( 267676 ) 2025/02/19 17:47:49 0 00 MBSニュース
岸田前総理襲撃事件の裁判。19日の判決で和歌山地裁は、被告の男に対し、懲役10年の有罪判決を言い渡しました。
起訴状によりますと、兵庫県川西市の無職・木村隆二被告(25)は、2023年4月、選挙の応援のため和歌山市の雑賀崎漁港を訪れた、岸田文雄前総理に向かって手製の爆発物を投げたとされる殺人未遂や爆発物取締罰則違反の罪などに問われています。
岸田前総理は逃げて無事でしたが、警察官と聴衆の男性の2人が軽いけがをしました。
裁判は2月4日から始まりました。主な争点は、木村被告に「殺意があったかどうか」です。
○検察側 検察側は、木村被告が製造した爆発物に「殺傷能力」があったことを主張。
2月5日には、警察庁の技官で「爆発」の専門家は、実験の結果、木村被告が製造した爆発物は、「銃の弾丸」の威力を上回り「殺傷能力がある」と説明。
10日の論告で検察側は、「人の命を奪う危険が極めて高い爆発物を大勢の人がいる中で投げて爆発させたことに、殺意や加害目的があったのは明らか」「犯行は真似しようと思えばできてしまい、厳しく処罰されることを社会に知らしめて警鐘とすべき」などとして、懲役15年を求刑しました。
○木村被告側 木村被告側は裁判で一貫して「殺意はありません」と、起訴内容を一部否認。6日の被告人質問では、爆発物を投げた動機が明らかになりました。
木村被告は、政治家を目指そうとするも、年齢制限によって選挙に立候補できなかったことを受け、民事裁判を起こしていました。この裁判で敗訴したことが、”爆発物を投げたことにつながった”と話しました。
(木村被告:6日の被告人質問) 「総理大臣のような有名人の近くで大きな音を出すと、私に注目が集まり、裁判のことも知られるだろうと思った」
10日の弁論で木村被告の弁護人は、「殺意は無く傷害罪にとどまる」などとして、懲役3年が妥当だと主張しました。
和歌山地裁は、19日の裁判は午前11時に開廷しました。木村被告は、落ち着いた様子で法廷に入り、主文の言い渡しの際は動じず、まっすぐ裁判長を見つめていました。
和歌山地裁は、19日の判決で「被告人が作った爆発物は、殺傷能力があると認められる」「要人である内閣総理大臣や多数の者が集まるところで爆発物を使用すれば、金属片が飛んでけがをさせることはもとより、人体の主要部に命中する可能性があることは常識的に考えて容易に想像できる」などとして、殺意を認定しました。
また、「犯行態様は相当危険で、注目を集める手段として、危険と分かりながらあえて計画を企てたことは、きわめて短絡的で強い非難に当たる」とも指摘しました。
一方で、「選挙活動の妨害は伴うが、積極的に意図したものではなく、組織的背景などがなく、本人が反省をしている」ことなどから、木村被告に懲役10年の有罪判決を言い渡しました。
木村被告の弁護人は判決を受けて「控訴するかどうかは、今後本人と話して決定する」とコメントしています。
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