( 265769 )  2025/02/15 17:25:21  
00

日銀の政策金利引き上げを受け、変動型住宅ローンを巡る銀行の戦略が変化している。

三菱UFJ銀行は最優遇金利を維持しつつ低金利競争を展開する一方、付帯サービスの充実に力を入れる銀行も登場している。

日本の住宅ローン市場では、金利が上がりつつあり、利用者側も賢い選択を迫られている。

最大手銀行がネット銀行に対して低金利競争を仕掛ける展開も見られるが、他の銀行は金利競争から距離を置き総合力で勝負する方向に進んでいる。

変動型住宅ローンが依然として有利であり、金利上昇に対するリスクを意識する中で固定金利も注目されているが、当面は変動型が有利であるとされている。

(要約)

( 265771 )  2025/02/15 17:25:21  
00

窓口で住宅ローンのチラシを使って説明する三菱UFJ銀行の行員=13日、東京都千代田区(永田岳彦撮影) 

 

日銀の政策金利引き上げを受け、変動型住宅ローンを巡る銀行の戦略が新たな局面に入った。最大手の三菱UFJ銀行が最優遇金利を据え置いて低金利競争を仕掛ける一方、消耗戦を避けて付帯サービスの充実で勝負する銀行も出てきた。銀行にとって、住宅ローンは個人顧客との長い付き合いにつながる大事な商品だ。「金利のある世界」の到来で利用者側にも賢い選択が迫られている。 

 

「日銀が利上げして変動金利があがる可能性はありますか」-。1月24日の日銀の追加利上げ決定後、住宅ローン比較診断サービス「モゲチェック」に利用者らの相談が殺到した。運営会社MFSの塩沢崇取締役は「捌ききれず、臨時でスタッフを雇った」と明かす。 

 

住宅ローン市場では、有人店舗を持たずコスト面で優位なインターネット銀行が変動型で最優遇金利0・3%前後の低金利で攻勢をかける構図が続いていた。だが、日銀が2024年7月に0・25%程度への利上げを決めると、様相が変わる。 

 

■最大手がネット銀に反転攻勢 

 

利上げを受け、多くの銀行が10月から変動型金利を引き上げる中、三菱UFJは新規契約者向けの最優遇金利を0・345%に据え置いた。同行幹部は「10月は9月対比で1・4倍の申し込みがあった」と手応えを語る。それまでとは逆に、最大手がネット銀に低金利競争を仕掛けた形だ。 

 

ただ、25年1月に日銀は0・5%程度への追加利上げに踏み切っており別の銀行関係者は「三菱UFJもいつまでも低金利競争は続けられないだろう」と静観する。 

 

単純な金利競争から距離を置く動きもある。東京スター銀行は、22年1月に一時販売を停止した普通預金の預金額と同額分の住宅ローンの金利負担を「実質ゼロ」とする「預金連動型住宅ローン」を25年1月に再開した。同行コンサルティング事業部の原田歩ヴァイスプレジデントは「金利のある世界のメリットを幅広いお客さまに今まで以上に感じてもらえる」とアピールする。 

 

一方、住信SBIネット銀行は物件価格高騰に対応し、今月4日から、住宅ローンの借り入れ上限額を2億円から3億円に引き上げた。重い病気になった場合などにローン残高の返済を代わりに行う団体信用生命保険(団信)の保障額も増やす。団信の対象となる病気などを幅広くカバーするほか、手続きのサポートなどを充実させる。 

 

 

寺田隆宏執行役員は「団信などを含めた商品や周辺サービスの質を高めたものを提供する」と総合力で勝負する方針を示す。 

 

■変動型有利は変わらず 

 

塩沢氏は4月以降の主な銀行の変動型金利について、0・25%引き上げられて、0・6%前後になると予想する。0・5%の変動金利で3500万円借り入れた場合、金利が0・25%上昇すると返済負担額は月3920円増えると試算される。 

 

日本では約8割が変動金利を選ぶが、金利が上がるリスクが意識される中で、金利が変動しない固定型も注目を集めそうだ。ただ、固定金利は長期金利上昇のあおりを受け、高止まり傾向が続いており、当面は変動型優位の状況が続く公算が大きい。(永田岳彦) 

 

 

 
 

IMAGE