( 265934 )  2025/02/16 04:28:43  
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50代主婦が自らの家族を殺害し、死体を遺棄した事件の裁判が埼玉地裁で行われている。

被告は55歳の渡辺美智子被告で、殺人と死体遺棄の罪に問われている。

事件の背景には、義母とのいさかいや金銭トラブルがあったことが明らかになっている。

裁判では、被告の夫で被害者の長男が証言し、家庭内の状況や事件の経緯が明らかにされた。

被告は暴力を振るったこともあったが、主に口頭で注意していたと証言されている。

事件の発端とされる金銭トラブルについては、被害者の息子が理解していないと述べている。

事件後、犯行を自らに対して問いつめても答えがなかった被告に対し、「離婚しようと思います」と述べ、家族に大きな悲劇をもたらしたことについて悔いている様子が伝えられている。

(要約)

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事件の現場となったアパート(写真は一部加工しています) 

 

前編記事『【実家の金を盗ってこい】義母の首を絞めて殺害…50代主婦を凶行に走らせた「いびつな嫁姑関係」』では、50代の主婦が義母に追い込まれ、やがて手にかけるまでを取り上げた。 

 

’25年1月29日からさいたま地裁で、同居していた義母を殺害しその死体を遺棄したとして殺人と死体遺棄の罪に問われている渡辺美智子被告(55)の裁判員裁判が開かれている。 

 

初公判では渡辺被告の夫で被害者の長男であるA氏が出廷。証人尋問が行われた。 

 

渡辺被告とは’00年に結婚。新潟市内で息子と3人暮らしをしていたが、’14年頃にさいたま市内のメゾネット式のアパートに引っ越し。夫の母親と妹2人が加わった6人での同居生活が始まった。1階はリビング、2階には各自の部屋があり、A氏の収入で生活費をまかなっていた。家計もA氏が管理していたという。 

 

「母は家事のやり方や掃除の仕方などで、被告人(渡辺被告)を注意することがよくありました。『掃除した』と言っても、母からすれば“できてない”ということがあったからです。私が見ても汚れやホコリが残っていたので、ちゃんとやっていないんじゃないかと思っていました。食事のメニューも『似たようなものが多い』『野菜が出ない』というようなことを、毎日のように注意されていました」(A氏) 

 

検察官の「口で注意するだけですか?」という質問にはこう答えた。 

 

「基本は口だけです。ただ、怒られているときの被告人が母の目を見ない、返事もせずにじっと地面の一点を見つめていることがあって、そういうときは『ちゃんと聞いてんの』という感じで、被告人の耳を引っ張ったり、平手で頭をたたくことがありました。ただ、暴力を振るうのは数えられるくらいで、もし私が見かけたら止めに入ってました」 

 

弁護人が渡辺家の家事の分担について質問すると、「渡辺家では6人分の食事など家事は被告人、掃除は被告人と私の息子、洗濯はそれぞれがやっていました」と答えた。 

 

事件の発端となったと思われる「義母が、渡辺被告が150万円を隠し持っていると思っていた」ことについては、裁判官の質問に答えるかたちでこう証言している。 

 

「殺される1週間ほど前に、母から『被告人が150万を持っていて、自由に使っているんじゃないか』と聞いたことがありますが、それはないだろうと思っていました」 

 

◆「母の話題は上がらず」 

 

A氏の母と渡辺被告の間に金銭トラブルがあったことは、事件後に知ったという。A氏の証言により、’23年4月22日に被害者が殺害されてから28日に遺体が発見されるまでの家族のやり取りも明らかになった。 

 

「4月22日未明に帰宅すると、母から『返事をしない』『うそをついてる』と被告人の愚痴を聞かされました。被告人と会ったのは午前6時ごろで、少し会話した後、私は自分の部屋に戻って寝ています。いつも夕食は母と被告人、私の息子の4人でとるのですが、その日、母は(食卓のあるリビングに)下りてきませんでした。被告人に母を呼んでくるように言うと、『めまいがして寝ているから、呼ばなくていい』と答えたんです。母は持病で寝込むことがあったので、別に変だとは思いませんでした」 

 

渡辺家では、被告人と息子が毎晩9時に母に挨拶に行くのが日課だったという。 

 

「息子が挨拶に行っていないように見受けられたので、挨拶に行くよう伝えると、被告人に『頭が痛くて寝てるから、静かにしてあげて』と言われましたが、『ただいまって言ってきな』と息子を母の部屋に行かせました。母の部屋に行った後、息子が『もぬけの殻みたいだった』と言っていたのですが、その言葉を特別気にすることはなかったんです。被告人が、『(母の)部屋に食事を運んでいる』と話していたので、母の姿が見えないことが家族の話題に上がることはありませんでした」(A氏) 

 

検察官の「28日にご遺体を発見した経緯を教えてください」という質問に、A氏はこう話した。 

 

「夜勤から帰って自室で寝ていると、上の妹から『様子がおかしいから、母の部屋を見てきてくれ』と連絡が来たんです。母はトイレに行くと、必ずスリッパの向きをそろえて出るんですが、22日以降、スリッパの向きが乱れたままだったのでおかしいと思った、と」 

 

A氏が下の妹と一緒に母の部屋に入ってベッドを見ると、人が寝ているように布団が盛り上がっていた。掛け布団をめくると、座布団や丸めた服で、人が寝ているようにカモフラージュされていた。 

 

◆「離婚しようと思います」 

 

リビングに下りてきたA氏が渡辺被告を「どういうことだ」と問い詰めるも「知らない」と答えるだけ。屋根裏や物置など家中を探すなかで、「母は殺されているかもしれない」という考えがA氏によぎったという。 

 

「私たちが母を探している間、被告人は『昨日、話した』と言ってみたり、突然、玄関で『(母の)靴がない』と言い出したり、『この前、買い物に行ったときにいなくなった』と言ったりした。話が二転三転するので、(渡辺被告が)殺したのではないかと思いました。いろいろ探した後、まさかと思いながら床下収納のふたを開けたら、中のプラスチックケースが浮いてるように見えた。その下に母が横たわってるのが見えたんです。死んでいるのはすぐにわかりました。 

 

プラスチックケースを持ったまま被告人のところへ行き、『おまえじゃねえか』と、被告人の頭を殴りつけました。被告人は『見逃してくれ』とか『息子のことはどうするんだ』とか言っていました」 

 

その後、上の妹が110番通報し、事件が判明したという。 

 

「母は厳しいところはありましたが、私の息子の将来をいろいろと気にかけてくれるような思いやりのある女性でもありました。殺されることはなかったと思います。事件以降、家の中が暗くなって生活がまるで変わってしまい、上の妹はひとりでリビングに下りることができなくなりました」 

 

A氏はこう涙ぐむと、検察官の「被告人に対して思うことは?」という問いに、「なぜ殺すまでいったのかな。殺すくらいなら、自分から出て行ったらよかったんじゃないか」と答え、渡辺被告の弁護人の「今後、被告人とはどう関わっていくつもりか?」という質問には「もう関わりたくないので、離婚しようと思っています」と答えた。 

 

翌30日に被告人質問が行われたが、開廷早々に渡辺被告が過呼吸を起こし、一時休廷するという事態となった。 

 

次の記事『【ホッとした気持ちも半分…】義母を手にかけた50代主婦が明かした「犯行直後に抱いた」驚愕の感情』では、渡辺被告が被告人質問で明かした「犯行直後の心境」について取り上げる。 

 

取材・文:中平良 

 

FRIDAYデジタル 

 

 

 
 

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