( 271629 )  2025/03/03 05:36:35  
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鹿児島空港の駐車場が混雑しており、運転手不足による連絡バスの減便やコロナ禍に伴う民間駐車場の廃業が原因とされている。

旅行需要の回復に伴い、国と民間が協力して対策を進める必要がある。

同様の状況は那覇空港でも見られ、民間駐車場の廃業などが影響している。

専門家は長期的なビジョンを共有し、国と民間が協力して対策することが重要だと指摘している。

(要約)

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混雑する鹿児島空港の駐車場(鹿児島県霧島市で) 

 

 各地の空港で駐車場の混雑が深刻になっている。運転手不足による連絡バスの減便や、コロナ禍に伴う民間駐車場の廃業などが影響しているとみられる。インバウンド(訪日外国人客)を含めて旅行需要の回復が進む中、専門家は「利用客の利便性を損なわないように、国と民間が協力して対策を進めていくべきだ」と指摘している。(井芹大貴) 

 

 土曜日の午後、鹿児島空港の駐車場案内板には満車を示す赤い「満」の文字が並んでいた。入り口には、中に入れない車が長い列をつくり、場内では空きスペースを探して行ったり来たりする車両が見られた。 

 

 東京へ戻る孫を見送りに来た鹿児島県霧島市の会社員(76)は「空港の玄関から離れた場所になったが、なんとか空きを見つけることができた。連休は混むイメージがあったけど、普段の週末でもここまで多いとは」と驚いていた。 

 

 鹿児島空港ビルディングによると、駐車場の収容台数は約1500台。2023年度の利用は約75万台で、コロナ禍前の19年度の9割を超えた。満車となった日数も週末や年末年始を中心に約60日間で、19年度とほぼ同じだった。 

 

 混雑の理由について、同空港ビルディングは、空港の利用客の増加に加え、県内各地と結ぶ連絡バスの減便で、車を使う人が増えたことを挙げる。 

 

 バスを運行する鹿児島交通(鹿児島市)によると、コロナ禍で最大3割程度まで減少した乗客は回復傾向が続いているものの、運転手不足も重なり、鹿屋や枕崎といった地域と空港を結ぶ路線は便数が半減したままだという。南国交通(同)と共同運行している鹿児島市方面の便数も8割程度にとどまる。 

 

 鹿児島交通の担当者は「利用ニーズが高い時間帯は優先して便数を増やしているが、運転手不足は全国的な課題で、一気に確保するのは難しい」とこぼす。 

 

 那覇空港では、国際線の便数はコロナ禍前の約8割に減っているにもかかわらず、週末の駐車場は満車の状態が続く。タクシー料金の値上げや、空港につながるモノレールが外国人観光客らで混み合っていることが要因とみられる。同空港では2月1日、駐車場の混雑緩和を狙い、金土日曜などの24時間の利用料金を1600円から2200円に引き上げた。 

 

 

 コロナ禍で空港周辺の民間駐車場が廃業した影響も出ている。宮崎空港では臨時駐車場を設け、職員の車を離れた場所に止めるなどしてしのいでいるという。 

 

 同空港のように国が直接管理する空港では、ターミナルビルや駐車場を運営する民間のビル会社にとって、立体駐車場の新設など抜本的な対策を講じるのはハードルが高いとされる。国管理のある空港の担当者は「ほとんど国任せのような形。なかなか改善策が見つからない」と漏らした。 

 

 国土交通省航空ネットワーク企画課は「コストの問題もあり、即効性のある取り組みは難しい。情報発信や誘導員を増やしたり、公共交通機関や民間駐車場の利用を呼びかけたりしていきたい」としている。 

 

 一方、国から委託を受けた民間企業の「福岡国際空港」が運営する福岡空港では24年4月、国内線に立体駐車場を新設し、以前の約2倍にあたる約1600台の収容が可能になった。国際線でも23年2月、約1000台が止められる立体駐車場が整備された。 

 

 桜美林大の義本正実・特任教授(航空・マネジメント学)は「国管理の空港は、利便性を向上させるための責任の所在が分かりにくい構造になっている」と指摘。その上で、「今後も空港の利用客の増加傾向は続くとみられ、動態調査を行うなどして、国と民間が長期的なビジョンを共有して対策を進めていくことが重要」と話している。 

 

 

 
 

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