( 269081 ) 2025/02/23 15:40:20 0 00 Photo by gettyimages
移民のなかには、家族と共に日本にやって来る人もいる。あるいは、日本で暮らしているうちに、子供が生まれるケースもあるだろう。
いまや「移民の街」としてのイメージが定着しつつある埼玉県川口市は、人口約60万7000人のうち、8%近い約4万8000人が外国人だ。川口市教育委員会によると、市内の公立小・中学校には約3100人の外国人児童・生徒が在籍。しかも、過去3年間は年間300〜400人のペースで増え続けているという。
最多は中国籍で、次いで多いのがトルコ籍。その大半がイラン系民族のクルド人だ。昨年5月時点で、約400名のクルド人児童・生徒が川口市内の学校に通学している。
前回記事『埼玉県川口市「半分近くが外国人」「1クラスにクルド人が2,3人」という小学校も...現場の教師たちの「悩みと実態」』より続く。
学校に通えるようになったクルド人児童は、「取り出し授業」と呼ばれる、個別の日本語指導を受けることになるという。しかし定められたカリキュラムはなく、教師たちは手探りで教育をしていくことになる。
「絵本を読んだり、イラストと簡単な日本語が書かれたプリントを使ってみたり……といった具合です。日本語指導が必要な児童や生徒18〜35人につき教員一人が配置されることになっていますが、その数も足りていません。そもそも、クルド人は教育というものに対する考え方が日本人とは異なる。学校とは何か、学習とは何かを理解してもらうために、まずは家庭訪問をすることから始める場合もあります。
さらに大きな問題は、クルド人の親御さんも日本語ができないということ。川口市の学校では、専用アプリを通じて連絡事項を送っていますが、クルド人のスマホではそのアプリを上手くダウンロードできない場合もある。連絡ができたとしても、日本語が読めないので遠足や運動会など、行事の連絡も滞ってしまう」(同前)
教師の大半は教育者としての使命感から熱心にクルド人児童に指導を行っている。だが、行政や教育委員会も現場に丸投げしているのが実状で、教師たちはギリギリの状態だという。
別の小学校教師が明かす。
「学校で子供にトラブルが起き、クルド人の親が仲間と一緒に怒鳴り込んできたこともある。そういったことがあると、受け入れに消極的になってしまう教師も出てくる。クルド人児童が入学してきたときに、『なんでまたうちに……』と口にする教師がいるのも事実です。
なかには、『学校に慣れるまで母親が見ていてください』と言って、児童の母親を学校に来させるケースもある。日本語を理解できないクルド人母子が、友達も知り合いもいないなかジッと時間が過ぎるのを待っている様子を見るのは、非常につらいものです」
親も子供も日本語ができないという問題は、クルド人に限らず、どんな国籍の移民についても起こりうることだ。
川口市の現場教師たちからは、予算・人員などの行政のサポートがなければ、これ以上はもたないという声が多くあがる。日本として外国人の受け入れを進めていくのであれば、その子供の教育問題からも目を背けてはならないのではないか。
「週刊現代」2025年2月15日号より
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【つづきを読む】『西川口のクルド人が愛知に「大移動」か…現地住民が明かす「知られざる理由」』
週刊現代(講談社・月曜・金曜発売)
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