( 270299 )  2025/02/26 17:17:26  
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60歳から月額9万円の年金を受け取り始めた元会社員が、6年後に後悔している事例が紹介されています。

年金は基本的に65歳から受給が始まるが、60歳までの「繰上げ受給」や75歳までの「繰下げ受給」も可能であり、繰上げ受給では受給額が減額されます。

繰下げ受給を選ぶ人は少ない傾向にあり、繰上げ受給を選ぶ理由としては、「早死にした場合の保険」といった考え方もあるが、後悔するケースもあることが指摘されています。

60歳で仕事を辞めたAさんも繰上げ受給を選択し、受給額が減少したことで経済的に苦しんでおり、今はアルバイトで生計を立てています。

繰上げを取り消すことはできないため、慎重な選択が必要であり、将来の状況やリスクを考慮して判断することが重要です。

(要約)

( 270301 )  2025/02/26 17:17:26  
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年金の繰上げなんてするんじゃなかった…退職後、60歳から「月9万円」の年金を受け取り始めた元会社員。6年後の今になって猛烈に後悔するワケ 

 

年金は基本的に65歳から受給がスタートしますが、最大60歳までの「繰上げ受給」や最大75歳までの「繰下げ受給」も選択可能です。このうち「繰上げ受給」は早く年金を手にすることができる代わりに受給額が減る仕組み。「健康なうちにお金を使える」と考える人もいる一方で、この選択を後々後悔するケースもあるようで……。見ていきましょう。 

 

年金は65歳で受け取るのが基本ですが、前倒しで早く受け取る、あるいは後ろ倒しで受け取ることも可能です。 

 

このうち、早く受け取る「繰上げ受給」を希望する場合には、60歳〜64歳の間で「繰上げ請求書」を年金事務所や年金相談センターに提出します。 

 

繰上げ受給をすると、1ヵ月の繰上げごとに0.4%(1962年4月2日より前に生まれた人は0.5%)年金額が減ります。最大の繰上げ幅は60歳から受け取りの5年で、24%(同30%)年金が減ることになります。 

 

 

 

年金繰上げの減額率 

 

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請求時の年齢:減額割合 

 

60歳:24.0%(30.0%) 

61歳:19.2%(24.0%) 

62歳:14.4%(18.0%) 

63歳:9.6%(12.0%) 

64歳:4.8%(6.0%) 

 

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※カッコ内の数字は1962年4月2日より前に生まれた人(ひと月当たりの減額率0.5% ) 

 

出典:日本年金機構「年金の繰上げ受給」 

 

一方で、繰下げ受給をすると、1ヵ月の繰下げごとに0.7%年金が増えます。5年繰下げれば42%の増額で、最大の繰下げ幅である75歳から受け取り(10年)を選択すると、84%年金額が増額します。 

 

これを見るだけでも、いかに繰下げの増額率が高いかがわかりますが、繰下げを選ぶ人が多いかといえば、そんなことはありません。 

 

厚生労働省の「厚生年金保険・国民年金事業年報」(令和3年度)によれば、繰下げ受給を選択した人は、国民年金(基礎年金のみの人)で1.8%、厚生年金では1.2%です。 

 

一方、繰上げ受給を選択した人は国民年金(基礎年金のみの人)で27.0%、厚生年金では0.6%と、繰下げよりもずっと割合は多くなっています。 

 

繰上げ受給を選択する理由は、「年金をもらわないと生活できない」「早死にした場合、支払った年金保険料がムダになる」「健康なうちにお金を有意義に使いたい」など、三者三様です。 

 

ただ、デメリットをきちんと理解しないで選択すると、後々後悔するケースもあるようです。 

 

 

元営業マンのAさん(仮名・66歳)は60歳で仕事をリタイア。雇用継続で職場に残る選択肢もあったのですが、それを選びませんでした。 

 

「同じ仕事をさせてもらえるならよかったんですが、それまでと違う部署に行かされるという話だったんですよ。見るからに閑職で、プライドが許さなくてね。そんな扱いをされるぐらいなら辞めてやると思ったんです」 

 

そうした背景もあり、年金を早く受け取る選択をしたのだとか。 

 

「仕事を辞めることにしたのもあったし、当時は、もし早く死んで年金をもらえなかったら『払い損』になる。だったら多少少なくなっても早くもらいたいと思ってたんです」 

 

独身のAさんは、65歳で受け取る予定の年金見込み額が月あたり12万円程度でしたが、5年早めたことで月9万円程度に。 

 

こうして普通より少し早い年金受給が始まったのですが……。 

 

繰上げをしたことで、年金が月9万円程度になったAさん。もちろんそれだけで生活する気はなく、65歳までは仕事をする前提だったのですが……。 

 

「正社員での再就職も考えたんですけど、ハローワークに行っても全然いい仕事が見つからなくて。結局、近所の物流倉庫で最初は週3〜4日程度働いて、月の収入は8万円〜10万円の間ぐらい。普通に生活していたら年金とバイト代の中で収まるんだけど、家の更新料や家電の買い替えとかもあるし、たまには旅行に行きたいし。どうしても足が出てしまうので、貯金を切り崩していました」 

 

Aさんの貯金は退職金1,000万円と貯金が400万円程度でした。最初のうちはよかったのですが、1年、2年とたつうちに、じわじわと不安が押し寄せてきたのだとか。 

 

「通帳の残高が減っていく一方で。このままいったらどうなるんだと怖くなってね。今ではアルバイトを週5日にして時間も増やしていますけど、それも健康あってのもの。いつまで続くかわからないでしょう? このまま長生きしたらと考えると、年金の減額の影響って本当に大きくなるなと」 

 

1万円の重みが現役時代とはまったく違うと話すAさん。物価も上がっていく中で、65歳まで待って月12万円の年金をずっと受け取れていたら……そう考えてしまうのだといいます。 

 

「そもそも、いらないプライドで60歳で仕事を辞めたことから間違いでしたね。どんな仕事であれアルバイトよりは収入は多かったはずですし。働き方も年金のことも、もっと真剣に考えるべきでした」 

 

 

Aさんは繰上げを後悔しているケースですが、もちろん「繰上げてよかった」と考える人もいるでしょう。 

 

ただ、繰上げは取り消しできず、一生にわたって減額された金額になるということは理解しておくべきです。60代のうちは仕事の収入でカバーできても、70代、80代ではそうはいかないかもしれません。 

 

また、障害基礎年金も受け取れなくなります。障害基礎年金額は1級が102万円、2級が81万6,000円(令和6年度)です。2級は老齢基礎年金と同額で、1級は1.25倍になります。繰上げをした場合は老齢基礎年金も減額になるため、1級の障害状態に該当した場合、その差はかなり大きくなります。 

 

結婚をしている人の場合、寡婦年金の受給権もなくなりますし、65歳までは配偶者に万一のことがあったときの遺族年金も同時受給できません。 

 

繰上げをして後々後悔することのないよう、少なくとも上記のようなことを理解した上で、慎重に選択をするべきでしょう。 

 

THE GOLD ONLINE編集部 

 

 

 
 

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