( 266734 )  2025/02/17 17:44:51  
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ハザードランプは道路交通法では「非常点滅表示灯」という名称で規定されており、法律で定められた使用方法は道路や車道の幅員が5.5m以上の場所に停車または駐車している時に使うことが定められている。

ただし、それ以外の使用方法が直接的な違反になることはなく、安全運転義務違反となる可能性がある。

サンキューハザードや渋滞や霧の際のハザードランプの使用は、周囲への危険を知らせて事故を防止する手段として効果的とされている。

ハザードランプに関する議論はSNS上で盛んに行われており、「サンキューハザード」をしないことに対する怒りや「サンキュー事故」などの問題も発生している。

道を譲られた場合はお礼をすることが大切だが、安全運転が最優先であり、事故を起こさないためには周囲の状況をきちんと確認することが重要である。

(要約)

( 266736 )  2025/02/17 17:44:51  
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 ウインカーを左右同時に点滅させる「ハザードランプ」。 

  

 車線変更や合流で譲ってくれたクルマへ、お礼の印としてハザードランプを数回点灯させる「サンキューハザード」という使い方も広まっていますが、実は「法律で決められた使い方ではない」という意見もあります。 

 

[イメージ画像:AdobeStock] 

 

 ハザードランプは俗称で、道路交通法(道交法)などの法律で使用されている名称は「非常点滅表示灯」です。英語で危険を意味する「Hazard(ハザード)」から、いつからか一般的にそう呼ばれるようになりました。 

 

 ハザードランプの使い方を定める法律は、道路交通法施行令第18条2項にあり、「道路または車道の幅員が5.5m以上の道路に停車、または駐車しているとき」と定めています。 

 

 逆に言えば、それ以外の使用を「してはならない」とは書いていないため、そのことで直接的な違反になることはないようです。 

 

 あえて言えば、道交法第70条に安全運転義務として「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。」とあり、これに違反すると「安全運転義務違反」となります。非常に広義な法律です。 

 

 ハザードランプをむやみにピカピカと使用して、周囲を惑わせているから「はいそこのクルマ、止まりなさい。安全運転義務違反です」として取り締まられたというケースは寡聞です。しかし、もし事故が発生して、それが無意味なハザードランプが直接的な原因と判断された場合は、当然ながら安全運転義務違反に問われることになるでしょう。 

 

 サンキューハザードのほかには、高速道路などで渋滞の末尾に差し掛かったとき「後続車に減速ないしは停止を知らせる」ために使われることがあります。 

 

 また、濃霧で視界が非常に悪く、ヘッドライトや尾灯の視認性が悪いときにハザードランプを点灯したまま走行することがあります。 

 

 これは、まさしくハザード(危険)を周囲のクルマに知らせ、事故を防止する有効な手段といえます。 

 

 SNSでは、サンキューハザードをはじめ周囲に危険を知らせるハザードランプの点灯について、好意的な意見が多数見られます。特にサンキューハザードは、円滑な交通とドライバー同士の意思疎通の手段、マナーとなっている様子です。 

 

 いっぽうで「道を譲ったのにサンキューハザードをしてくれなかった」と怒りを露わに“お気持ち表明”し、自分が社会の闇の被害者であるかのように嘆きむせび泣いて世間から同情を得ようとする、SNS社会に象徴的な投稿も見られます。 

 

 これは「あおり運転の被害を受けないため」という理屈を元に、とにかく道を譲られたらサンキューハザードやお礼は必須という考え方もあり、他人がそれに従わないと凄まじい怒りを表明する人もいます。 

 

 さらに、道を譲ってくれたがサンキューハザードを点灯する余裕がないと困ってしまったことを吐露するコメントも見受けられます。 

 

 先述の「道路交通法違反なのでは?」という議論とセットで、常にネット上で議論の的となるトピックと言えるでしょう。 

 

 いっぽう、パッシングや減速、ジェスチャーなどで道を譲ってもらった側が、焦って事故を起こす「サンキュー事故」も多発しているようです。 

 

 慌てて右左折を開始、お礼もしなければとパニックになって周囲の安全確認がおそろかになり、対向車や自転車、バイク、歩行者などに接触する事故のことを、そう呼ばれています。 

 

 ドライバーのマナーとして、道を譲ってもらったらお礼をするのはとても大切なことですが、それ以上に大切なことは、「安全確認をして事故を起こさないこと」です。 

 

 道を譲ってもらったときは、サンキューハザードをつける前に、基本である周囲の安全運転をしっかりと行いましょう。また、サンキューハザード以外のお礼の方法、会釈する、手を挙げるといった方法もあります。 

 

 車線の合流でも、サンキューハザードをおこなう余裕が無ければ、無理は禁物です。くれぐれも、安全第一優先にこころがけましょう。 

 

 なお、サンキューハザードを怠ったことで相手が怒り狂い、こちらに攻撃的な態度を取り始めた場合は、立派な「あおり運転」に相当します。 

 

 JAF(日本自動車連盟)はあおり運転を受けたときの対処法として「まず駐車場などの安全と思われる場所へ避難してください。できるだけ人目の多い場所に停車しましょう。ドアをロックしてためらわずに携帯電話などから110番へ通報し、脅しや挑発を受けても相手をせず、不用意に車外へ出てもいけません。警察官が到着するまで車内に待機し、身の安全を確保しましょう」といった注意喚起を行っています。 

 

佐藤 亨 

 

 

 
 

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