( 262106 ) 2025/02/08 07:03:34 0 00 和田樹生さんの両親の会見(2月7日)
注目の判決です。10年前、長野県佐久市で当時中学3年生の男子生徒が車にひかれて死亡した事故の裁判。「ひき逃げ」の罪に問われている男について、最高裁は、無罪とした二審判決を破棄し、懲役6カ月とした一審判決を支持しました。事故後、救護する前にコンビニ店に立ち寄った行動を改めて「ひき逃げ」と認定しました。
亡くなった和田樹生さん(当時15)
息子の樹生さん(当時15)の命が奪われた事故から間もなく10年。
最高裁が下した結論は夫婦が望んでいたものでした。
判決を受け、樹生さんの両親の和田善光さん、真理さんが会見を開きました。
父・和田善光さん(会見): 「最高裁で救護義務違反が認められた卑劣な故意に対して極めて妥当な司法判断が下されました。直ちに被害者を救護しないといけないと明確に示された判決。救護を中止することで本来救えるはずの命が失われることは決してあってはなりません。飲酒運転で誰に断ることもなく、現場を離れることは故意です。それは被害者からすると殺人に匹敵する行為」
母:和田真理さん(会見): 「加害者に救護義務違反が認められることをほんとに樹生にお願いしてきました。判決が最高裁の法廷で聞くことができ、判決を聞いた瞬間、涙があふれました。今回時間はかかりましたが、最高裁の判決を聞き、これまで起きたことに対しても何か意味があったのかなと思いました。被害からようやく一歩踏み出せる気がします」
事故現場(2015年3月)
2015年3月、佐久市で当時中学3年生の和田樹生さんが車にはねられ死亡した事故。
被告(52)が、過失運転致死の罪に問われ、有罪判決が確定しました。
しかし、両親は納得できず検察に控訴や、「ひき逃げ」での起訴を求めてきました。
被告は事故直後、飲酒運転を隠すため近くのコンビニ店で口臭防止剤を買い、服用していたのです。
その後、検察は時効を前に「ひき逃げ」の罪で被告を在宅起訴しました。
東京高裁(2023年9月)
一審は事故後の行動が「ひき逃げにあたる」として懲役6か月の実刑判決を言い渡しましたが、二審は「口臭防止剤の購入・服用に要した時間は1分余りで、人工呼吸もしており、直ちに救護義務を怠ったと評価できない」として「逆転無罪」を言い渡していました。
亡くなった和田樹生さんの両親(2023年9月)
母・和田真理さん(2023年9月): 「被害者の生命や身体の保護を全く無視した判決、最低の判決。こんな国に産んでごめんねとしか言えない」
最高裁(2024年12月)
東京高検の上告を受けて最高裁は2024年12月、判決を見直すのに必要な「弁論」を開催。
検察側は「道交法の解釈を誤り、被告の行動を過小評価している」と主張した一方、弁護側は二審判決を支持し、改めて「無罪」を主張していました。
息子の墓に手を合わせる母・真理さん
判決を前に、両親は1月、樹生さんに裁判への思いを改めて伝えました。
母・和田真理さん: 「救護措置義務違反、報告義務違反が認められること、そして、加害者に懲役刑が宣告されること、それを見守っていてほしいと(伝えた)」
和田樹生さんの両親の会見(2月7日)
迎えた2月7日の最高裁判決。
岡村和美裁判長は、事故後、被告がコンビニ店に行った行動を「救護の措置を講じなかったと言え、道交法の義務に違反したと認められる」としました。
その上で、「法令の解釈適用を誤った違法があり、破棄しなければ著しく正義に反すると認められる」として、無罪とした二審判決を破棄し、懲役6カ月とした一審判決を支持しました。
これで、被告の実刑判決が確定することになります。
判決を受けー
父・和田善光さん: 「本事件が救護義務違反と認められた、救護義務違反ひき逃げに対する一つの判断基準が示されたと思う」
母・和田真理さん: 「判決を聞くまで長くかかったが、最高裁の判断が救護義務違反を判断する一つの目安となって、救われる命が少しでもあれば、そういったことに繋がればいいなとおもっています」
一方、被告の弁護人は、「コメントは控える」としています。
長野放送
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