( 266714 )  2025/02/17 17:21:30  
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ガソリン価格高騰に対応するため、立憲民主党の大西健介税調会長が、ガソリン税の暫定税率廃止を含む税法改正案を今国会に提出することを提案している。

税制改正には野党の賛成も必要であり、国会での審議が重要とされている。

また、暫定税率廃止に加えて、生活の改善を図るための各種項目も修正案に盛り込まれている。

暫定税率廃止を早めるために、野党と与党が一致できるポイントを見つけて法案を成立させる必要がある。

(要約)

( 266716 )  2025/02/17 17:21:30  
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ガソリン価格が高騰している。写真はイメージ(画像:PIXTA) 

 

「私が(2025年)2月4日の衆議院予算委員会で石破総理に強調して聞いたのは、暫定税率の廃止の時期でした。3党間の合意文書では、いつ廃止するか明確ではありません。ガソリン価格高騰に苦しんでいる国民にとっては今、引き下げてもらわないと意味がないが、目指す時期すら明言できませんでした」 

 

 こう話すのは、立憲民主党の大西健介税調会長です。半世紀も続いているガソリン税の「暫定」税率をめぐり、2024年12月に自民・国民・立民の3党合意が成立しましたが、廃止の時期は明確にされないまま。ガソリン価格の高騰が生活を圧迫し、国民は具体策を求めています。 

 

 大西会長は、現在進行中の国会にガソリン税の暫定税率廃止を含む税制改正案を提出することで、この春にもガソリン価格を下げることができる、と訴えます。ガソリン暫定税率廃止を含む税法修正案の今国会提出を準備することは、どんな意味を持つのでしょうか。 

 

「内閣提出の税法案を我々は修正をしようとするわけですが、それができなければ暫定税率を上乗せしたまま(ガソリン)課税が続くわけです。新年度からできるのか。1年先の話なのか。しかし、現行平均でも184.5円/L(レギュラーガソリン平均小売価格、2月13日時点)。200円/Lも視野に入る中で、1年後下げますからって言われても困るわけです」 

 

「我々が修正案というたたき台を示すことによって、国民民主党や維新とも、この項目であれば賛成できるという一致点を見出し、最終的に与党に修正を求めていけば、暫定税率分の25.1円/Lは、すぐにでも下げることができる」 

 

 現在の政治状況は少数与党であるため、税法改正において野党の意見を反映させる可能性が高まっています。衆参両院での賛成が必要な税制の修正案で、暫定税率廃止をどうやって実現するのでしょうか。 

 

「成立させるためには(法案が)衆議院と参議院の両方通る必要がありますが、現状、衆議院では野党が一致すれば与党を超えています。参議院はそうではないけれど、4月から暫定税率下げます、という修正に応じなかったら、それはなぜか。準備が整わないというなら、来年度の下半期からだったらできるのか。いやもうそれは来年の税制改正でもう1回議論して、2年後の改正でしかできないのか。そういうことになれば、自民党が廃止に合意していることの辻つまがあわなくなる」(大西氏) 

 

 それでも暫定税率廃止に賛成できないということは、「ガソリン税の暫定税率を廃止して国民の負担を軽減する気がないということになります」と、大西氏は話します。 

 

 

立憲民主党の大西健介税制会長(中島みなみ撮影) 

 

 準備中の修正案は、ガソリン税の暫定税率廃止を盛り込んでいますが、ほかにも生活の改善につながる項目が含まれていると、大西氏は語ります。 

 

「例えば、サラリーマンの社員食堂などの食費に対する控除限度額の引き上げです。会社が補助した場合に控除が可能ですが、この限度額が30年据え置きになっている。通勤手当は物価上昇などに対応して引き上げられているが、これはなかった」 

 

「そのほかにも、防衛増税の財源となる法人税増税やたばこ増税の削除、租税特別措置の見直し、外国人旅行者免税の廃止などをパッケージにして修正案を考えている。ただそれが全部通るとは思っていません。我々が修正案を示すことで、国民民主党や維新も、この項目とこの項目であれば賛成できるという一致点を見出すことが、ガソリン税の暫定税率廃止の実現を早める一歩になると考えています」 

 

 2024年、ガソリン税の暫定税率廃止の議論は、トリガー条項を発動することによって一時的に停止することが期待されました。しかし、結果的にトリガー条項は採用されず、その代わりに燃料油の卸売価格を抑制する燃料油価格激変緩和補助金が支給され続けてきました。 

 

 この補助金が段階的に打ち切られることによって、ガソリン価格の高騰はこの先も続きます。再び、このトリガー条項が議論され、暫定税率廃止が引き延ばされる可能性はないのでしょうか。 

 

「補助金は累計額で約6.6兆円を配っているわけです。トリガー条項を発動していれば、価格が低下したら戻すこともできたわけで、逆に補助金にしてしまったがゆえに、補助金を打ち切るタイミングがつかめないまま価格高騰を許している。暫定税率廃止の方向性で議論することを決めたこの状況で、トリガー条項はない。暫定税率を廃止することが、国民生活に最も必要なことです」(大西氏) 

 

 与党が安定多数を占める状況での税制改正は、12月に与党間の「税制大綱」で改正内容を事実上決定する形で、3月までの国会で改正案を成立させてきました。しかし、少数与党のもとでは、改正案成立を目指す与党と改正案を修正したい野党との間で法案審議が続き、税制改正プロセスが国民にわかりやすい形で開示されます。 

 

 50年という長過ぎる“暫定”に、国会は終止符を打つことができるのでしょうか。修正案は2月17日の週にも提出される予定です。 

 

中島みなみ(記者) 

 

 

 
 

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