( 267614 )  2025/02/19 16:39:20  
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石破茂首相はトランプ大統領に対して日本の対米投資を1兆ドルに引き上げると約束しました。

しかし、この投資が民間だけでなく国民負担になる可能性が高いと指摘されています。

対米投資の増加は国民に増税圧力をかける可能性があり、政府が投資促進のために予算を投じるほど、増税が避けられなくなるという指摘がなされています。

石破首相のトランプ外交が増税につながる可能性について懸念が示されています。

(要約)

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石破茂・首相の「トランプ外交」が増税につながっていく(時事通信フォト) 

 

 大新聞・テレビは日米首脳会談が“大成功”だったかのように報じているが、本当にそうだろうか。手土産として16万円の「金の兜」を贈るなど、石破茂・首相がトランプ米大統領のご機嫌取りで必死になっている間に、事態は“増税マフィア”たる財務省の思惑通りに進んでいるという。そして、そのツケを払わされるのは国民なのだ。【前後編の後編】 

 

 石破首相は首脳会談で日本の対米投資を「1兆ドル(約150兆円)に引き上げる」と約束してトランプ大統領を喜ばせた。日本の対米投資残高は7833億ドル(2023年末)。1兆ドルにするにはざっと34兆円(2167億ドル)の新規投資が必要だ。 

 

「それは民間がやることですからね。政府があれこれ言って、もっと投資しろとかいう問題ではないんだが」 

 

 帰国後にそう説明したが、この投資も民間企業だけではなく、「国民負担」になる可能性が高い。元日本証券新聞社長で経済ジャーナリストの天野秀夫氏が指摘する。 

 

「民間投資であれば税金投入は必要ないはずだが、果たしてそうか。首相が大統領に約束した以上、政府は企業の対米投資を後押ししなければならない。そのためには投資減税や政府系金融機関による融資や保証といった支援の方法があるが、近年は政府が税金で基金をつくり、それを使って企業に投資を促す方法がとられている。 

 

 トランプ氏が求めているアラスカのLNGの日米共同開発などにも日本政府が“アラスカ・ガス開発基金”などをつくり、民間企業とともに政府も直接資金を投じる可能性がある」 

 

 アラスカでの日米共同開発の約束についてはトランプ大統領が共同会見ではっきり言及した。 

 

「日本がまもなく記録的な量のアメリカ産のLNGの輸入を新たに開始すると発表できることを嬉しく思う。アラスカの石油とガスに関し、日米の間で何らかの共同事業を行なうことについて話していて、非常に興奮している」 

 

 石破首相が「1兆ドル」と大見得を切った以上、トランプ大統領がこれから「早く1兆ドルまで増やせ」と圧力をかけてくることは間違いない。 

 

 

 藤井聡・京都大学大学院教授はそうした対米投資増額が国民に付け回される危険が大きいと見る。 

 

「アラスカでのLNG開発には巨額の投資が必要と見られていて、採掘できても採算が取れるのかが疑問視されている。リスクが高い事業に日本企業は簡単に投資したがらないから、政府は参加させるために補助金や投資減税、財政投融資などの国民の税金を使った投資優遇措置をどんどん投入することになるでしょう。最終的に国民負担で高いガスを買わされることになる可能性があります。 

 

 政府主導で日本企業に米国への巨額投資をさせるくらいなら、その資金を国内に回せば内需拡大で日本経済は大きく成長できる。なぜ、国民の意志で自由に使える150兆円ものカネを自国で使わずに他国にくれてやるのか」 

 

 政府が対米投資促進に予算を投じるほど、国民への増税圧力は高まる。 

 

「石破政権は『政府の借金はこれ以上増やさない』という財政規律を掲げながら、社会保障費の増加や防衛費の倍増などを推進し、今回の訪米によるトランプ大統領との約束でもさらに国の支出が増える。借金を増やさずに政府が支出を増やせば、必然的に増税するしかなくなる。これまで歴代政権に財政規律を“後生大事なものだ”と強要し続けて増税をさせてきた財務省の思惑通りでしょう」(藤井氏) 

 

 これから石破首相の「トランプ外交尻拭い増税」が国民を待ち受けているとの指摘である。 

 

■前編記事《【トランプ大増税が日本を襲う】米国から「防衛費をGDP比3%に」と要求されるのは時間の問題 消費税で賄えば税率12%が必要に》から読む 

 

※週刊ポスト2025年2月28日・3月7日号 

 

 

 
 

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