( 266189 )  2025/02/16 16:28:10  
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石破政権はガソリン税の旧暫定税率廃止に関して不透明なまま放置しており、ガソリン価格の高騰が庶民の家計を圧迫している中、経済産業省は"EV補助金"を引き上げると発表。

一方、ガソリン価格が高騰する中での補助金縮小は庶民にとって厳しい状況となっており、庶民からは不満の声があがっている。

(要約)

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困窮する庶民を尻目に石破政権は、ガソリン税の旧暫定税率廃止に関してのらりくらりとかわし、放置プレイ状態が続いている 

 

ガソリン価格の高騰と物価高により、庶民の家計は火の車! そんな中、経済産業省が"EV補助金"のバラマキ金額をこのタイミングで引き上げるという。いったいなんのために? 得をするのは誰? 庶民には理解不能な上級国民の狙いに迫ってみた。 

 

*  *  * 

 

■一部地域ではレギュラー210円台! 

1月24日、通常国会の施政方針演説で、石破茂首相は目指す国家像として"楽しい日本"を掲げた。しかし、多くの国民は賃金が物価上昇に追いつかず、実質賃金マイナス状態が続いている。さらに昨年末からガソリン価格の高騰という地獄の門まで開いてしまった。現在、これがブーストとなり"苦しい日本"がフル加速中だ。 

 

では、なぜガソリン価格は高騰しているのか。 

 

ご存じの方も多いと思うが、昨年12月11日、自民党、公明党、国民民主党はガソリン税に1L当たり25.1円を上乗せしてきた旧暫定税率を廃止することで合意した。しかし、肝心要の減税の結論は先送りで、具体的な実施時期は見通せていないのが実情だ。 

 

にもかかわらず、国は旧暫定税率の廃止が決まるやいなや、昨年12月19日、そして今年1月16日と、段階的にガソリン補助金(燃料油価格激変緩和補助金)を縮小したのである。その影響でガソリン小売価格は爆上がりし、一部地域ではレギュラーガソリンが210円台に突入しているというからエグい。 

 

東京都内のガソリンスタンドに話を聞くと、満タンをオーダーする客は激減とのこと。ガソリンスタンドを利用するドライバーからも怒りの声が。 

 

「国は暫定税率の廃止を決めたのに、なぜすぐにガソリン減税を実行しないのか」(会社員・男性・40代) 

 

「暫定税率は50年間も"暫定"だったんだよ? ふざけてるよね。しかも減税の時期を明かさない。『国民をバカにするのもいいかげんにしろ』って言いたいよ」(個人タクシー運転手・男性・60代) 

 

このように庶民からは大ブーイングが巻き起こっているのだ。にもかかわらず、大手メディアは、ガソリン減税の時期を国に詰めることもなく、《ガソリン補助金は脱炭素に逆行》《ガソリン補助金はクルマに乗っていない人には不公平》などと講釈を垂れる始末。言うまでもなく、ガソリン価格の高騰は物流費や食料費の上昇につながる。庶民の家計は火の車となっているのに、だ。 

 

加えて物価高が続く中でのガソリンの補助金縮小は、クルマがライフラインのひとつである地方には大打撃。庶民は生活維持に七転八倒で、実際、山梨県は物価高に苦しむ生活困窮世帯へ灯油券の配布を開始している。要するに石破政権が掲げる"地方創生"は美辞麗句なのだ。 

 

 

そんな状況下でも、国は脱炭素を錦の御旗にやりたい放題で、経済産業省はいわゆる"EV補助金(クリーンエネルギー自動車導入促進補助金)"の金額を4月から引き上げると電撃発表。 

 

現在、新車でエコカーを購入すると、EVが最大85万円、PHEV(プラグインハイブリッド)が最大55万円、FCEV(水素燃料電池車)が最大255万の補助金を受けられる。さらにグリーンスチール(製造時の二酸化炭素の排出量を削減した鋼材)を使用した自動車メーカーのクルマには、最大5万円を加算するそうだ。 

 

その予算は1100億円。EVを購入しない人には不公平な補助金だが、大手メディアは"脱炭素物件"には知らぬ存ぜぬとダンマリを決め込む。そもそもの話になるが、今、日本市場でEVは売れているのか。自動車誌の元幹部が言う。 

 

「昨年も経済産業省が補助金を出していたにもかかわらず、国内のEV新車販売は5万9736台で、前年比33%という大幅減に苦しみました。実質賃金マイナスで庶民は青息吐息。EVは値が張るので、富裕層やアーリーアダプター(早期導入者)以外は手が出ないと思います」 

 

4月からのEV補助金の引き上げに対し、SNSなどには、《EV買うやついるか?》《売れないEVに1100億円って》《EV補助金の前にガソリン減税はよ!》《脱炭素と言えば何をしてもいいのか》という怒りの声も。 

 

■EV補助金がなくなった国も 

いったいこのEV補助金は「誰得」なのか。自動車ジャーナリストの桃田健史(けんじ)氏に聞いた。 

 

「需要側のEVユーザー、そして供給側の自動車メーカーと自動車販売店です。実は昨年10月、自動車メーカーなどでつくる業界団体の『日本自動車工業会』では税制改正に対する国への提案を出していますが、それと併せてEVなどへの補助金の継続も要望していました。 

 

加えてEV関連の補助金は、需要がアーリーアダプターから一般層へと広がるまでの、いわば市場成長の背中を押すための方法のひとつ。その効果測定をどうするかは、国や地域によって大きく違う上、政権交代によって、方針そのものが百八十度変わることも珍しくありません」 

 

では今、海外のEV補助金はどうなっているのか。 

 

 

「EV普及に積極的な中国やドイツでもユーザーに対するEV補助金制度を設定してきましたが、EV普及に関する施策の変更によって補助金が事実上なくなっています。 

 

また、EVに関連する補助金としては、工場建設に対する税制優遇や補助金制度もあります。中国は一時、海外メーカーからの投資を呼び込むために積極的でしたが、最近は沈静化した印象です」 

 

ちなみにEV大国と呼ばれてきた中国自慢の"二刀流"メーカーのBYDは、昨年の新車販売でPHEVがEVを大きく上回り世界に衝撃を与えた。 

 

また、EVシフトを声高に叫んできた欧州も、昨年のEV新車販売は初の前年割れ。米国もトランプ大統領が就任時にEV普及策を撤回して世界的なニュースに。 

 

つまり、各国でEV需要に急ブレーキがかかっている状況なのだ。 

 

■中国製EVに補助金を注ぐ石破政権 

繰り返しになるが、今、庶民はガソリン高騰と物価高に悲鳴を上げている。そんな中、血税を補助金という名でバラまいてまでEVを普及させたい理由はなんなのか。 

 

「国際公約を守るためです」 

 

こう話すのは自動車評論家の国沢光宏氏だ。確かに2020年に当時の首相だった菅義偉(よしひで)氏がG20サミットで、2050年までの脱炭素社会の実現を表明している。 

 

「国際公約を守らないと先進国としての信頼を失ってしまいます。また、脱炭素を実現するためには化石燃料に頼らない社会を構築する必要がある。 

 

当然、2050年に達成するためには、今から取り組まないと間に合わない。飛行機や船は難しいですが、クルマのEV化はそれらと比べると難易度が下がります」 

 

とはいえ、トランプ大統領はパリ協定から離脱する大統領令に署名した。この超大国の動きにより脱炭素社会の実現は困難になったという声もある。 

 

「地球温暖化対策の国際ルールがパリ協定です。大統領がトランプになって米国はしばし迷走するかもしれませんが、中長期的に見たら脱炭素の道は避けて通れない。国際協調をシッカリ守るべきです」 

 

一方でEV補助金には問題点もあるという。 

 

「日本のEV補助金は国産だけでなく、海外ブランドのEVも対象になります。問題なのは中国製EV。米国とEUとカナダは中国政府から不公平な補助金を受けているとして、中国製EVに関税を上乗せしている。要するに公正に競争できないという話です。一方、日本はBYDのEVに補助金を出している」 

 

ちなみに中国市場で日本車に補助金は出ていない。 

 

「外免切替、ビザ(査証)の緩和、そしてEV補助金......日本政府の手厚い中国推しには首をかしげてしまう」 

 

庶民の暮らしよりも脱炭素を優先し、さらには血税を中国EVに注ぐ石破政権。これが石破政権が望む"楽しい日本"の姿なら地獄すぎる! 

 

 

取材・文・撮影/週プレ自動車班 写真/時事通信社 

 

 

 
 

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