( 263341 ) 2025/02/10 18:18:24 0 00 これまで通り生活していただけなんですが…年金月24万円、貯金1,500万円、自称「ごく普通」の72歳元会社員が“ジリ貧老後”爆走のワケ
「贅沢はしていないし普通に暮らしているのに、どんどんお金がなくなるんです……」年金暮らしに突入してしばらくすると、そんな風に悩む人がいます。その場合、「普通の暮らし」の考え自体がズレていることも少なくありません。
金子和彦さん(仮名・72歳)は7年前に仕事を退社。それからは妻と2人、年金と貯金で生活をしています。年金は夫婦合わせて月24万円ほど、貯金は退職金の残りも含めて1,500万円あります。
しかし、実は金子さんの貯金、65歳の時には3,200万円あったのだそう。7年間で1,700万円を使ったことになります。
「私としては、普通に生活してたんですけどね。大きかったのは車の買い替えぐらいで……」
しかしよく聞くと、金子さんのいう普通は、「老後の普通」ではなかったのです。
金子さんは、地方都市の中小企業の元サラリーマン。会社では部長まで昇りつめ、部下も数人抱えていました。体育会系で面倒見のいい金子さんは、よく部下を連れてお昼に行ったり飲みに行ったりして、そのお金を払っていたそうです。
「それ普通じゃないですか? だって若い奴らは給料も安いんだから出してあげなきゃ」
営業マンで外回りが多く、昼は外食。趣味はゴルフで、仕事の付き合いで休日に行くことも多かったとか。本人曰く、「絵にかいたような昭和スタイルの会社員だった」といいます。
「うちは娘1人が国立大に行ってくれて思ったよりお金がかからなかったし、現役時代は最高で年収850万円ぐらいあったから、そんな生活でも問題なくやってこれた。妻もちょっとパートしてましたしね」
そんな性格の金子さんは人望が厚く、定年後も友人や元同僚、部下からの誘いが途切れないのだといいます。しかし……。
金子さんは、食事や飲み会の場では現役時代と同じ調子で周囲に奢ってしまったり、そうでなくても少し多めに払ったり。時間があるからと誘いもほとんど断ることなく、ゴルフにもしょちゅう行っていました。
そんな生活だったので、使うお金は現役時代と比べて減らないどころか、多い月もあるほど。金子さんにとっては現役時代の延長だったので、当たり前だと思っていたのですが。
実際には年金月24万円に対して、支出はざっくり月36万円。毎月12万円の赤字ですから、その分を貯金から切り崩していたことになります。7年間で1,000万円ほどのマイナスですが、それに加えて車や家電などの買い替え、夫婦の旅行など、ピンポイントの支出も当然発生していました。
そういった積み重ねによって、3,200万円が1,500万円になることは何も不思議ではありません。
「妻は私を立ててくれるタイプだし、定年してしょぼくれても嫌だと思って言えなかったみたいなんです。悪かったと思ってね。ゴルフで知り合ったファイナンシャルプランナーの先生に相談して、このままじゃ破産だってあり得るって言われて。住宅ローンもちょうど終わったので、今さらだけど収入に合わせて生活しはじめたところです」
「老後は現役世代ほどお金を使わなくなる、だから収入が減ってもそれほど心配はない」そんな話を聞いたことがある人もいるでしょう。
確かに65歳を過ぎれば子育ても終わっていて教育費もかからなくなり、うまくいけば住宅ローンを払い終えているかもしれません。
また、通勤がなくなるので被服費は減り、そもそも物欲が薄れるので余計なものは買わなくなる。そう考えると、確かに支出は減っていきそうなイメージがあります。
実際のところはどうなのでしょうか。総務省「家計調査/2023年」を見ると、世帯主の年代別消費支出(2人以上の勤労者世帯)は以下のようになっています。
世帯主の年代別消費支出(2人以上の勤労者世帯)
〜29歳:24万3,700円
30〜39歳:27万3,900円
40〜49歳:32万6,500円
50〜59歳:35万3,200円
60〜69歳:31万2,900円
70歳〜:28万7,900円
※出典:総務省「家計調査/2023年」
これを見ると、50〜59歳の消費支出が全年代のピークとなり、60歳以降は減っているのがわかります。家計を自らスリム化していけば、年金暮らしになってもそれなりにやっていける。そう考えれば安心です。
逆に、現役時代と同じようにお金を使ってしまえば、お金はあっという間に減っていきます。収入と支出のバランスはしっかりと管理したうえで老後を楽しんでいくとよいでしょう。
THE GOLD ONLINE編集部
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