( 272044 )  2025/03/05 04:08:31  
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兵庫県の斎藤元彦知事に関する疑惑に関連して、県議会特別調査委員会(百条委)メンバーである増山誠県議が、秘密会で録音した音声データを立花孝志NHK党党首に提供していた問題で、共犯者がいた可能性が指摘された。

百条委は斎藤氏のパワハラや贈収賄疑惑を事実と認定し、斎藤氏が告発者を処分した行為についても違法性が高いとの報告書をまとめた。

報告書によれば、斎藤氏は特産品の要求や補助金不正支出の疑惑などが含まれていた。

また、Aさんと竹内英明元県議の自死など有罪判決に向けた管理責任を示唆する内容も含まれている。

最終報告書では、県職員への証人尋問やアンケートを行い、結論をまとめた。

一部の維新が反対意見を取り下げるなど、報告書内容には影響があった。

奥谷謙一委員長は、増山誠県議と岸口実県議に対し説明責任を果たしていないと指摘し、新たな疑問を投げかけた。

(要約)

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集英社オンライン 

 

兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑に絡み、県議会特別調査委員会(百条委)のメンバーだった増山誠県議が秘密会で隠れて録音した音声データを立花孝志NHK党党首に提供していた問題で、増山氏に録音を協力した「共犯者」がいた可能性があると百条委トップが指摘した。百条委は斎藤氏のパワハラやおねだり疑惑をほぼ事実と認定した上、斎藤氏らが告発者を処分したことは違法の可能性が高いとの報告書をまとめ、2月5日の本会議に提出する。 

 

斎藤知事の疑惑は昨年3月12日、当時の西播磨県民局長・Aさん(60)が県警や県議、メディアの計10か所に郵送し外部に知らせた。 

 

告発文書には、斎藤氏がパワハラを繰り返し、出張のたびにカニや牡蠣などの特産品がほしいと「おねだり」を行なっているとの指摘が書かれていた。さらに、2023年11月に行なわれた阪神・オリックス優勝祝賀パレードの協賛金を出す見返りに補助金を上積みすると金融機関に約束をしたとの公金不正支出疑惑や、県職員を動員した事前選挙運動疑惑も書かれていた。 

 

百条委は文書にあった7項目の疑惑を調べるため発足したが、後にさらに1つ、調査対象が加わった。 

 

「告発文書を見た斎藤知事は、当時の片山安孝副知事(昨年7月に辞職)らに発信者探しを命じ、特定されたAさんは懲戒処分を受けました。 

その調査過程ではAさんの県公用パソコンの中にあったプライベートな文書データが流出し、当時の井ノ本知明総務部長が複数の県議らに見せて回っていたことが分かっています。 

 

それだけではありません。当時維新に所属し百条委副委員長だった岸口実県議と百条委委員だった増山県議は、このデータを百条委で全部開示しろと執拗に求めました。Aさんはこのデータが出回ることに心を痛めていました。百条委が岸口氏らの要求を受け入れない決定を出す前日、自ら命を絶ちました。 

 

この経緯から、Aさんに対する県当局の仕打ちが妥当だったかも百条委の調査項目になったのです」(県職員) 

 

 

その百条委は3月3日午後、非公開の協議会で全会派が報告書の結論で合意した。県議会関係が話す。 

 

「まず、Aさんを告発者と特定し処分した県の行為を『公益通報者保護法に違反している可能性が高い』と明確に指摘しました。“告発者がつぶされる事例”と受け止められかねないとも警告しています。 

 

パワハラ疑惑も、斎藤氏が部下職員らにキレ散らかしたことはパワハラと認められる要素を満たしており『不適切な叱責があったと言わざるを得ない』と断言しました。 

 

おねだりについても、物産品を『PRなどではなく、知事個人として消費していたと捉えられても仕方がない行為があった』と、個人的なたかりがあったとほぼ断定しました」(同関係者) 

 

パレード疑惑に絡んでは、報告書は犯罪事実の認定は避けながらも、資金調達が難航し、県は終了後も金策に追われる“特異な状況”に追い込まれていたと指摘。 

 

「刑事告発されている背任容疑で県関係者が起訴され有罪になれば、斎藤氏は管理責任を重く受け止め対処せよ」との文面まであるという。「関わった者が起訴される事態に備えたかのような書き方です」とこの関係者は話す。 

 

報告書ではAさんの情報を触れ歩いた井ノ本元総務部長についても、刑事告発も含めた適切な対応を取るよう県に求めている。 

 

こうした結論は委員会が行なった県職員への証人尋問やアンケートである程度予想されていた。2月18日に奥谷謙一委員長が示した報告書素案も、書きぶりはこれほど強くはなかったものの、方向性は同じだった。(♯31) 

 

ただ、素案から一変したことがある。斎藤氏を徹底して擁護してきた維新が斎藤氏に不利な書き方に異を唱えたいくつもの「意見」が一掃され、全会一致の意見として取りまとめられたことだ。 

 

「Aさんのプライベートな情報の開示を求めた岸口、増山両県議が、今度は昨年11月の知事選のさなかに百条委への県民の信用を損ねる異常な行動をとっていたことが分かったからです。発覚後、2人は百条委委員を引責辞任し、維新会派も離れました。これを受け、維新は報告書に『反対意見』を盛れとの要求を取り下げたのです」(県議会関係者) 

 

関係者の話を総合すると、増山氏は昨年10月25日に秘密会で百条委が開かれた際、片山元副知事の証人尋問の音声を隠れて録音。Aさんのパソコンの中から“不倫日記”や“クーデター計画”が出てきた、と話す片山氏の声が入った音声データなどを知事選公示日の10月31日、神戸市内のカラオケボックスで立花氏に提供した。 

 

11月1日には岸口氏も、仲介に入ったX氏とともにホテルオークラ神戸で立花氏に面会。百条委で疑惑追及の先頭に立った竹内英明元県議らを斎藤氏をハメた“黒幕”だと書いた怪文書を渡している。 

 

この音声データや怪文書を基に立花氏はAさんや竹内氏らを非難し「斎藤さんは悪くない」と斎藤氏を応援する“2馬力”の選挙を展開。こうした主張がSNSで拡散し、斎藤氏の再選の力になったとみられている。 

 

選挙が終わっても竹内氏らを非難する声はSNSでもリアルの世界でも鎮まらず、誹謗中傷にさらされた竹内氏は県議を辞職した後、ことし1月に急逝した。自死とみられている。 

 

「立花氏に材料を提供した2人は自分たちの行動が発覚すると陳謝はしました。 

しかし岸口氏は『怪文書の作成者も作成の狙いも分からない』と主張して動機や経緯の説明を拒んでいます。増山氏は、ルール違反はしたが県民が知るべき情報を提供したことは反省しないと言っています」(地元記者) 

 

 

こうした中で3月3日夕、百条委で報告書のとりまとめを成し遂げたばかりの奥谷委員長が新たな決意を表明した。 

 

「(岸口、増山の)お2人は、説明責任は果たされてないと考えています。 

岸口議員に関しては(今の説明は)何があったかという状況が全くわかりません。誰が(怪文書を)作ったのかをきっちりと説明されないことは非常に大きな問題だと思ってます。 

増山議員については(隠し録音で)共犯者がいるんじゃないか、誰かをかばってるんじゃないかと疑問を持ってる。これは議会としてちゃんと主体的に調査すべきだと思ってます」(奥谷氏) 

 

  

 

「増山氏の共犯者」とはどういう意味か。 

 

「立花氏は増山氏から音声データを受け取ったとする昨年10月31日の夜、街頭宣伝でその音声を流し、さらにその音声が入った17秒の動画をXで公開しました。 

その後、11月4日になって3分14秒の音声を自身のYouTubeチャンネルで暴露しました。これには動画はありません」(地元記者) 

 

奥谷氏が注目したのは17秒の動画だ。そこに映し出されている机が、増山氏がいた百条委の部屋にはないことを確認したという。 

 

「机は県庁の他の部屋にあるものとみられます。増山氏は自ら録音したと主張していますが、スマホをつなぎっぱなしにするなどの方法で音声を別の部屋に飛ばし、その部屋にいた人物が録音、録画するなどした疑いが出てきました」(同記者) 

 

増山氏、そして岸口氏の説明は事実なのか。Aさんと竹内元県議という2人の犠牲を生んだ末に、告発文書には「一定の事実が含まれている」と結論づけた百条委の出口で、新たな疑念が湧き上がってきた。 

 

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班 

 

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