( 265339 )  2025/02/14 18:22:30  
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中日ドラゴンズの根尾昂選手がプロ7年目を迎え、今年は救援での起用が決定している。

実戦初登板では、1回3安打1失点という結果で物足りなさが残った。

根尾は結果を出して首脳陣の信頼を勝ち取る必要があり、今年が彼のターニングポイントになる。

また、愛知県出身の地元選手はメディアやファンから特別待遇を受ける傾向があり、プレッシャーもあると指摘されている。

根尾のこれからの活躍が注目されている。

(要約)

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中日の根尾昂 

 

 中日・根尾昂がプロ7年目を迎えた。今年は救援で起用されることを首脳陣に通達されている。春季キャンプは2軍スタート。今年の実戦初登板となった2月8日の紅白戦で幸先良いスタートを切りたかったが、1回3安打1失点と物足りなさが残った。 

 

 先頭打者の土田龍空に右翼へアーチを浴びると、その後も辻本倫太郎に右前打、鵜飼航丞に左中間二塁打で1死二、三塁のピンチに。津田啓史、濱将之介を連続三振で仕留めてどうにか最少失点で切り抜けた。中日を取材するスポーツ紙記者は渋い表情を浮かべる 

 

「実戦初登板ですし、キャンプの疲れがくる時期であることを差し引いても、もう少し直球で押し込まないと厳しい。球のキレ、変化球、制球力とすべての面でレベルを上げていかないと開幕1軍はイメージできません。もう期待の若手と呼べる立場ではないですし、今後の登板で結果を積み重ねて首脳陣の信頼を高めなければいけません」 

 

 大阪桐蔭で投打の二刀流として活躍し、ドラフト1位で4球団が競合した逸材だが、プロ入り後は伸び悩んでいる。遊撃でレギュラーを目指したが外野に回り、さらに異例の投手への転向。投手でも当初は先発で覚醒を目指したが試行錯誤を続け、今年は救援で勝負することになった。 

 

「起用法がコロコロ変わったのは同情すべきですが、どのポジションでも突き抜けたパフォーマンスを見せられなかったのは事実です。名古屋では、地元出身選手は結果を出していなくても地元メディアにスターとしてチヤホヤされ、熱く応援される。東海圏の岐阜出身の根尾も例外ではありません。今も球場で名前がコールされるとファンの歓声がすごい。居心地が良い環境だと思いますよ。でも、完全に頭打ちの状況を考えると、根尾は今年結果を出せなければ、他球団に移籍したほうがいい。いまの環境を離れて、『自分は何者でもない』という立ち位置を知ったほうが、本人のためにもいいと思います」(スポーツ紙デスク) 

 

 

■「愛知県って地元選手に甘いところがある」 

 

 昨年中日でヘッドコーチを務めた片岡篤史氏も自身のYouTubeで「愛知県って石川(昂弥)にしても高橋(宏斗)にしても地元の選手に甘いところがある。それは気をつけてほしいですね」と指摘した。根尾についても「地元のスターということで何とかしたい」と語っている。 

 

 民放テレビ局の関係者がこう話す。 

 

「愛知、岐阜、三重県は東海3県と呼ばれ、出身選手に対する中日ファンの熱量は高い。岐阜県出身の和田一浩さんが西武からFAで中日に移籍した際はメディアで連日大きく報道されました。根尾が入団した時もすごかったです。1軍がオープン戦をやっている時に、同時中継で根尾がファームでフリー打撃の様子を映像で流していました。阪神ファンも熱狂的で知られますが、関西出身の選手でも結果を出さないと厳しい声が出る。中日はちょっと独特の環境かもしれません」(民放のテレビ局関係者) 

 

 東海圏出身の選手たちがメディアで大きく扱われるのは名古屋の文化と言える。それが遠因になっているのか、地元出身のドラフト1位選手は、取りざたされるわりには目立った活躍がないまま消えてしまうケースが目立つ。 

 

■甲子園記録を作った藤王だが… 

 

 享栄高(名古屋市)で高校通算49本塁打、甲子園で11打席連続出塁の大会記録を作り、高校球界を代表するスラッガーとして1983年ドラフト1位で入団した藤王康晴は、高卒1年目から34試合に出場し、打率.361と非凡な打撃センスを見せた。だが、その後は一軍に定着できず、89年オフに日本ハムへトレード移籍。一度も規定打席に到達することがないまま、92年限りで現役引退した。 

 

 中京大中京(名古屋市)から2001年のドラフト1位で入団した前田章宏も、強肩強打が魅力の捕手として将来を嘱望された。実家がナゴヤ球場の近くで、入団時は地元メディアの注目度が高かったが、正捕手の壁は厚かった。通算54試合の出場で打率.070、本塁打ゼロで13年に現役引退した。 

 

 

■野球に集中できる環境だったら変わった? 

 

 堂上直倫(現1軍内野守備走塁コーチ)も愛知県出身でドラフト1位入団した。愛工大名電(名古屋市)で高校通算55本塁打を記録し、06年のドラフトでは中日、阪神、巨人が1位指名で競合。当たりクジを引き当てられなかった巨人が外れ1位で指名したのが坂本勇人だったことも知られている。堂上が入った当時、中日の内野陣にはアライバ(荒木雅博、井端弘和)ら、不動のレギュラーがいためぐり合わせもあり、なかなか定位置をつかめなかった。23年に現役引退するまで17年間、内野ならどこでも守れるユーティリティープレーヤーとして中日一筋でプレーしたが、打撃では通算476安打、34本塁打と期待されたほどの成績は残せなかった。 

 

「堂上は坂本と比較されることが多かったのでかわいそうな部分がありましたが、守備に磨きをかけてよく頑張ったと思います。藤王はもったいなかったですね。将来は打撃タイトルを狙える素材でした。地元のスター候補だったので、名古屋で酒の誘いが多かった。野球に集中できる環境だったら、どんな野球人生だったのだろうと思いますね」(中日を長年取材するライター) 

 

 ファーム暮らしが長くなっている根尾だが、いまでも人気はピカイチだ。応援を続けるファンの期待にこたえて結果を出すことができるか、それとも過去の地元出身のドラ1選手をなぞることになるのか。今年は野球人生のターニングポイントになるだろう。 

 

(今川秀悟) 

 

今川秀悟 

 

 

 
 

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