( 268226 ) 2025/02/21 05:35:02 0 00 自民、公明、国民民主の3党協議に臨む各党の税調会長ら=18日午後、国会内(春名中撮影)
所得税の非課税枠である「年収103万円の壁」を巡る自民、公明、国民民主の3党間の協議が難航している。20日に予定されていた日程は突如21日に延期された。所得制限を設けた上で非課税枠を160万円まで拡大する自民案に対し、手取り増を重視する国民民主は「新たな壁を作ってどうする」と反発。自公は20日、所得制限緩和の検討に入った。
自民の18日時点の案は新たに基礎控除の特例を設け、年収が低い人ほど恩恵を受けられるように配慮。令和7年度税制改正大綱では、基礎控除は従来の48万円から58万円に増えることになっており、ここからさらに上積みする。
年収200万円以下の人は恒久的措置として37万円上乗せし、給与所得控除と合わせた非課税枠は160万円に拡大する。また、年収200万~500万円の人は2年間の限定的措置として、基礎控除を10万円上乗せし、非課税枠は136万円以上となる。
ただ、大型減税に期待する有権者からは不評だ。東京都練馬区に住むITエンジニアの男性は「年収制限をなくして、シンプルな仕組みにしてほしい」とため息交じりに語る。
そもそも、年収200万円と500万円での線を引いたのは、どういう理由だったのか。
自民の宮沢洋一税制調査会長によると、200万円については、最低賃金で週40時間働くケースを想定。500万円は、全国の給与所得者の平均年収460万円を意識している。宮沢氏は「(生活が)大変厳しい方への特例」と説明する。
年収500万円以上は特例の対象外だが、現行法案に盛り込まれている減税措置は受けられる。
財務省OBでもある東京財団政策研究所の森信茂樹研究主幹は「自民は非課税枠160万円を売りにしたかったのだろうが、国民民主から評価されなかった」と指摘。年収制限を緩和することについて「政治の駆け引きで税の論理が崩れることに対し、財務省は危機感を持っているだろう」との見方を示す。(米沢文)
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