( 265794 )  2025/02/15 17:52:34  
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日本の人口減少による様々な影響について、著名な作家・ジャーナリストである河合雅司氏が警鐘を鳴らしている。

特に深夜時間帯の労働者不足が深刻化しており、これによってビジネスモデルの問題が露呈している。

24時間営業での薄利多売を維持するためには、賃金を上げても売り上げが伸びない恐れがあるため、従業員確保に苦慮している現状が明らかになっている。

今後、日本企業がどのように対応していくか、また人口減少がさらなる影響を及ぼす可能性も指摘されている。

(要約)

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写真:現代ビジネス 

 

人口減少日本で何が起こるのか――。多くの人がこの問題について、本当の意味で理解していない。どう変わればいいのか、明確な答えを持っていない。 

 

100万部突破の『未来の年表』シリーズの『未来のドリル』は、コロナ禍が加速させた日本の少子化の実態をありありと描き出している。この国の「社会の老化」はこんなにも進んでいた……。 

 

(※本記事は『未来のドリル』から抜粋・編集したものです) 

 

日本社会で起きている構造的変化は、深夜時間帯に働く人手の不足が深刻化していることだ。少子化に伴って、学生アルバイトをはじめ深夜勤務に耐えられるだけの“体力の持ち主”が減ったのである。 

 

だが、人手不足の要因はこれだけではない。深刻なのは、むしろ24時間営業が売上額の拡大成長を目指す薄利多売のビジネスモデルとなっていることである。 

 

深夜時間帯に営業するのだから、本来、タクシーなどのように「割増料金」を徴収してもおかしくない。その分を深夜時間帯に働く人の給与に回せば、人手不足はある程度は解消できるはずだ。しかし、これができないのである。 

 

景気の悪化や国内マーケットの縮小で顧客数が落ち込んだとしても、営業時間を延ばすことで売り上げを維持・拡大させたいという発想で始まったために、「いつも同じ価格で同じサービス」がセールスポイントになっているのである。自分のところだけ、商品価格を簡単に上げるわけにはいかないという心理が働いてしまうのだ。 

 

端的に説明すれば、商品を値上げして賃金を上げたのでは売上額が伸びず、シェア競争に負けてしまうということだ。日本企業はどこまでも売上高拡大モデルの考え方で凝り固まっているのである。 

 

こうしたモデルを今後も続けようと思えば、安い賃金で高いクオリティのサービスを提供できる人材を安定的に確保せざるを得ない。「日本のコンビニエンスストアやファミリーレストランは、手ごろな価格でハイクオリティの品揃えをしていてスゴイ」などと言っていられるのも、相対的に安い賃金で働く人々に支えられてきたからである。 

 

だが、深夜勤務に耐えられる若い年齢の人口が減っていくのだから、これには無理がある。 

 

「コロナ前」からその予兆は見え始めていた。かつてはアルバイトを募集すれば、募集人数を大きく上回る応募があったが、近年は募集人数に満たないことも多くなった。店員不足でローテーション勤務が成り立たなくなる店舗が目立ち始め、新規店舗のオープン時期を延期せざるを得ないケースもあったのだ。 

 

若い働き手が激減していく中で、薄利多売型のビジネスモデルのままの24時間営業は続きようがない。それでもこのビジネスモデルを将来的に維持しようというのなら、一部を除いて無人店舗とするぐらいしか方法は残らないだろう。それで顧客自ら冷凍食材を電子レンジで温めるようなレストランが誕生したとしても、流行するかは疑問である。 

 

つづく「日本人はこのまま絶滅するのか…2030年に地方から百貨店や銀行が消える「衝撃の未来」」では、「ポツンと5軒家はやめるべき」「ショッピングモールの閉店ラッシュ」などこれから日本を襲う大変化を掘り下げて解説する。 

 

河合 雅司(作家・ジャーナリスト) 

 

 

 
 

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