( 269824 )  2025/02/25 15:19:21  
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石破政権は来年度予算案の審議で野党との協議が続いているが、政権支持率は不支持派が上回っており、特に国民民主党支持層からの不支持が高い。

高校教育無償化や年収の壁引き上げなどで与野党の協議が進んでいるが、合意には遠い所もある。

立憲民主党は政策面での主張が浮かび上がっておらず、支持率が下落している。

一方、自民党の支持率はやや下がっているが、首相の野党の意見を取り入れる姿勢は賛同を得ている。

与野党が力を戦わせる中、国会情勢は緊迫しており、夏の参院選に向けて党の存在感を示す必要がある。

(要約)

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FNNプライムオンライン 

 

石破政権は、来年度予算の年度内成立という大きな関門に直面している。去年の衆議院選挙で与党過が半数割れし、野党の協力が不可欠となる政権運営が続く中、野党の意見を受け入れながら政府予算案の修正を図る協議が続いている。 

 

その石破政権の政権支持率を見ると、「支持」44.3%、「不支持」50.1%と、4カ月連続で「不支持」が「支持」を上回っている。また「不支持」が過半数を超えたのは、去年10月の政権発足以来初めてとなった。 

 

【内閣支持率】 

支持する   44.3% 

支持しない  50.1%     

 

ただし、支持政党別に見ると、依然として、自民支持層からは「支持」80.6%、公明支持層からも「支持」73.2%、維新支持層からも「支持」が49.4%と「不支持」47.8%となっていて、足下は堅く、一部野党からも一定の支持を得ている。 

 

先月に続いて、国民民主支持層からは厳しい意見で、「支持」20.7%、「不支持」77.9%と、勢いを維持する国民民主党の支持層が全体の政権支持率を押し下げる状況となっている。 

 

【内閣支持率 支持政党別(%)】 

      自民 公明 維新 国民民主 

支持する  80.6 73.2  49.4  20.7 

支持しない 14.7 21.3  47.8  77.9 

 

来年度予算案の修正をめぐって、連日協議が続いているのが、「高校教育の無償化」をめぐる、自公・維新の3党協議と「年収の壁引き上げ」をめぐる自公・国民民主の3党協議だ。 

 

いずれも野党要求に対し、政府与党が譲歩する形の協議となっているが、合意に向けた様相には大きな違いがでている。 

 

まず自公+維新をめぐる協議では、維新が求める高校無償化について、2025年4月から、公立・私立ともに支援金を上限で年11万8800円とし、2026年4月からは、私立向けに加算される支援額の上限を45万7000円として、いずれも所得制限を無くす方向で大筋合意にまで行き着いている。 

 

高校教育無償化での所得制限が、撤廃となる方向となったことについて世論調査で聞いたところ、「賛成」58.4%、「反対」35.1%となり、所得制限は無くすべきだという意見が過半数を上回った。 

 

【高校授業料の無償化 年収制限撤廃】 

賛成 58.4% 

反対 35.1% 

 

これを、自・公・維のそれぞれの支持層で見ると、自民層では「賛成」60.0%、「反対」33.7%、公明層では「賛成」72.7%、「反対」18.4%、維新層では「賛成」71.5%、「反対」27.0%と与野党それぞれの支持層とも3党協議の方針に賛成との意見が圧倒的に高い結果となった。 

 

自公と維新の間では、残すところ、維新がさらに要求する、社会保険料改革について、医療費4兆円削減と、社会保険料の国民負担を年間1人当たり6万円軽減する目標についての調整が残っているものの、合意は近い情勢となっている。 

 

【高校無償化 年収制限撤廃 自公維の支持政党別】 

    自民層 公明層 維新層 

賛成  60.0%  72.7  71.5 

反対  33.7   18.4    27.0 

 

 

一方、自公+国民民主の「103万円の壁」引き上げをめぐる協議は、暗礁に乗り上げている。 

 

自民党は、所得税が非課税となる壁、控除について、年収200万円、475万円、665万円、850万円と4つの“年収制限の壁”を作る案を提示した。 

 

これに対し、国民民主党の榛葉幹事長は「所得制限をつけるべきではない」として、自公と国民の間の溝は埋まっていない。 

 

世論調査では、「年収の壁」についても、年収制限を設けるか、年収制限を撤廃するか質問したところ、自民案に沿った「一定の年収で制限するべき」は43.1%、「年収制限はするべきではない」が48.3%と「年収制限無し」を望む声が多数となった. 

 

【「年収103万円の壁」年収制限】 

一定の年収で制限するべき 43.1% 

年収制限するべきではない 48.3% 

 

これを自公・国民民主のそれぞれの支持層で見ると、自民層では「年収制限すべき」64.1%、「年収制限すべきではない」27.8%、公明層では「年収制限あり」30.6%、「年収制限無し」47.0%、国民民主層「年収制限あり」17.5%、「年収制限無し」81.7%となった。 

 

自民案に対しては、公明支持層からも反対多数で、合意が遠い現状が浮き彫りになる結果となった。 

 

国民民主の榛葉幹事長は「誰かが戦略を考えたのでしょう。先に維新と交渉したら、国民民主党は焦ると、そして178万円を下げてくるんじゃないか、しびれを切らすぞって、舐めない方がいいよ、そんな妥協しないよ」と徹底して選挙で議席4倍増となった公約を譲らない考えを強調している。 

 

【「年収103万円の壁」年収制限 (%)】 

          自民 公明  国民民主 

一定の年収で制限  64.1 30.6 17.5 

制限すべきでない  27.8 47.0 81.7 

 

こうした与党と一部野党の協議がヤマ場を迎える中、政党支持率を見ると、各党で明暗が分かれる結果となった。 

 

まず日本維新の会の政党支持率は5.7%と、高校無償化の3党協議に焦点があたった今月は、前月比で倍増、3.2ポイント支持率が急上昇した。 

 

また国民民主党も、1月調査では7.2%だった支持率が、2月になって与党と「年収の壁」協議を連日行う中で支持率は9.8%に、2ポイント以上上昇した。 

 

一方、“埋没”した形となったのが、立憲民主党だ。立憲は、国会では高額療養費制度で患者の負担引き上げは「命に関わる問題だ」として、政府に対し負担引き上げを全廃するよう求めている。 

しかし、自公・立憲では3党協議には至っておらず、政府・与党が立憲の主張を正面から協議する姿勢にはなっておらず、立憲民主党の「存在感」は発揮されていない。 

 

こうした中、立憲民主党は、支持率6.9%と1月に比べて3ポイントほど下落し、野党第1党の支持率の座から再び転落し、国民民主党に譲る形となった。 

 

また、維新や国民民主の要求に、ジリジリと後退して主張に応じる形となっている自民党の支持率は、26.4%で3ポイント下落する形となった。 

 

【政党支持率の推移(%)】 

      今月 先月 

自民   26.4  29.4 

立憲   6.9   10.1 

維新   5.7   2.5 

国民民主 9.8   7.2 

 

 

野党協議に応じる自民党が支持率を下げる形だが、石破首相は、野党の意見に耳を傾けるよう指示している。 

 

こうした石破首相の姿勢について世論調査で質問した。「大いに評価」との答えは11.8%、「ある程度評価」との意見は60.1%と最も多く、「あまり評価しない」は17.2%、「まったく評価しない」は7.9%となり、「大いに」「ある程度」をあわせると、評価する声は7割超に上った。 

 

【石破首相が野党の意見を取り入れる姿勢】 

大いに評価     11.8% 

ある程度評価    60.1% 

あまり評価しない  17.2% 

まったく評価しない 7.9% 

 

こうした結果から有権者は、政府与党に対しては、数で押し切る姿勢を改め、野党の意見に耳を傾けるべきとみていると言える。野党が与党に勝る“良策”を提案するのであれば自民党の重みや役割は相対的に小さくなっていくと言うことだろう。 

 

一方で野党については、「政策実現」野党には期待は高まるものの、実現に至らない場合は、他の野党に支持を侵食されるということになる。 

 

まさに、少数与党体制の中で「提言野党」が力を増した、今の国会情勢に沿った見方といえる。夏の参院選を控える与野党各党は、「存在感」の発揮にしのぎを削ることになる。 

 

西垣壮一郎 

 

 

 
 

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