( 262549 )  2025/02/09 05:45:01  
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家の窓が割れた際に、業者に修理を依頼する際に一度に複数の業者から見積もりを取ることの重要性を実感した中川淳一郎氏の体験を紹介している。

自宅の窓の修理では、最初に業者に依頼したところ、12万円の見積もりが提示されたが、アイミツをしっかり取りたいと思い、地元のガラス店に相談したところ、5万円以下で修理できた。

見積もりを比較することで無駄な出費を減らすことができることを実感した。

(要約)

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家のガラスが割れてしまい、修理の見積もりに驚いた(筆者撮影) 

 

 ビジネスに携わっていくうえで、「アイミツ」を取る機会は少なくない。「相見積もり」の略で、ひとつの案件に対して複数の企業から見積もりを取ることで、よりお得なほうに決めることができるのである。プライベートでも、自宅のトラブルなどで業者に修理を依頼する機会はあるが、どうしても緊急事態だとアイミツをおろそかにして、1つの業者に即決してしまいがち。先日、自宅の窓が割れた際に業者に修理を依頼したネットニュース編集者の中川淳一郎氏が実感した「アイミツの重要性」についてレポートする。 

 

 * * * 

 1月末の夜、自宅で滑って、ベランダに面した約188cm×87cmの大きな窓にドッカーンと背中からぶつかってしまったんですよ。直径25cmほどの穴が開き、全面的にヒビが入りました。この時は22時を過ぎていたため、修理依頼は翌日にすることに。 

 

 私が住んでいるのは賃貸物件のため、「原状復帰」が求められます。そのため不動産管理会社が委託するコールセンターに電話をし、状況を話しました。経年劣化ではなく、私の過失のため、当然、私が支払うことになります。幸いなことに、契約時に「お急ぎ無料ヘルプ」的なサービスに加入していたようで、管理会社の指定する業者が60分以内にかけつけ、現状を見たうえで応急処置をし、そこで直せるようだったら直すと伝えられました。 

 

 12時30分ごろ作業員がかけつけてくれ、現場を見ます。私の場合、さすがに窓が大き過ぎるのと、その日は15時から外出の予定があったためガラスの交換は後日ということになりました。その日はプラスチック製のパネルというかシートのようなものを貼り、応急処置をし、風の入りを減らしてくれました。 

 

 この日は無料サービスでしたが、伝票は渡され、そこには「基本」「遠方費」「高速道路料金」の項目が「数量1」で記されています。業者の住所を見ると、私が住んでいる佐賀県(唐津市)の隣の福岡県で、車では1時間10分ほどかかります。「お急ぎ無料ヘルプ」だったので金額は0円ですが、「えっ? 勝手に福岡の業者に管理会社は依頼したの? そうしたら今度の本工事の時も『遠方費』『高速』の料金がかかるじゃないのよ」と思ったのです。そして翌日13時頃、コールセンターから連絡があり、見積もりによる金額が伝えられました。 

 

出動費:1万3750円 

ガラス代:3万7867円 

施工費:1万8700円 

シーリング:1870円 

シーリング施工費:3740円 

重量費:2万5740円 

……合計:10万1667円也 

 

 恐らくこれに加えて「遠方費」「高速道路料金」「消費税」が加わり、12万円ほどになることが予想されました。いや、デカいとはいえ、さすがにガラス1枚12万円はないでしょうよ……。もしもベランダに面したこの3枚のガラスが台風で瓦が飛んできたりして壊れたら36万円? もちろん出動費なんかは3倍にならないと思いますが、それでもちょっと給料が高い大企業の若手社員や、中小企業の40代の月収ですよ、コレ……。 

 

 

 私はコールセンターの担当者からこの金額を伝えられ、「一度来てもらってるからアノ人に頼むしかないよなぁ、きちんと対応してくれたしな」と思いました。しかし、どうにも「遠方費」「高速道路料金」に納得できなかったんですよ。唐津市内の管理会社なわけですから、唐津の業者と契約をし、この2つの料金は不要にできないのか? 

 

 その納得できない気持ちを伝えたうえで、「いや、もうこの金額で決まっているのでしょうから払うつもりでいますが、納得できない部分もある。私の方で、唐津のガラス店に頼む、という手もあると思うんですよ」と、唐津の住宅事情に詳しい友人のことを念頭にこう言いました。その人に地元のガラス店を紹介してもらうことも可能である、という事実を伝えたのです。 

 

 コールセンターの担当者は少し困惑しながらも「あくまでも見積もりですので、もしもお知り合いのガラス店があるのならば、そちらで大丈夫です」と言う。そこで友人に電話をしたところ、私の家から近いガラス店を紹介してくれました。 

 

 早速その店に行き、店番のお婆さんに破損状況の写真を見せるとともに、サイズを伝えたら「あぁ、こりゃ3万円ぐらいはかかるっちゃね。15時頃(職人が)戻ってくるので、そこで電話するばい」と言われました。「で、アンタの家どこ?」と聞かれ私は自分の住むマンションを指さす。「近かね、後で電話するけん」と言われます。 

 

 その後15時頃、職人はアシスタントである息子を連れ、状況を見に来ます。破損の様子、サイズ、サッシの形状等を見たうえで一旦ガラスを取りに行きます。さすが、緊急事態を分かってくれており、しかも近所のためすぐに来てくれ約1時間の作業でガラスの取り換えは終了。項目は以下の通りです。上記の項目と比較してみてください。 

 

ガラス代(実際はガラスのサイズが記されていた):2万9600円 

両面シーリング一式:1万5000円 

消費税:4460円 

……合計:4万9060円也 

 

 12万円を想定していたものが、5万円以下になったのです! しかも、福岡の業者が提示してきた「出動費」(1万3750円)、「重量費」(2万5740円)がない。ガラス代も同じサイズで厚さのガラスだろうに、福岡の業者は3万7867円で8267円高い。福岡と佐賀ってそんなに物価が違うんか? 

 

 

 思い返せば、コールセンターと電話で話したのは金曜日の13時頃でした。そのうえで、「今後管理会社と訪問の日程を決めてください」となる。つまり、この日は遠方のため恐らく無理。金曜日だったため、ヘタすりゃ月曜日にズレ込む可能性がある。もしも土日に来てくれたとしてもなんだかんだ言って「休日料金」なる項目が追加された可能性はある。一方、地元・唐津のガラス店はその日のうちにすべて作業を終えてくれた。 

 

 この時「アイミツ」の重要性を心底理解したのでした。今後、自宅のリフォームなどをする時に、相談した相手から勧められる業者があるかもしれませんが、それとは別にアイミツを取る業者を自ら見つけておくことが大切です。選択肢が増えれば、余計な出費が抑えられる確率はグンと上がるわけですから。 

 

【プロフィール】 

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう):1973年生まれ。ネットニュース編集者、ライター。一橋大学卒業後、大手広告会社に入社。企業のPR業務などに携わり2001年に退社。その後は多くのニュースサイトにネットニュース編集者として関わり、2020年8月をもってセミリタイア。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『縁の切り方』(小学館新書)など。最新刊は倉田真由美氏との共著『非国民と呼ばれても コロナ騒動の正体』(大洋図書)。 

 

 

 
 

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