( 266851 ) 2025/02/17 19:48:49 0 00 駐車料金の支払機にある「駐車券紛失」ボタン。女性は約2時間の利用で8千円の支払いを求められた(京都市東山区)
「駐車券を紛失してしまい8千円かかりました」。京都新聞社の双方向型報道「読者に応える」に疑問の声が届いた。投稿者によるとコインパーキングを利用した際、券をなくしたため通常の数倍に当たる料金を支払ったという。なぜ高い金額を要求するのか。運営会社に聞いた。
情報を寄せてくれた京都府八幡市の女性(61)が利用したのは京都国立博物館前の駐車場。友人と一緒に博物館を訪れ、同館で駐車料金の割引を受けるため車から券を持ち出した。
2時間ほどして車に戻った時に券の紛失に気付いた。支払い機にある「駐車券紛失」のボタンを押すと、8千円を要求された。急いでいたので支払ったが、後で「高すぎじゃないか」との思いがこみ上げた。
この駐車場の最大料金は平日800円、土日祝日1200円。利用方法が書かれた看板には「駐車券を紛失された場合当社規定料金をいただきます」とあるが、具体的な金額は書かれていなかった。
運営会社によると、券紛失時に高額な料金を求めるのは「入庫時間が不明になるため」という。いつ駐車したか証明するものがなく、過少申告の可能性を加味して金額を設定しているという。
金額の算定方法については「営業上の秘密にあたり回答は差し控える」。ただ、紛失して料金を払った後に券が見つかった時、あるいは駐車時間を証明できる場合は差額分を返金する。
同社の回答に女性は「2日分くらいの最大料金ならまだ分かるけど、8千円も何に費用がかかっているのか」と首をかしげる
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コインパーキングの駐車券を紛失した際に高額な料金を請求されたという相談は国民生活センターにも寄せられている。利用方法が書かれた看板に「紛失時の料金が書かれていない」という声もある。また、消費者問題に詳しい弁護士は「紛失のリスクを利用者に押しつけるのはおかしい」と指摘する。
国民生活センターによると、コインパーキングの使用料金が書かれた看板表示の分かりにくさに起因する相談が22〜24年度で各200件超寄せられ、駐車券紛失に関するものも一定程度あるという。
その内容は「(料金案内の)看板に紛失時の料金が書かれていない」「指示に従ったら数万円求められた」など。同センターは券の保持と合わせて、交渉の一材料としてドライブレコーダーといった使用時間を証明できる資料を控えておくことを推奨する。
消費者問題に詳しい増田朋記弁護士は読者から寄せられた相談について「事業者は駐車時間をごまかす人にペナルティーを負わせる狙いがあるのだろうが、正当に支払おうとしている人にも一律に料金を請求してしまっている」とし、「現在は監視カメラや駐車場の使用ログ(履歴)を調べれば利用時間が分かる。それにもかかわらず、実際の利用時間に関係なく券紛失時に要するリスクやコストを一方的に利用者に押しつけるのは問題」と指摘する。
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