( 263226 ) 2025/02/10 16:14:17 0 00 東京電力の元社員という経歴を持つ竹詰氏(画像は竹詰氏のHPより引用)
昨年の臨時国会で調査研究広報滞在費(旧・文書通信交通滞在費)の使途公開と残金の返納を今年8月から義務付ける法改正が行われ、各国会議員事務所では対応に迫られている。
旧文通費は歳費とは別に月100万円が支給され、使途の公開も残金の返納も不要で、「国会議員の第二の財布」と呼ばれていた。’21年10月31日投開票の衆院選で当選した新人議員がたった1日の在職で10月分の満額100万円を支給され、批判を浴びたことは記憶に新しい。
日本維新の会が使途の公開と残金の返納をすべきと国会で提議し、世論に押される形で自民党も臨時国会で法改正に踏み切った形だ。
「今年8月の支給分から適用となるが、領収書の公開基準額や公開方式など詳細については現在の通常国会での議論となるため、詳細は未定のまま。野田さんが先んじて昨年10月から公開し、使途や領収書を自身のHPで公開しているので、それを参考にしています」(立憲民主党ベテラン秘書)
野田さん、とは立憲民主党代表の野田佳彦氏(67)だ。昨年10月と11月分を公開し、そこには私設秘書の給与、自動車のリース代、新聞代などが計上されていた。昨年の衆議院解散前日10月8日、石破茂首相の著書『保守政治家 わが政策 わが天命』のKindle版を購入した際の費用、ストップウォッチ代(3180円)も計上されている。
日本維新の会と国民民主党は所属議員の旧文通費の使途と領収書について、自主的に公開を行っている。自民党は使途の公開に後ろ向きであったが、旧安倍派の政治資金パーティーによる裏金問題がクローズアップされ、旧文通費も「つかみ金」として批判を浴びたことで、同意せざるを得なかった。
「表に出しにくい経費、領収書がもらえない経費を旧文通費でまかなっていた」
自民党の大臣経験のある議員はそう前置きしたうえで、こう続けた。
◆「人間ドック」と「スーツ代」
「文通費は毎月10日と月末の2回にわけて議員個人の銀行口座に振り込まれる。うちは私と事務所で50万ずつ折半していた。大臣になれば運転手やSPが付く。彼らに毎月3万円の寸志を渡していたが、それを文通費でまかなっていた。官僚を高級クラブや料亭で接待するためにも使った。自民党では折半する事務所が多いが、議員個人の口座に入金されるため、全額を懐に入れ、都内に部屋を借りて“パパ活”に使う議員もいたと聞いている」
規律もなく好き勝手に使っていた議員や事務所はてんてこ舞いのようだが、自主的に公開している日本維新の会や国民民主党の議員は問題ないのだろうか。
「(国民民主の)竹詰仁参議院議員の使途が怪しい」
国民民主党のベテラン秘書はそう付言し、こう述べた。
「使途は議員それぞれの判断に委ねられているが、このご時世、公私を分けるのは当然のこと。だが、竹詰議員は人間ドック代や高額な背広代を計上している。党本部では各事務所からあがってきた領収書を機械的にアップするだけで中身までチェックしていない。発覚したらマズい、と一部で話題となっていた」
国民民主党のHPから「情報開示」の「調査研究広報滞在費の使途」を選び、「竹詰仁」をクリックすると、たしかに’23年7月3日に汐留検診クリニックで「日帰りドック5万5000円 胃カメラ5500円」を受け、合計「6万5500円」を支払った領収書が出てきた。
’23年9月11日に英國屋銀座三丁目店で使った「111万7700円 御品代」という高額な領収書もある。
国民民主党で使途を公開している17名の議員で、人間ドックの費用を計上していたのは竹詰議員のみ。また銀座の老舗テーラーの百万円を超えた領収書を計上しているのも竹詰議員のみだ。
「竹詰議員は議員になる前は東京電力に勤務。外務省に出向し、タイに赴任していました。タイ語が堪能なことが自慢です。東電労組出身で選挙は受かるが、知名度は乏しい。頻繁に記者が訪れる事務所でもないので注目されまい、と雑な運用となったのではないか」(同秘書)
◆驚きの「事後対応」
竹詰事務所に2つの領収書について尋ねるとこう返答した。
「’23年の調査研究広報滞在費については、公開している通りです。使途ですが、国会法及び歳費法に規定されている通り『国政に関する調査研究、広報、国民との交流、滞在等の議員活動を行うため』に使用しております。本年8月1日の改正歳費法での、使いみちの範囲、公開方法等については与野党協議中ですのでその結果に従います。以上です」
木で鼻をくくる、と揮毫し、額縁に入れて飾りたくなるほどのゼロ回答だ。
国民民主党の党首(現在は役職停止中)の玉木雄一郎事務所でことの経緯を告げた後、竹詰事務所に直接赴くと「健康診断をなかなか受けなかったので無理に受けさせたものですが、人間ドックは計上すべきではなかったかもしれない」と経理担当の秘書が気まずそうに言ってから、こう続けた。
「(英國屋の117万円は)モーニングを新調しました。祝賀の儀や園遊会で皇居にも参内するので。レンタルも考えましたが、レンタルでもなかなかします(銀座英國屋レンタルモーニング8点セット11万円)ので、12年(議員を)やると考えれば購入したほうが安くつくと判断した」
旧文通費は竹詰議員の銀行口座に振り込まれた当日に議員が引き下ろし、全額を事務所で管理しているという。
「色々な評価はあると思うし、色々な声を考えないといけなかった」(同秘書)
本誌の取材後、竹詰事務所から「人間ドックとモーニング代は、旧文通費に適さないと判断し、削除しました。また、規定に則り136万円を政治団体に寄附しました」との連絡が寄せられた。同党のホームページからも、該当の領収書については削除されている。
旧文通費の細則については今後の国会での議論となる。少なくとも、公私の区別はつけるべきだろう。
取材・文:岩崎大輔
FRIDAYデジタル
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