( 262659 )  2025/02/09 14:48:43  
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TBS NEWS DIG Powered by JNNによると、国民民主党と自民党・公明党の間で「年収103万円の壁」引き上げや「高校の授業料無償化」をめぐる協議が行われている。

特に日本維新の会の前原氏は教育無償化の実現に向けて力を入れており、自民党などとの協議で交渉が続いている。

維新は所得制限の撤廃や私立高校への助成額拡大を主張しており、自民党との協議で対立がみられる場面もある。

与党と維新の交渉はまだ平行線であり、前原氏は夏の参議院選挙を見据えて妥協しない姿勢を示している。

(要約)

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「年収103万円の壁」引き上げをめぐって国民民主党と落としどころを探るのと平行して、「高校の授業料無償化」をめぐり、自民党・公明党は日本維新の会との協議を連日のように続けている。維新の共同代表、前原誠司氏にとっては実現に向けた千載一遇のチャンスとも言えるこの機会。自民党に対して、簡単に妥協する様子はない。 

 

■国会は「三角関係」 自民・公明は“二兎を追っている状態” 

 

いまの国会はまさに「三角関係」だ。 

 

新年度予算を3月2日までには衆議院で審議して成立させたい少数与党の自民・公明は、国民民主党、日本維新の会と「予算に賛成してくれる落としどころ」を探って協議を進めている。 

 

両てんびんにかけているというよりは「二兎を追っている」という形が正しい表現だ。 

 

そのような状況で国会の議論の中心になった「高校の授業料無償化」をめぐっては、並々ならぬ思いで実現を狙う政治家がいる。日本維新の会の共同代表を務める前原氏だ。前原氏は、「教育無償化を実現することが日本社会を立て直すキーになる」との主張をかねてより続けていて、2023年には「教育無償化を実現する会」を立ち上げた人物だ。 

 

■維新の主張「今年4月から」「私立も」 引き下がらない前原氏の“懐刀” 

 

現在の国の就学支援金制度では 

▼公立高校の授業料の場合は年収910万円未満の世帯に約11万円の支援 

▼私立高校の授業料の場合は年収590万円未満の世帯に約39万円の支援 

と一定の助成がされている。 

 

これに対し前原氏はじめ維新が求めているのが、今年4月からの「所得制限の撤廃」と「私立高校の助成額拡大」となる。 

 

自民・公明・維新の3党はそれぞれの実務者が連日協議を重ねているが、この場に臨んでいるのが、前原氏の“懐刀”ともされる斎藤アレックス議員だ。 

 

自民党からの実務者は、柴山昌彦元文科大臣と歴戦の強敵であるが、「教育無償化を実現する会」立ち上げの時も前原氏の隣で政治の世界を生きてきた斎藤議員は、簡単には引く姿勢を見せない。 

 

 

1月31日に行われた、教育現場の関係者や知事会の会長らを呼んだヒアリングの場で象徴的なシーンがあった。 

 

教育現場からの反対意見が出ることを予想していた自民・公明が、交渉を有利に進める狙いなどもあってセットしたヒアリングだったのだが、実際に「今年4月からの無償化は現場に混乱をきたす」という意見が相次いだ。終了後に行われた報道陣への質疑で自民・柴山氏は「残念ながら」と一応の前置きをしたうえで「(出席者からの)実現に向けた対案は出なかった」と発言をした。 

 

すると、後ろに並んでいた維新・斎藤氏はすかさず「4月から無償化をするのであれば、ちゃんと国からサポートをしてほしいという話がありましたよ」と割って入ったのだ。 

 

各党の実務者が並んで報道陣の質問に応じる前には、一定の発言のすり合わせがあるものだが、このシーンからも互いのせめぎあいが見えてくる。 

 

■自民関係者「決裂はしないけれども…」交渉の行方は 

 

2月5日、メディアにはオープンにならない形で、与党と日本維新の会の実務者協議が初めて行われた。そこで自民、公明から提示した案がある。 

 

<「自民・公明」→「維新」への提示> 

・今年4月にも所得制限なく、公立、私立とも約11万円支援 

→公立高校は実質無償化に 

※私立は2026年度から無償化の方向で議論 

 

所得制限の撤廃を明記し、今すぐではないが「私立」についての言及もした提案だ。ところが、自民党関係者の感想は「維新の反応があんまり芳しくなかったな」というものだった。 

 

この実務者協議を経ても議論は平行線をたどる中、自民党の政策責任者である小野寺政調会長と前原氏、この2人が水面下で会った。 

 

予算に賛成してもらうための時間的リミットが迫る中、「実務者でやってると間に合わないんじゃないか」という思いがおそらくあったのだろう。松下政経塾の後輩・先輩という関係の小野寺氏と前原氏だが、どこまでいったら予算に賛成できるのかという部分を、小野寺氏はおそらく探ったのではないだろうか。 

 

 

しかし、2人の会談は「決裂はしないけれども、まだ距離があるという感触だった」と自民党関係者は漏らした。 

 

■「与党寄り」玉木氏への批判がブーメランに 予算案、賛成も見据える? 

 

前原氏が妥協の姿勢を示さないのは、夏の参議院選挙も見据えているからだろう。教育無償化の実現という実績を作ったうえで参院選を戦えるのであれば、「本予算に賛成する」ことも考えているのではないか。 

 

前原氏は、国民民主党在籍時に、玉木氏と袂を分かった。それは、2022年に本予算に賛成すると表明した玉木氏に、「与党寄りだ」と異論を唱えたからだ。だが今、前原氏がしていることは、「自分たちの意向が通れば本予算への賛成もあり得る」という対応であり、かつて玉木氏を批判した言葉がブーメランとなってくる。 

 

衆院選で議席を減らした日本維新の会は、いま一枚岩にはなっていない。共同代表になってから日が浅い前原氏は、党内の情勢を踏まえてどう立ち回るか。 

 

教育無償化に関しては、代表の吉村氏も、実現できればいいと思っていて、日本維新の会として実現したい思いは一つのようだ。前原氏は、自民と公明との協議もしながら、党内の自分の足元を見ながらの難しい舵取りを迫られている。 

 

(TBSテレビ政治部 長田ゆり) 

 

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