( 264274 )  2025/02/12 17:11:49  
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26年間営業を続けたイトーヨーカドー南松本店が1月13日に閉店した。

南松本店に入居していた地元事業者にも影響が出ており、食品売り場の総菜店「そうざいのかとう南松本店」を運営していた株式会社加藤鯉鶏肉店も売上の2割弱を失うことになる。

南松本店の閉店により、各事業者や地域に多くの影響を及ぼすと考えられている。

(要約)

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26年間の営業を終えたイトーヨーカドー南松本店 

 

 1月13日に閉店した長野県のイトーヨーカドー南松本店(松本市高宮中)。閉店は、入居していたり、商品を卸していたりした地元事業者にもさまざまな影響を与えている。 

 

 1階の食品売り場で、総菜店「そうざいのかとう南松本店」を開いていた株式会社加藤鯉鶏肉(こいけいにく)店(塩尻市大門一番町)。加藤崇社長(57)によると、南松本店の売上額は全社の2割弱を占めていた。 

 

 加藤鯉鶏肉店は、コイやウナギを調理した総菜販売が主力。本店と松本市のヨーカドーのほか、同市深志1のアルピコプラザと塩尻市広丘野村のGAZA(ギャザ)にあるデリシア内、そして同市大門一番町のウイングロードの計5カ所で調理・販売していた。 

 

 ヨーカドーとデリシアではスーパーの調理場の一部を借りて調理。一番人気は「鯉のうま煮」で、他にサバの煮付けや煮物など手作り商品が売りだった。その他に中信地方のスーパー5店に販売コーナーを設けているが、ヨーカドー内の南松本店の売上額は、GAZA内の店に次いで2番目に大きかった。 

 

 加藤社長によると、南松本店は2010年ごろ開業。ヨーカドーの総菜は質が高く、その中で自社商品を売るために工夫を重ねたという。「一生懸命、商品開発をしてこちらも成長できた。ヨーカドーには感謝している」。その店舗が、ヨーカドーと共に閉業を余儀なくされた。「影響は非常に大きい」 

 

 コイは、親戚の会社が千曲市で養殖しているものを仕入れて使用。野菜類は松本市の市場で買い付けている。仕入れの減少は、これら関連事業者の売り上げにも影響する。 

 

 買い物客からは「閉店後はどこに行けば買えるの?」という問い合わせが度々寄せられた。近隣店舗の場所を示す紙を配ったが、塩尻市内や松本駅前のアルピコプラザ内の店にわざわざ行くのを控える人もいるだろう。「引き続きお越しいただけるといいが…」。加藤社長は客離れを心配している。 

 

 ヨーカドー1階にあった菓子店「里菓抄(さとかしょう) まる山」の南松本店は、有限会社丸山菓子舗(安曇野市)のテナント店だった。「安曇野の店を松本で多くの人に知ってもらうきっかけになった」。丸山明男社長(56)は、ヨーカドー内の店舗の意義をこう話す。 

 

 

 丸山菓子舗は安曇野市に本店など3店、北安曇郡池田町に1店、松本市内に2店を構えていた。南松本店がなくなると、松本市内は道路距離で約8キロ西にある梓川倭の「氷室店」だけ。南松本店の利用客から「梓川は遠い」との声が寄せられており、丸山社長は「松本のお客さまには大変お世話になったので、申し訳ない」と話す。 

 

 ヨーカドーの閉店は、商品を卸していた業者にも打撃を与える。青果を納品していた松本市の仲卸業者は、ヨーカドー閉店で売り上げが年間約3千万円減るという。同社の執行役員は「失う売り上げを別の取引先でカバーするのは難しい。相手先の閉店だからどうしようもないが、会社としては厳しい」と漏らす。 

 

 執行役員は、何年も前からヨーカドーの担当者に「南松本は閉店の候補に挙がっている」と聞かされていた。松本市内は人口規模に対してスーパーの数が多く、価格競争が激しい。これから長野県内で取引先を開拓するのは難しく、「今後は県外市場にアプローチしていく必要がある」と話した。 

 

 加藤鯉鶏肉店の加藤社長がヨーカドー閉店を正式に聞いたのは、昨年9月だった。建物が別の会社に渡り、店を維持できればいいと思っていたが、結果は建物ごとの閉鎖。残念な気持ちが募った。 

 

 今後はまず、本店で製造した総菜を搬入して販売するコーナーを、スーパーや食品販売店に増やすことを模索するという。「これからも多くの方に手作りの味を届けたい」。思いを胸に、前を向いた。 

 

 

 
 

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