( 265159 )  2025/02/14 15:05:19  
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今年6月末の米の民間在庫量が、農水省予測の158万トンを大幅に下回る可能性がある。

流通業者の間では米不足の懸念が広がっており、農水省の統計では6月末の在庫量が前年比5万トン増の158万トンと見込まれているが、産地や関係者から疑問視されている。

統計を基に試算すると、実際の在庫量は110万〜130万トン程度となる可能性があり、農水省も今後の動向を注視する姿勢を示している。

(要約)

( 265161 )  2025/02/14 15:05:19  
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農水省は158万トンと見通すが… 

 

 今年6月末の米の民間在庫量が、農水省が見通す158万トンを大きく下回る可能性が出ている。直近の減少ペースが続くとして本紙が試算したところ、6月末民間在庫量は110万〜130万トンと低水準になり、国内需要量の約2カ月分でしかない。既に流通業者の間では、「今年の夏も米不足になる危険は十分ある」(大手米卸)と警戒感が広がる。 

 

 農水省が公表する在庫量の統計は、(1)毎月公表するJAなど出荷・卸など販売段階の民間在庫(2)年に1度公表する6月末民間在庫--の二つある。(1)の調査対象の範囲は、年間取扱量が500トン以上の出荷段階と4000トン以上の販売段階の在庫。(2)は、(1)の対象に加え、500〜4000トンの販売段階、生産者の生産段階、もち米の在庫を対象にし、米の需給を判断する重要な指標となる。 

 

 (2)の今年6月末の民間在庫量について、同省は前年比5万トン増の158万トンと見通す。ただ、産地や流通関係者らは、「米の不足感が前年以上に強い。本当に158万トンも残るのか」と疑問視する。 

 

 本紙がこれまでの統計を基に試算した。 

 

 (1)の統計を見ると、直近12月末時点が253万トンで、前年比44万トン減。仮に同じ減少幅で推移すれば、6月末の出荷・販売段階の在庫量は71万トンになる。 

 

 (1)の在庫量に、産地や小規模業者の在庫などを積み上げたものが(2)の在庫量となる。前年6月末には、産地や小規模業者の在庫として38万トンあった。単純に(1)の71万トンに足すと、109万トンになる。 

 

 2024年産米を巡っては、JAなど大口業者の集荷量が12月末時点で前年より21万トン少ない。その分を生産者や小規模業者が在庫として抱えていた場合、(2)の6月末在庫量は130万トンになる。24年産生産量は前年より18万トン増えているものの、今夏の在庫量は前年を大きく下回る可能性がある。本紙の試算結果を踏まえて、6月末在庫量の見通しを確認したところ、農水省は「今後の動向を注視していく」(企画課)と回答した。 

 

 前年に続く夏場の米不足を懸念する流通業者らが多い。大手米卸は「既に通年供給が難しい在庫水準」と判断し、家庭向けの販売制限を決めた。ある商社は、国家貿易枠外となる民間貿易で、既に数千トンの輸入米を確保したという。 

 

 同省は13日、流通上の米不足解消へ、政府備蓄米を21万トン放出する方針を固めた。「一定にインパクトがある水準」(米卸)など驚く声もあり、今後の需給や価格への影響に関心が集まる。 

 

日本農業新聞 

 

 

 
 

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