( 267239 )  2025/02/18 17:20:18  
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同期の間で出世の有無による収入格差が老後の生活に影響することを取り上げた記事。

同期の集まりで収入差を感じた佐藤さんは、定年後の収入面での不安を感じる。

同期の一人が資産運用を進めていたことを知り、自分も老後の資産形成に取り組む決意をする。

(要約)

( 267241 )  2025/02/18 17:20:18  
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(※写真はイメージです/PIXTA) 

 

同じ会社で同じ時代を過ごしたはずの同期たち。しかし、出世の有無によって収入格差が生じます。さらにその影響は、老後の生活にまで波及し……。本記事では、佐藤さん(仮名)の事例とともに、老後の資産形成の重要性について、波多FP事務所の代表ファイナンシャルプランナー・波多勇気氏が解説します。※プライバシー保護の観点から、相談者の個人情報および相談内容を一部変更しています。 

 

「乾杯!」 

 

定年退職を迎えた佐藤正男さん(仮名/65歳)は、同期の集まりに参加していました。久しぶりの顔ぶれに懐かしさを覚えつつも、「あいつから見れば俺なんて負け組だ」と、胸の奥にわだかまる感情を押し殺します。乾杯の音頭をとったのは、かつての同期・田中さん(仮名)。いまや某大手企業の役員として、年収は2,000万円超とも噂されています。 

 

一方、佐藤さんは定年まで平社員のままでした。年収は800万円台で、退職金も比較的少ない金額です。彼が出世コースを外れたのは、40代半ばの人事異動がきっかけでした。同期が管理職へと昇進していくなか、自分は地方支社への異動を命じられ、そのままキャリアの軌道修正ができませんでした。 

 

40代のころは「いまに見てろ」という思いでなんとか挽回を試みましたが、その闘争心も月日の経過とともに薄らいでいき、「まあ、それなりにやってこられたから……」そう言い聞かせてきました。しかし、ふとした瞬間に湧き上がる後悔。特に、同期との年収差を実感するたびに、自分の人生を振り返らずにはいられませんでした。 

 

「サラリーマン人生なんて振り返ればあっという間だったな。気が付けば年金生活か……。お前、年金はどれくらいもらえる?」会話の流れで、田中さんが佐藤さんに問いかけました。 

 

「……まあ、人並みにはな」佐藤さんは曖昧に笑ってごまかしました。しかし、実際の年金額を知れば、田中さんとの格差は歴然です。 

 

現役時代の収入が高いほど、厚生年金の受給額も増えます。田中さんのように高給取りだった人は月額30万円以上の年金を受け取れますが、年収が伸びなかった佐藤さんは月額24万円ほどです。しかも、田中さんは企業年金や退職金もしっかり準備しています。 

 

「なんでこんなに違うんだ……」酒が回るにつれ、佐藤さんの心に沈殿していた悔しさが浮かび上がります。かつての同期たちは、余裕のある老後を楽しもうとしています。しかし、自分はどうでしょうか? 年金だけでは生活が厳しく、アルバイトを考えなければならない状況です。 

 

「現役時代だけじゃなく、老後も負け組が続くのか……」この現実に直面したとき、佐藤さんはようやく、自分の“失敗”に気づきました。 

 

 

「佐藤、お前もiDeCoとかNISAとかやっていたのか?」 

 

「いや、全然……そういうの、よくわからなくてな」 

 

田中さんは、現役時代から資産運用をしていたといいます。年金だけに頼らず、積極的に投資をして資産形成を進めていたのです。 

 

「いまからでも遅くないぞ。70歳まで働けば年金額も増えるし、資産運用だって始められるからな」 

 

田中さんの言葉に、佐藤さんは少しだけ希望を持ちました。確かにいまさら出世はできませんが、資産運用や支出の見直しならできます。公的年金に加えて、個人年金保険や貯蓄型の金融商品を活用すれば、少しでも安心できる老後を送れるかもしれません。 

 

「俺も……やれることから始めてみるよ」同期の集まりを終えた佐藤さんは、帰り道でスマホを取り出し、「iDeCo 初心者」などと検索を始めました。 

 

現役時代の収入差が、そのまま老後の生活に影響するという現実。しかし、たとえ定年後でも資産運用や働き方の工夫次第で、ある程度のリカバリーは可能です。 

 

大切なのは、「もう遅い」と諦めないことです。老後に後悔しないためにも、いまからできる資産形成の一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか? 

 

波多 勇気 

 

波多FP事務所 

 

代表ファイナンシャルプランナー 

 

波多 勇気 

 

 

 
 

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