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日本銀行が政策金利を引き上げたことにより、住宅ローン金利が上昇する可能性が高まっている。

変動金利を選んでいる人が多いため、返済額が増加することが予想されている。

特に夫婦でペアローンを組んでいる場合、金利上昇により返済に困難が生じる可能性がある。

今後の対策や借り換えの必要性についても検討が必要とされている。

(要約)

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住宅ローン金利はどうなるか(イメージ) 

 

 日本銀行が昨年7月以来となる「追加利上げ」に踏み切った。長く超低金利が続いた日本が、“金利のある世界”へと回帰している。そこで国民生活に大きく影響するのが「住宅ローン金利の上昇」だ。何を基準に判断し、どう行動すべきなのか──。【前後編の前編】 

 

 都市部を中心に不動産価格は高騰を続けてきたが“超低金利だからなんとかローンが組める”と考えて購入に踏み切ってきた人は少なくない。そうした人たちの人生設計が大きな曲がり角に差し掛かっている。 

 

 日本銀行は1月24日の金融政策決定会合後、政策金利を0.25%程度から0.5%程度へ引き上げると発表。植田和男総裁は物価や賃金の上昇を踏まえた判断だと説明した。これを受け、大手各行は変動型住宅ローン金利の基準となる短期プライムレートを3月に引き上げると明らかにした。 

 

 住宅ローンは、返済期間中の金利が一律の「固定金利」と、市場金利の上昇などに伴って半年に一度見直される「変動金利」に大別される。近年の超低金利を背景に、変動金利を選ぶ人が約8割を占めてきた。今回の利上げの影響について、住宅ローン比較診断サービス「モゲチェック」を運営するMFSの取締役CMOで住宅ローンアナリストの塩澤崇氏はこう解説する。 

 

「ほとんどの銀行は4月と10月に住宅ローンの基準金利の見直しを行なうので、4月には住宅ローンの変動金利が日銀の利上げ分と同じ0.25%上昇する可能性が高い。ただし顧客への周知などの準備期間も必要なため、返済開始はその3か月後に定めている銀行が大半。なので、上昇後の金利での支払いは7月からでしょう」(塩澤氏・以下同) 

 

 金利上昇により月々の返済額は増加する。元本3000万円で35年ローンの場合、変動金利が0.5%から0.75%に引き上げられると、月々の返済額は3360円増える。元本が5000万円なら毎月5600円の負担増だ(別掲図)。植田総裁は会見でさらなる利上げについて「予断を持たず適切に判断する」と述べたが、この流れは続くと見られている。 

 

「今後も日銀の追加利上げに伴って住宅ローンの変動金利は段階的に引き上げられ、年末には0.85~1.2%、来年末には1.1~1.7%といった水準まで上昇するのではないか」 

 

 とりわけ、夫婦それぞれがローンを組んで借入額を増やす「ペアローン」の利用者は影響が大きい。 

 

「もし、身の丈以上の高額な物件のローンを夫婦で組んでいた場合、金利上昇で返済が滞ると、最悪の場合、マイホームを手放さなくてはならない事態が考えられます。夫婦共働きを続け、収入アップを目指す努力が必須になります」 

 

 では、どういった対策が考えられるのか。借り換えが“必要な人”と“必要でない人”の境界線はどこにあるのか。後編記事では、残債額と残り支払期間をもとにシミュレーションしながら解説する。 

 

※週刊ポスト2025年2月14・21日号 

 

 

 
 

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