( 263564 )  2025/02/11 05:28:39  
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CATLは、EV市場で競合他社に優位性を保ちながらも市場シェアと利益を拡大し続けており、2024年の業績予想では売上高は減収見込みながらも純利益は増益予想となっている。

CATLは中国市場で45%のシェアを持ち、リン酸鉄系と三元系の両方で首位に立っている。

また、CATLは海外市場でも強みを持っており、反撃を見せて首位の座を守っている。

しかし、将来の市場変化や競合他社の動きが不透明であり、CATLの高い利益率について取引先や業界から不満が出ている。

リン酸鉄系電池市場では海外メーカーも巻き返しを図り、CATLに対抗している。

(要約)

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EV市場の変調で電池業界に逆風が吹く中、CATLは市場シェアと利益を伸ばし続けている(写真は同社ウェブサイトより) 

 

 EV(電気自動車)用の車載電池で世界最大手のCATL(寧徳時代新能源科技)が、競合メーカーに対する優位を広げつつある。 

 

 同社が1月21日に開示した2024年の通期業績予想によれば、売上高は3560億〜3660億元(約7兆5619億〜7兆7743億円)と前年比8.7〜11.2%の減収を見込む一方、純利益については490億〜530億元(約1兆408億〜1兆1258億円)と逆に11.1〜20.1%の増益予想を示した。 

 

 通期売上高が減収となる理由について、CATLはリチウムイオン電池の主原料である炭酸リチウムの相場下落にともない、製品の販売価格を(連動して)引き下げたためと説明。数量ベースの電池の販売は2024年も着実に増加したという。 

 

 一方、通期純利益の増益要因については「(競合他社に対する)わが社の技術力、研究開発能力、製品の競争力が高まり続けたため」と分析した。 

 

■中国市場でシェア45% 

 

 車載電池業界の団体である「中国汽車動力電池産業創新聯盟」のデータによれば、2024年に中国で生産された新車への搭載量ベースで、CATLの市場シェアは45.1%に達した(訳注:2023年の市場シェアは43.1%)。 

 

 現在主流の車載電池は(正極材料の組成が異なる)「三元系」と「リン酸鉄系」の2種類があり、CATLはその両方で首位に立つ。具体的には、2024年の市場シェアは三元系で69.2%、リン酸鉄系で37.1%だった。 

 

 CATLの強さは海外市場でも際立っている。韓国の市場調査会社SNEリサーチのデータによれば、2024年1月から11月までの期間に全世界で生産された新車への搭載量ベースで、CATLは36.8%の市場シェアを獲得。第2位のBYD(17.1%)や第3位の韓国のLGエナジーソリューション(11.6%)に2桁の差をつけている。 

 

 中国の自動車市場では、過去数年間でエンジン車からEVやPHV(プラグインハイブリッド車)へのシフトが急速に進み、車載電池の需要が爆発的に増加した。その過程では、最大手のCATLでも需要に供給が追いつかず、競合メーカーのシェア拡大を許した時期があった。 

 

 特にリン酸鉄系の電池では、BYDが(独自技術で電池の積載効率を高めた)「ブレードバッテリー」を武器に市場シェアを伸ばし、2023年にはCATLを抜いて一時首位に躍り出た。 

 

 

 しかしCATLの反撃は素早かった。同社は2023年9月、超急速充電に対応したリン酸鉄系の新型電池「神行超充電池」を発表。さらに蓄電システム用のリン酸鉄系電池など新製品を次々に投入し、シェア首位の座をBYDから奪い返した。 

 

■高い利益率への「恨み言」も 

 

 とはいえ将来に目を向けると、CATLが現在の強さを維持するのは簡単ではなさそうだ。ヨーロッパやアメリカの自動車市場では、2024年に入ってからEVシフトの勢いが大きく低下した。 

 

 中国市場でも(電池を大量に搭載する)EVの販売の伸びが鈍化し、(電池搭載量がEVより少ない)PHVの人気が高まっている。こうした市場の変化を受け、車載電池のグローバル需要は(少なくとも短期的には)伸び悩むと見られている。 

 

 また、CATLの取引先である自動車メーカーや電池部材のサプライヤーなどからは、同社の高い利益率に対して不満の声が上がっている。自動車メーカーの多くは(完成車の)価格競争のエスカレートで赤字販売を余儀なくされ、部材メーカーはCATLから(バイイングパワーを背景にした)厳しいコストダウン要求を突きつけられているからだ。 

 

 「EV関連業界の利益はCATLにほとんど持っていかれた」。財新記者の取材に応じた電池部材メーカーの関係者は、そんな恨み言をこぼした。 

 

 リン酸鉄系電池はこれまで中国メーカーの独壇場だったが、ここにきて海外メーカーの巻き返しも始まった。LGエナジーソリューションや日本のトヨタ自動車は独自のリン酸鉄系電池の量産準備を進めており、CATLからの市場シェア奪取を狙っている。 

 

 (財新記者:安麗敏) 

※原文の配信は1月22日 

 

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