( 265784 )  2025/02/15 17:41:24  
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日本の人口減少に伴う問題について、『未来のドリル』シリーズがコロナ禍で加速する少子化の現状を描いている。

人口減少対策の一環として外国人の受け入れ拡大も取り上げられており、それについてもコロナ禍が限界を示している。

観光需要を外国人旅行者に依存する考え方があるが、新型コロナウイルス感染拡大により外国人旅行者数が激減し、これが経済への大きな影響を及ぼした。

外国人の観光客数が急激に減少し、観光関連産業が打撃を受けている状況が明らかにされている。

将来の展望についても、どれだけの時間がかかるか不透明な状況が続いている。

(要約)

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写真:現代ビジネス 

 

人口減少日本で何が起こるのか――。多くの人がこの問題について、本当の意味で理解していない。どう変わればいいのか、明確な答えを持っていない。 

 

100万部突破の『未来の年表』シリーズの『未来のドリル』は、コロナ禍が加速させた日本の少子化の実態をありありと描き出している。この国の「社会の老化」はこんなにも進んでいた……。 

 

(※本記事は『未来のドリル』から抜粋・編集したものです) 

 

人口減少対策三本柱の3本目である「外国人の受け入れ拡大」については、どうだろうか? 

 

これも、コロナ禍によって対策としての限界が露呈した。 

 

外国人の受け入れについては、旅行者と労働力に分かれるが、まず旅行者に関してだ。 

 

少子高齢化で若い消費者が激減していくためにできる穴を、「外国人旅行者(インバウンド)需要」という外需を招き入れることによって埋めようという極めて分かりやすい、辻褄合わせの考え方である。 

 

インバウンド需要への取り組みについては、ビザ要件の緩和や免税制度の拡充、航空ネットワークの拡大といった改革の旗振りを政府がしてきたこともあって、「コロナ前」は外国人旅行者数は急増傾向にあった。 

 

政府は、「明日の日本を支える観光ビジョン」(2016年)で訪日外国人旅行者数を2020年に4000万人、2030年に6000万人にする目標を掲げ、消費額としてそれぞれ8兆円、15兆円を皮算用までしていた。 

 

ところが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、外国人旅行者を大規模に受け入れる目論見は完全に崩れ去った。東京や大阪、京都など大変な賑わいを見せていた観光地でもその姿はすっかり消えてしまい、売り上げを当てにしていたホテルや航空、鉄道、飲食などの業界からは悲鳴が上がった。 

 

言うまでもなく、自国の感染拡大につながることを懸念した世界各国が、国境をまたいでの往来を厳しく制限したためである。 

 

その落ち込みは目を覆うばかりだ。出入国在留管理庁の速報値によれば、2020年に日本に入国した外国人は430万7257人で、前年より2687万9922人少なく、86.2%もの減少となった。入国者数は2019年まで7年連続で過去最多を更新中だったが、2020年は統計を取り始めた1950年以降、最大の落ち込み幅である。 

 

このうち、観光目的は短期出張などと同じ「短期滞在」で、336万831人(全体の93.8%)を数えたが、前年の実績に比べると87.9%もの大激減であった。 

 

外国人観光客の激減は、経済効果としても大打撃であった。観光庁の「観光白書」(2020年版)によれば、2019年の外国人旅行者の受入数は約3188万人だ。訪日外国人旅行消費額は4兆8135億円に上る。日本国内における旅行消費額(27.9兆円)の17.2%を占めている。東京、神奈川、千葉、埼玉、愛知、大阪、京都、兵庫の8都府県を除く地方を訪れる外国人旅行者も年々増加しており、2019年には1840万人、旅行消費額も1兆2466億円に及んでいた。 

 

成長分野がなかなか誕生しない日本にとって、観光関連産業は数少ない有望な産業として育っていたが、コロナ禍でそのほとんどが吹き飛んでしまったのである。 

 

パンデミックの場合、国ごとの感染状況に違いがあるため、日本国内が収束しても、外国人観光客が「コロナ前」の水準に戻るのに、どれぐらいの時間を要するか分からない。 

 

つづく「日本人はこのまま絶滅するのか…2030年に地方から百貨店や銀行が消える「衝撃の未来」」では、「ポツンと5軒家はやめるべき」「ショッピングモールの閉店ラッシュ」などこれから日本を襲う大変化を掘り下げて解説する。 

 

河合 雅司(作家・ジャーナリスト) 

 

 

 
 

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