( 266744 )  2025/02/17 17:53:21  
00

2024年には、総生産数が1000機に達するF-35「ライトニングII」戦闘機が日本でも導入される予定であり、2025年には護衛艦「かが」でも運用可能なB型も配備される。

このステルス戦闘機は、ステルス性を維持するために特殊な塗料が使われており、そのため国籍マークなどもステルス性を持つ塗料で塗られる必要があり、ためF-35は灰色の国籍マークのままとなっている。

(要約)

( 266746 )  2025/02/17 17:53:21  
00

航空自衛隊のF-35A。矢印の灰色の丸が国籍マーク(画像:航空自衛隊)。 

 

 2024年は総生産数が1000機の大台を突破し、日本もどんどん調達数を増やしつつあるF-35「ライトニングII」戦闘機。2025年には、空母化改造が施された護衛艦「かが」でも運用可能なB型も航空自衛隊に納入される予定です。 

 

同機は、2025年現在もっとも成功しているステルス戦闘機ともいっても過言ではない飛行機ですが、ひとつ疑問が湧きます、なぜF-2やF-15「イーグル」といったほかの戦闘機のように機体の国籍マークを赤くできないのでしょうか。 

 

 実は、レーダーに映りにくいステルス性能を維持するために、塗料も重要な役割を持っているからです。 

 

 軍用機は用途に応じて、最適と思われる塗装が施されますが、ステルス機は塗料そのものも特殊となっています。現在、アメリカ空軍で運用されているステルス戦闘機F-22「ラプター」や、日本を含む世界各国の軍が導入中のF-35などには、レーダー波吸収材を含んだ塗料が用いられているとされています。 

 

 この塗料によって、レーダー波は熱へと変換され、レーダー反射断面積の低減が図られることで、高度なステルス性を維持することにつながっているのです。また、今のステルス戦闘機の塗装は3つの層に分かれているそうで、1層目はレーダーの反射波を低減するとともに外部の水分や空気との接触を断絶し、機体を長持ちさせ、2層目はレーダー波を、3層目は赤外線をそれぞれ吸収する役割を担っているとか。 

 

 そのため、色を塗るのもかなりの精度が求められます。F-35を導入している国のひとつ、オーストラリアを例にすると、塗装を請け負った会社が、F-35用に専用の塗装ブースを設置し、作業する際の厳しい条件をクリアしたほどです。 

 

 こうした特性から、たとえ所属国家を示す国籍マークであっても本来の色で塗ってしまうと、ステルス能力を損なう可能性が高いといえるでしょう。無用のトラブルを避けるために、国籍マークも機体と同様にステルス性を持つ塗料で塗られ、だからこそ世界各国のF-35は総じて灰色っぽいカラーの国籍マークとなっているのです。 

 

 ただ、2024年9月に納入されたデンマーク空軍のF-35Aは、主翼や垂直尾翼の国籍マークが国旗と同じ白と赤のパターンになっており、同年12月にデンマーク空軍が投稿した写真でも同じくカラフルな国籍マークであることが確認できました。 

 

 ほかにもアメリカ空軍で訓練中に敵機を演じる「アグレッサー部隊」の機体色は黒ベースのカラーや、暗い灰色と明るい灰色の迷彩パターンになっています。この流れを鑑みると、メーカーなどから公式な発表こそないものの、段々とF-35に使用できるカラーが増えていることがうかがえます。 

 

 ちなみに、ロシア製のSu-57はステルス能力があるとされていますが、こちらはロシア空軍ではお馴染みの青系の色をベ―スとしたデジタル迷彩パターンの塗装が施されています。 

 

 ひょっとしたら近い将来、我が国のステルス戦闘機も、グレー一色から変わっているかもしれません。 

 

乗りものニュース編集部 

 

 

 
 

IMAGE