別に見ると「医療、福祉」「宿泊業、飲食サービス業」「生活関連サービス業、娯楽業」「教育、学習支援業」「金融業、保険業」「卸売業、小売業」となっており、第三次産業が中心だ。 

 

国勢調査(2015年)によれば、第三次産業への就業者比率は全国平均が71.0%なのに対し、東京都は81.9%である。第三次産業への就職を希望する女性たちにとっては、地元で探すよりもサービス産業が集積する東京都のほうが、自分にあった就職先を選びやすいということだろう。 

 

こうした産業構造を無視して、「地方創生」を声高に叫んでみたところで、東京一極集中の流れは止められない。 

 

若い女性が東京に流出してしまった地方は出生数の増やしようがなくなる。こうしてますます、人口の地域偏在が拡大していくのだ。 

 

私は、東京一極集中は是正されたほうがよいと考える。東京圏は地方が生み出す食料やエネルギーを前提として成り立っているからだ。地方が極端に衰退したならば、東京圏の暮らしは成り立たなくなり、いつの日か東京圏は息の根を止められることになる。 

 

だが、東京一極集中は簡単には歯止めがかけられない現実が横たわっている。少子高齢化、人口減少のスピードが速まってきたことを考えると、一極集中の是正にエネルギーを注ぎ、時間を費やしている時間的余裕が日本にはなくなってきた。 

 

そうである以上、もはや一極集中を前提として人口減少時代を考えなければなるまい。一極集中の是正に追われている間に、地方の人口減少対策や東京圏内の高齢者数の増大といった課題への対応が手遅れになったのでは、日本社会は壊滅的な打撃を被る。 

 

人口減少日本の中において、東京圏を全く違う歩みを辿る「外国」と位置づけ、非東京圏の各エリアは人口が減っても成り立つ仕組みへ転換することで、共存する道を探っていくほうが現実的だろう。 

 

困難な道かもしれないが、それが非東京圏の生き残り策となる。 

 

つづく「日本人はこのまま絶滅するのか…2030年に地方から百貨店や銀行が消える「衝撃の未来」」では、多くの人がまだまだ知らない「人口減少」がもたらす大きな影響を掘り下げる。 

 

河合 雅司(作家・ジャーナリスト) 

 

 

 
 

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