( 270654 )  2025/02/27 16:07:28  
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日産自動車は、内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)の退任を検討しており、後任候補の検討に入ったことが明らかになった。

内田氏はカルロス・ゴーン元会長の逮捕以降、混乱の中で長く経営トップを務めていたが、業績再建や新たなパートナー探しのため一新を図る方針。

市場は内田社長の退任報道に歓迎し、株価の上昇や信用力向上の兆しが見られている。

(要約)

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Bloomberg 

 

(ブルームバーグ): 日産自動車は27日までに、内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)を退任させることを視野に調整を始めた。業績悪化に加えてホンダとの共同持ち株会社設立交渉が頓挫したことなどを受け、経営責任を明確化させ人心を一新して出直しを図る狙いがある。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。 

 

公表前の情報だとして匿名を条件に話した関係者らによると、日産は就任から5年以上が経過した内田氏の後継候補の検討に着手した。同社は3月中旬にターンアラウンド(再生計画)の詳細について発表する方向で、4月には幹部人事の刷新を予定している。 

 

カルロス・ゴーン元会長の逮捕以降の混乱を経て、長く経営トップを務めてきた内田氏が退任すれば日産は一つの区切りを迎えることになる。業績再建は今にいたるも道半ばのままで自動車業界の競争激化で新たなパートナー探しも急務となっており、次期トップには重い責任が課せられることになる。 

 

日産広報担当の永井志朗氏はコメントを控えるとした。 

 

内田社長の退任に関する報道について市場は歓迎しているようだ。日産の株価は27日の東京市場での取引で上昇に転じ、一時前日比4.7%高の450.5円まで買われた。 

 

また、同社のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)は27日朝、仲値の気配が155bpを示している。前日より約33bp低い水準で、CMAのデータによると昨年12月中旬以来の低下幅となる。CDSのスプレッドのタイトニングは会社に対する信用力が市場で高まっていることを示している。 

 

日産は米国や中国の販売不振などで業績が悪化。今期(2025年3月期)純損益は800億円の赤字に転落する見通しで、タイなどでの工場閉鎖を伴い全世界で9000人を削減するリストラ案を進めている。内田社長はホンダとの共同持ち株会社設置構想でも先頭に立って交渉を進めてきたが、2月13日に協議を打ち切ることを正式発表、破談に終わった。 

 

 

ブルームバーグ・インテリジェンスの吉田達生アナリストは報道について、日産自身が内田社長退任に動き始めたことは、「生き残りのためのパートナーを獲得する上で、日産がまだ当事者能力を有しているということを示唆するものだ」と評価。市場の反応については、内田氏自身が再建にめどがついた時点での退任の可能性を示していたものの、実際の時期は明確にされておらず、退任までの時間がこれまでの想定ほど遅くはないと解釈された可能性があると述べた。 

 

内田社長は会見で、一連の問題に対して社長として経営責任を重く受け止めているとコメント。最終的には株主や取締役会が決めることだとした上で、「私としては日産の業績の低迷に歯止めをかけ、現在の混乱を収束させることが喫緊の役割と認識」しており、「果たすべき務めに一日も早くめどをつけ、可及的速やかに後任にバトンタッチしたい」と述べていた。 

 

内田氏は1991年に同志社大学神学部を卒業後、日商岩井(現双日)を経て2003年に日産に入社。購買担当を中心に歩み、中国事業のトップを務めたあと19年12月に社長に就任していた。 

 

日産を巡っては、台湾の鴻海精密工業も提携を目指しており、必要であれば日産の大株主である仏ルノーが保有する株式の買い取りも検討しているほか、米投資ファンドのKKRが日産の資金調達に関して協議を始めていることも明らかになっている。 

 

--取材協力:アリス・フレンチ、Ayai Tomisawa. 

 

(c)2025 Bloomberg L.P. 

 

Siddharth Vikram Philip, Albertina Torsoli, Masatsugu Horie 

 

 

 
 

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