( 268821 ) 2025/02/22 16:57:06 0 00 21日に発表された1月の消費者物価指数の引き上げ役となったのは、価格高騰が続く「コメ類」で、上昇率は前年同期比70・9%となり過去最大を記録した。高止まる主食による家計負担の緩和に向け、政府は14日に備蓄米の放出を発表。コメ流通の目詰まりが解消され、価格下落が期待される。ただ、本格的な値下がりには「3つのハードル」を指摘する声もあり、価格が下がったとしても「昨年並みの価格には戻らない」というのが専門家の大方の予想だ。
■想定通り備蓄米が入札されるか
政府が放出する21万トンの備蓄米のうち、15万トンは3月半ばに集荷業者に入札で売り渡され、3月下旬から4月にかけて全国のスーパーなどの店頭で販売される見通しだ。専門家の多くは、店頭販売を機にコメの価格は下落傾向に向かうと予測する。
ただ、本格的な下落実現に向けて「越えるべき3つのハードルがある」と宇都宮大学の小川真如助教(農業経済学)は指摘する。
最も重要視するのは、1つ目のハードルである「入札がうまく実現するか」だ。入札価格が高くなり、民間輸入米の方が割安と感じられた場合、「入札を控える事業者が出て、想定より備蓄米が市場に出回らない可能性もある」という。
2つ目が「備蓄米放出で業務用米の価格低下の余波でスーパーのコメが安くなる流れが実現するか」、3つ目が「備蓄米放出で売り渋り業者がコメを手放す流れが実現するか」だという。
小川氏は、「大量にコメを使う外食産業などで不足感が解消することが、消費者向けのコメ価格下落の条件だ」と指摘。また、投機の対象として在庫を抱え込んでいた業者の放出を促せるかも、下落基調を形成するカギになると強調する。
■6月に向け段階的に価格は下落
農林水産省が18日にまとめた全国のスーパーで販売されているコメの平均価格は、2月9日までの1週間で5キロ当たり3829円となり、1年前と比べて9割近く高騰した。品質の良い新潟県産コシヒカリなどは5000円近い価格となっているのが現状だ。
備蓄米放出により、価格の下落効果が想定されるが、1年前の5キロ当たり2000円台半ばの価格に戻ることは困難という。その理由について、日本総研の三輪泰史チーフスペシャリストは、「生産者が赤字にならないよう、これまでの肥料代や燃料代などの高騰分を乗せた適正価格が反映されるため」とみる。
価格下落の規模や時期については専門家の間で見解は異なるが、備蓄米が小売店で販売される3月下旬から4月上旬以降、6月に向けて段階的に下がるとの見方が多い。
三輪氏は、「ターゲット価格を5キロ当たり3000円と見定めるが、実際は6月に3400円くらいで落ち着くだろう」と予測する。一方、小川氏は、備蓄米は産地が多様で消費者になじみの薄い品種も多いことから、「スーパーのコメが一律で一気に値下がることはなく、下落幅は地域ごとでムラが生じる」と指摘した。
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