( 261616 ) 2025/02/07 15:04:09 0 00 玉木雄一郎氏
4年連続で税収が過去最高を更新、2024年度はさらに更新すると見込まれている。国会では石破茂総理が「国民の皆様方にお返しするような財政状況ではない」と、増収分を国民に還元すべきという野党からの提案に否定的な認識を示し、話題にもなった。そんな中、国民民主党・玉木雄一郎衆議院議員がXでポストした内容に、大きな反発が起きている。
内容は党として、金融所得課税については分離課税を30%に上げ、総合課税と選択できるように目指すと方針をとりまとめた、というもの。国民民主党は、行き過ぎた格差を是正し、高所得者層への課税強化、所得再分配につながる政策としている。これにSNS上では猛反発。「投資意欲が下がる」「課税強化になったら、103万円の壁見直しが実現しても、意味がない」という声も見られた。「ABEMA Prime」では玉木氏に直接、ポストの真意などを聞いた。
国民民主党の提言
金融所得課税とは、投資信託・株式・預金など金融商品から得た所得に対するもので、税率は一律で20.315%となっている。一方、労働所得は給与所得や事業所得など働いて得られる収入に対してのもので、各種所得の合計に課税(総合課税)し、税率は額に応じて変わる累進課税(5〜45%)となっている。国民民主党が昨年12月24日に示したものは、行き過ぎた格差を是正する「金融所得課税改革」。再分配の機能回復策として金融所得課税の強化を目指し、分離課税を30%に引き上げ、総合課税と選択できる制度とする、各所得の損益通算を認める、所得税累進度の見直しなどを検討するとしている。
玉木氏は、党としても問題だと指摘してきた“1億円の壁”について言及した。「累進課税だから基本的には上がっていくが、1億円を超えると総所得に対する税負担が下がり始める。ここはちょっと上がった方がいい。1億円を超えると、急に全所得に対する金融所得の割合がぐっと伸びる。例えば100億円の方だと9割以上が金融所得。ご負担能力があるのであれば、負担していただけないかということ」と説明。年収1億円を超えるような富裕層に対して、より負担を求めるもので、「明確に申し上げたいのは今、将来の年金とかが不安で、特に現役世代の人が資産形成をやりたいということで、NISAやiDeCoが拡充されてきた。そういった方々の資産形成を阻害するような増税は一切やる気がない。ただ、それをどうやって全体として制度を設計していくのかは極めて難しいので、いくつかの案を出しながら検討しているのが現状」と述べた。
なお玉木氏は過去、金融所得課税30%について主張したことはないと発信したことがあり、それを撤回したことも話題になったが、これには「正直申し上げると、私が中身を知らなかった。一般的に金融課税を高所得の方、超富裕層に強化することはずっと公約でも書いてきて知っていたが、分離課税30%、しかもそれを総合課税と選択できるとまで去年の年末、書き込んでいたのは見逃していた。1回『そんなことは決めていませんよ』と言ったが、よく見たら決めていたので、お詫びをした」と説明した。
国民民主党案
玉木氏、国民民主党といえば、昨年の衆院選で「年収103万円の壁」を178万円まで引き上げることを政策に掲げたこともあり、議席を大きく伸ばした。ただし、178万円へ引き上げた場合には、政府は国と地方の税収が7.6兆円減少すると試算。実現するための財源について議論が続いている。今回の金融所得課税30%についても、この財源確保のためかと質問が飛んだが、玉木氏は否定。「私の感覚から言うと、これは財源論で出てきたものではない。かつて計算したことがあるが、課税強化しても出てくる財源は確か数百億。いわゆる103万の壁を引き上げるための財源論としては、釣り合いが取れない」とした。また、「税の3原則は、公平・中立・簡素。やはり誰にとっても税は嫌。公平性が少し阻害されているのではと是正するために言っているだけであって、財源論として出てきたものではない。繰り返しになるが現役世代の資産形成を阻害するつもりは一切なく、減税はしても増税する気はない」と語った。
税の公平性という点においては、金融所得と労働所得を全て合わせてから課税する「総合課税」という考え方もある。玉木氏も、これを理想には置いている。「1番シンプルなのは、全部の所得を合算して1本の累進課税のところにドーンと乗せる。公平だが、いろいろと技術的な難しさもあって、金融は分離課税になっている。将来的には全部合算して1本の累進課税に乗せていく、総合課税化ということが理想だとは思う」とも加えた。
国民民主党の案では、所得によって総合課税か分離課税かを選択できるようになっている。これが年収1500〜1600万円の世帯を軸に線引きが検討されているとされ、このラインが妥当なのかも議論のポイントになっている。“1億円の壁”から見ればかなり低い年収になるが、これには「そのあたりの制度設計はもう少し丁寧にやらないといけない。夏の参院選までにはしっかり議論して、より精緻な政策を出す。世界的に見ると日本円の(年収)1000万円ぐらいは、全く高所得者じゃない。1000万円を超えたら高所得者だから増税しますという話にはならないし、我々はそれを狙っていない。そこは丁寧に説明し、そういった方が対象にならない制度設計をしたい」と述べていた。 (『ABEMA Prime』より)
ABEMA TIMES編集部
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