( 264574 )  2025/02/13 05:46:29  
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農水省は備蓄米を放出する計画を発表しました。

放出量が大きいと価格が暴落する可能性もあるが、少なすぎると効果がない恐れもあるとして、適切な量を放出する難しさが指摘されています。

放出後は価格の下落も考えられますが、買戻しが行われると価格が上昇するとの見方もあります。

政府は流通ルートの把握が難しくなっており、市場原理を崩さずに価格の安定を図ることが注目されています。

(要約)

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コメの高値が収まらないなか、農水省は14日に備蓄米をどれだけ放出するか発表する、と明らかにしました。これでコメの値段は、下がるのでしょうか? 

 

■「備蓄米」放出で価格どうなる? 放出量も大きなカギに 

 

井上貴博キャスター: 

「政府備蓄米」は政府が緊急時に備え蓄えているコメです。今回、農水省は放出する政府備蓄米の「対象年」「数量」「入札方法」などについて、14日に公表すると明らかにしました。 

 

備蓄米は災害などが起きたときに放出されたことがあるのですが、今回は流通不足が理由で、実施すれば初めてのことになります。 

 

今回、政府備蓄米はどの程度放出されるのでしょうか。 

 

宇都宮大学の小川真如助教によりますと「具体的な量は分からない」とした上で、▼大量放出の場合、価格が暴落するおそれがある。“市場に大きな影響”出るため(大量放出は)考えにくい。 

 

一方で、▼少なすぎる場合、売り渋っている業者が「様子見でいいのでは」と手放さないおそれがある。市場関係者としても「国が放出したのに効果がない」と不安・混乱をまねくおそれがあるといいます。 

 

どのくらいの量を放出するかはとても難しく、農水省としてもギリギリのところで折衝を行っているのではないかということが推測できます。 

 

価格はどうなるのでしょうか。江藤拓農水大臣は12日の会見で「ターゲットプライスがあるわけではない」と述べ、“価格は市場が決めるべき”という考えを示しました。 

 

キャノングローバル戦略研究所の山下一仁研究主幹は「備蓄米の放出先である集荷業者などが“売り渋り”を行うおそれがある」と話します。入札しておいて売らないことも考えられ、“効果がない可能性も”あるというのです。 

 

ただ価格については専門家でも意見が分かれているようで「入札は、集荷業者の名前が出るので売り渋ると批判を招くおそれがあるのでそこまでしないのでは」という可能性もあるということです。 

 

■なぜ?備蓄米「1年以内に買戻し」「見通しが少々甘い」指摘も 

 

今回、農水省は備蓄米を売り渡す条件として、“1年以内に同じ量を買い戻す”としています。 

 

 

宇都宮大学の小川真如助教は「市場に影響を及ぼすべきではない備蓄米。早めに買い戻すことで、市場への影響を最低限に抑えたい狙いがあると考えられる」といいます。 

 

一時的に供給過多にある程度持っていくが、最終的には買い戻すので、(市場原理が崩れるような)そこまでは踏み込まず、最小限に抑えたいということなのです。 

 

ホラン千秋キャスター: 

不透明なところが多いのでわかりませんが、価格はそんなに変わらない上でさらに早めに買い戻してしまうと、もっと混乱するのではないでしょうか。 

 

萩谷麻衣子 弁護士: 

不透明なところが多いというのは、おそらく政府がこういった状況で備蓄米を放出することを、全く想定せずにシミュレーションをしてこなかったからだと思います。備蓄米は1993年に起こった「平成の米騒動」の経緯をふまえて制度化されたものです。 

 

平成のときも供給量を調整することを目的にしていたと思いますが、今回のように価格が上がりすぎた場合に放出して下げるということは、全く予定していなかったわけではないと思います。そのことをしっかり事前に検証してこなかったことに問題があると思います。 

 

また、米農家さんとしては価格が高い方がありがたいけれど、あまり高いと米離れを起こしてしまうのではないかと心配しています。政府はどのように米価格の安定をコントロールしていくか注目ですね。 

 

井上キャスター: 

今まである程度、政府が流通ルートを把握していましたが、今はそれができなくなっているという過渡期に入っています。米作りの政策についてどうすべきか。転換点にきているのかもしてません。 

 

コメの収穫は年1回、天候に左右されるため、生産の見通しは春以降になります。 

 

宇都宮大学の小川真如助教によりますと、生産量が伸び悩むなか国の買戻しがある場合、2025年の新米は価格・流通量に影響しさらに高騰する可能性もあるといい、「コメ作りは2〜3年のスパンで考えるべき。1年で事態を収束させるつもりなら見通しが少々甘いのでは」と話します。 

 

 

キャノングローバル戦略研究所の山下一仁研究主幹も「放出後は価格の下落も考えられるが、買戻しが始まるとコメの価格は上がるだろう」といいます。 

 

今まで例がないとはいえ、政府はどのようにみていくのでしょうか。 

 

萩谷麻衣子 弁護士: 

息子が育ち盛りのときは、とにかくご飯でお腹いっぱいにしようとしていました。消費者としても、お米は重要なものなので、価格と供給量が安定しないのは、生活に直結することなので不安ですし困りますよね。 

 

ホランキャスター: 

政府は「1年以内に同じ量を買い戻す」との考えを示していますが、様子を見ながら、融通を利かせていけるのかがポイントになりそうです。 

 

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<プロフィール> 

萩谷麻衣子 弁護士 

結婚・遺産相続などの一般民事や、企業法務を数多く担当 

 

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