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経済ジャーナリストの荻原博子さんによると、公的年金の給付が先細りしている中、iDeCoは最悪な金融商品であり、代わりに掛け金の全額が所得控除になり使い勝手がよく低リスクの制度を選ぶ方が良いと言っています。

投資で儲けるには、「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」があり、つみたてNISAでは儲からない理由として、キャピタルゲインを狙う際に制約があることが挙げられています。

そのため、金融機関はつみたてNISAで利益を得ることは難しく、投資信託の場合、キャピタルゲインを狙わないと投資する価値がないと述べています。

また、iDeCoについては、公務員くらいの収入があり定年退職まで勤め上げられる方以外は加入しない方が良く、iDeCoの代わりに自営業者は「小規模企業共済」を検討するべきだと説明しています。

(要約)

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※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Yusuke Ide 

 

賢く貯蓄するにはどうしたらいいか。経済ジャーナリストの荻原博子さんは「公的年金の給付が先細りするなか、政府が強力にプッシュしているiDeCoは最悪な金融商品だ。それより、iDeCoと同じように掛け金の全額が所得控除になるうえ、使い勝手がよく低リスクの制度を選択するといい」という――。 

 

 ※本稿は、荻原博子『65歳からは、お金の心配をやめなさい』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。 

 

■どうして「つみたてNISA」が儲からないのか 

 

 はっきり言って、積立投資は儲かりません。 

 

 実際に、「つみたてNISA」でみんなが儲かっているのかと言えば、そうでもなさそうです。 

 

 個人のブログなどでも、「2020年からつみたてNISAをやって、2022年には約7万8000円のマイナスになった」などという記事を見かけます。 

 

 2022年は、国が投資を呼び掛けたこともあり、「つみたてNISA」の新規口座が127万口座以上になりました。 

 

 ただ、この時期に「つみたてNISA」を始めた人の多くは、2023年時点では、損をしているか、プラスになっていてもごくわずかという人が多いようです。 

 

 また、2024年1月から始まった「新NISA」でも、同年8月の株価の乱高下でかなりの損が出た人は少なくありません。 

 

 「NISA」のメリットである「非課税」も、儲かっていなければ、絵に描いた餅です。 

 

 では、なぜ、「つみたてNISA」では儲からないのでしょうか。 

 

■ラクして「賢い投資」はできない理由 

 

 投資で儲けるには2つの方法があります。 

 

 ひとつは「インカムゲイン」つまり、配当金などで儲ける方法。これについては、小額をコツコツ積み立てる「つみたてNISA」ではほとんど期待できません。 

 

 もうひとつは、「キャピタルゲイン」つまり、値上がり益で儲けるケースです。 

 

 キャピタルゲインを狙うなら、投資商品が安い時に買って、値上がりしたら売るのがセオリーです。 

 

 ところが、「つみたてNISA」のほとんどは、毎月決まった日に、決まった額で買えるだけのものを買うという仕組みになっています。 

 

 値上がりしたら買わない、値下がりしたら買うというルールで投資信託を買えば、より多くの投資信託を買えるのに、そういう「賢い」買い方ができないのは、金融機関にとって手間ばかりかかるから。毎月同じ日に自動的に買わないと、コストがかかって仕方がないのです。 

 

 じつは、「つみたてNISA」は、手数料が安いので、金融機関にとっては積極的に売りたくない商品でもあります。 

 

 それでも「つみたてNISA」を餌にして、貯蓄志向の強い客を取り込んでおきたいという思惑があるからせっせと売っているのでしょう。 

 

 そのため、「ドルコスト平均法」などという、いかにももっともらしい名前で、「毎月、同じ日に一定額を買い続ければ、取得価格が標準化されるので初めての人でも買いやすくなります」と説明しながら売っています。 

 

 ここまで述べたように、投資信託の場合、キャピタルゲインを狙わないと、投資する価値がありません。取得価格が標準化するということは、値上がりもせず値下がりもしないものに投資するのも同然。 

 

 しかも、「つみたてNISA」は売り買いや維持管理に多少なりとも手数料がかかりますが、貯金なら手数料がかからないどころか、確実に利息がついてくる。 

 

 「つみたてNISA」と貯金、どちらがお得か、一目瞭然でしょう。 

 

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金融機関はつみたてNISAで 

あなたを儲けさせようとは思っていません 

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■公務員以外は、「iDeCo」に入らないほうがいい 

 

 それでもまだ、「つみたてNISA」は、いつでも解約してお金を引き出すことができます。 

 

 それができない最悪な金融商品があります。公的年金の給付が先細りするなか、政府が強力にプッシュしているiDeCoです。 

 

 国民年金や厚生年金などの公的年金に上乗せされる個人年金で、加入者が商品を選び、掛け金を出して運用していくというものです。 

 

 掛け金全額が所得控除されるので、節税効果があるというのがウリ文句です。 

 

 掛け金の上限額は、自営業者だと月額6万8000円、公務員、会社員は会社に企業年金があるかないかなどで変わってきますが、専業主婦も2万3000円まで掛けることができます。 

 

 結論から言えば、iDeCoに加入してもいいのは、定年退職まで勤め上げられて、しかも年収が高い公務員くらいです。 

 

 なぜなら、公務員ならクビになる心配がないので、預けたお金を60歳になるまで引き出すような事態は起きないだろうし、給料も高いので節税効果も期待できます。 

 

 一方、自営業者の場合、いまは儲かっていても、長い人生の間には、お金がなくて困ることも出てくるでしょう。 

 

 たとえば、それまで商売が順風満帆だったけれど、55歳の時に詐欺に引っかかってしまった。「iDeCoに預けてある500万円が手元にあれば、店を人手に渡さなくてもいいのに」と悔やんでも、60歳まではそのお金を引き出せないのです。 

 

 これは、会社員の方も同じです。会社でiDeCoの加入を義務づけられているのでなければ、自ら進んで入る必要はありません。 

 

 長い人生において、会社を辞めて自分で起業しようと思ったり、スキルアップしてもっと良い会社に転職しようと考えることもあるでしよう。 

 

 その時に、自分が積み立てたお金を使えないのです。 

 

 

■自営業者は、iDeCoの代わりに「小規模企業共済」を 

 

 iDeCoには、「年間81万6000円までの掛け金と運用益は、全額所得控除になる」というメリットがあります。そのために、続けたいという方もいらっしゃるでしょう。 

 

 自営業者の方であれば、同じくらいの額が税額控除になる「小規模企業共済」があるので、これを検討してみてはどうでしょう。 

 

 小規模企業共済も、iDeCoと同じように掛け金の全額が所得控除になるからです。上限は、月額7万円(年間84万円)です。 

 

 iDeCoと小規模企業共済の大きな違いは、「使い勝手の良さ」と「リスクの差」です。 

 

 「使い勝手」については、前述したようにiDeCoは60歳にならないと、積み立てたお金を引き出すことができません。 

 

 一方、小規模企業共済は、個人事業主の退職金のようなものですから、事業をやめた時に積み立てたお金が返ってきます。ただし65歳以上なら、仕事を続けていても、積み立てたお金を受け取ることができます。 

 

 iDeCoと最も違うところは、貸付制度があること。掛け金の7〜9割を、50万円から1000万円の範囲内で借り入れができます。 

 

 「リスクの差」はどうでしょう。 

 

 iDeCoは投資商品で運用するのでリスクがありますが、小規模企業共済はこの10年間平均2%程度で運用され、基本共済金に付加共済金も上乗せされます。 

 

 ちなみに、iDeCoは、投資商品のほかに預貯金で積み立てることもできます。ただし加入時のほか、最低でも年に2000円程度の手数料がかかるので、預貯金は銀行などで積み立てたほうがいいでしょう。 

 

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将来的なリスクを考えると、 

iDeCoに加入するのが得策とはいえない 

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荻原 博子(おぎわら・ひろこ) 

経済ジャーナリスト 

1954年、長野県生まれ。経済ジャーナリストとして新聞・雑誌などに執筆するほか、テレビ・ラジオのコメンテーターとして幅広く活躍。難しい経済と複雑なお金の仕組みを生活に即した身近な視点からわかりやすく解説することで定評がある。「中流以上でも破綻する危ない家計」に警鐘を鳴らした著書『隠れ貧困』(朝日新書)はベストセラーに。『知らないと一生バカを見る マイナカードの大問題』(宝島社新書)、『5キロ痩せたら100万円』『65歳からはお金の心配をやめなさい』(ともにPHP新書)、『年金だけで十分暮らせます』(PHP文庫)など著書多数。 

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経済ジャーナリスト 荻原 博子 

 

 

 
 

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