( 263436 ) 2025/02/11 03:10:23 0 00 日米の報道陣が取り囲む中で行われた日米首脳会談の少人数会合=7日、ワシントンのホワイトハウス(田中一世撮影)
石破茂首相は、米ワシントンで7日(日本時間8日)に行ったトランプ米大統領との会談に、対米投資などの「土産」を用意して臨んだ。「相性が合わないのでは」と悲観論が飛び交う中での会談だったが、昨年末から綿密に重ねた準備が奏功し、予測不能な相手との会談を無難に終えた。
「シナリオから外れることはなかった」。会談後、首相は周囲に手応えを語った。非公開で行われた昼食会では話が通じ合う場面が多くあった。
防衛費増額の要求を懸念した首相は先手を打ち、安倍晋三元首相と第1次政権時のトランプ氏が米国製装備品購入などを進めた実績を説明した。納得したトランプ氏はボルテージを上げた。
「そうだ、俺とシンゾーが進めたんだ」
懸案の日本製鉄のUSスチール買収計画では、「買収」ではなく「投資」だと提案した。「国内製造業の復活を唱えるトランプ氏は『労働で汗をかき、モノづくりで稼ぐべきだ』という思いが強い」と考えたからだ。トランプ氏は「買収は望まないが投資は大好きだ」と応じた。
限られた時間で首相が意識したのは両国の国益に資する提案だった。防衛装備品の共同開発や購入、経済関係などについて具体的な数字を挙げながら説明すると、トランプ氏は同席したバンス副大統領らの顔を見て満足げに語った。
「ほら、ちゃんと分かっているじゃないか」
理詰めの議論が好きな首相と、自国の損得を最優先するトランプ氏は具体的な政策論でかみ合った。首相は相手が胸襟を開くのを感じた。
トランプ氏が掲げる対日貿易赤字の解消を念頭に「日本の米国に対する投資はこの5年間連続して世界1位だ」と強調し、1兆ドル(約152兆円)規模まで引き上げる意向を伝えた。「抽象的で理念的な話はお互い好きではない。具体的な話をした」と振り返る。
シナリオは昨年12月から、第1次トランプ政権を知る外務、経済産業、防衛各省の官僚らと会議を重ねて練り上げた。1月中旬以降は休日も返上で、過去の発言から就任後の大統領令の文書まで分析し、問答パターンをいくつも用意した。首相は周辺に「これ以上はないといえるほど準備した」と語った。(末崎慎太郎)
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