( 263144 )  2025/02/10 14:47:50  
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石破茂内閣により日中関係が改善したと一般的に考えられているが、実際には両国関係の基礎である民意や報道、SNSの対日批判が激化している。

中国側は都合に応じて日中関係を揺らしており、根幹の対日姿勢に変化がない。

中国では台湾の女優バービー・スーの死を機に日本バッシングが盛んになっており、日本の医療を批判する記事やSNS投稿が増えている。

中国のSNSでは反日のコメントが増加しており、事実誤認や誇張が横行している。

中国政府は日本バッシングを放置しており、日本を非難する報道が広がっている。

石破政権では中国政府に対して厳しく対応すべきだと指摘されている。

(要約)

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Photo by gettyimages 

 

石破茂内閣になって、日中関係は改善していると見られがちだ。だが、両国関係の基礎となる民意、すなわち報道やSNSでの対日批判の激しさを見ると、単純に日中関係は改善しているとは言いずらい。 

 

これまでの日中関係を振り返ると、中国側の都合で、よくなったり、悪くなったりしてきただけなのだ。中国の対日姿勢の根幹は、変わったとは言えない。 

 

2月2日、台湾の人気女優、バービー・スー(徐熈媛)が、日本旅行中に肺炎などの併合症でなくなった。非常に悲しいできことだ。 

 

だが、その死は中国で、激しい日本バッシングの波を引き起こした。中国政府系マスコミの報道やSNSの書き込みは彼女の死を惜しむよりも、日本バッシングになっている。彼女が死んだのは、日本の医療に問題があるからだと勝手にすり替え、日本は最悪の国だという主張を繰り返しているのだ。 

 

「日本ではインフルエンザの患者が950万人を超え、一部の病院ではまったく薬がない」(2月4日付)と、山東省の共産党が発行する『魯中晨報』が、バービー・スーの死を報じた。ところが、彼女の死は記事のさわりに使っただけで、ほとんどの内容が日本の医療の混乱ぶりを報じたものだった。 

 

彼女の人気に便乗し、「日本は危険な国」と伝えようとしたのだ。記事にある「950万人」というデータは、よく読むと昨年9月から今年1月26日までの累計で、現在の患者数ではない。 

 

その記事では最後に、データなど一部の内容は『環球時報』「中国中央テレビ(CCTV)」からの引用だと付記した。つまりは、全国紙から地方メディアまで、「日本=危険な国」と大々的に報じているのだ。 

 

例えば、浙江省の『杭州日報』も2月4日に「日本の病院:まったく薬がない、家に帰るしかない」と題した記事を掲載した。ほかにも、「日本で風邪と鳥インフルエンザが同時に爆発感染し、児童が脳の併発症で死亡」(2月5日付『浙江在線』)という記事もある。 

 

これらに共通しているのは、日本の一部の状況をセンセーショナルに報じていることだ。 

 

いわゆる「反日無罪」(反日は罪に問われない)である。 

 

もしも中国や中国政府のことを批判的に書けば、即刻削除される。はなはだしい場合は、記者や著者自身がどこかへ消えてしまう。中国ではよくあることだ。 

 

 

中国のSNSも相変わらず、反日の発言が野放し状態だ。一部のアカウントは、バービー・スーの死を利用して反日気炎を上げた。 

 

「多くのスターもしくは富裕層が日本へ行き、病気を治していると聞くと、日本の医療レベルは凄いのだと思いがちだ。しかし、バービー・スーがインフルエンザで亡くなり、ネットでの書き込みを読んでやっとわかった。日本の医療はこんなにもひどいのだ」 

 

これは、ある人物が2月4日に「微博」(Weibo=中国版「X」)にアップした一部だ。江蘇省広播電視総台(江蘇省ラジオテレビ本社)が運営する「微博」でも、「日本の医者は新型コロナウイルスとインフルエンザを一律に風邪として治療している」と断定した。その上で、「バービー・スーが日本で具合悪くなった後、何回も救急搬送されたにも関わらず、入院治療にはならなかった」と、事実誤認している。 

 

石破内閣になり、日中関係は改善したと日本では思われているだろう。だが中国政府は、マスコミなどの日本バッシングを放置しているのだ。いまや日本叩きの報道の激しさは、福島のALPS処理水を「核汚染水」と批判したキャンペーンの時を上回る勢いだ。 

 

中国で人気のSNS「小紅書(RED)」や「抖音(中国版TikTok)」などにも、同様の内容の動画が、多数アップされた。「バービー・スーも治せない日本の医療はひどい。インフルエンザが爆発的に流行しているのに、薬もない。絶対に日本には行くな」……。 

 

私なら、こう言いたい。「インフルエンザに一番多く感染しているのは、中国の『小紅書』の中だ」 

 

中国では、「反日無罪」であるばかりか、「反日ヒーロー」「反日ヒロイン」が多数出ている。彼らが最近、よく使う単語が、「八嘎」(バーガー)。日本語の「バカ」の音訳で、日本人をバカにしてよく使われる。 

 

以前は、「小日本」(シアオリーベン)という蔑称が日本に対して使われていたが、いまは「小日子」(シアオリーズ)に変化した。かつ以前よりも、頻繁に使われている。 

 

習近平政権が最近、日本に微笑みを見せているのは、火だるまの自国経済をV字回復させたいのと、米トランプ政権からの貿易戦争に直面しているからだ。いつ手のひらを返し、再び日本を罵倒し始めるか知れない。こうした反日放任状態が、そのことを何より物語っている。 

 

石破政権は習近平政権に対して、「言うべきことは言う」態度が望まれている。 

 

林 愛華 

 

 

 
 

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