( 272449 )  2025/03/06 06:25:44  
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コメの高騰と在庫不足の異常事態が続いている。

農家には高額な買い取り価格が提示されるなど、不安が広がっている。

国は備蓄米の放出を決定したが、市場への影響は不透明。

消費者は高いコメを購入し続ける一方で、生産者は収入を増やせることには喜ぶものの、市場の異常に懸念を抱いている。

(要約)

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米高騰で買い取り高値提示や買い占め目的など異常事態に 

 

コメの高騰と在庫不足で異常事態が起きている。農家に突然姿を現し高額な買い取り価格を提示する見知らぬ者。「全部買い占めようという人が何人も来た」という販売店も。コメ市場の先行きに不安が募っている。 

 

コメ価格の高騰対策として国は2025年2月、備蓄米の放出を発表した。しかし市場にどう影響するかは不透明だ。 

品質、生産量ともに全国有数の”米どころ”佐賀県。農家やコメを扱う関係者の本音と現状を取材した。 

 

佐賀市のスーパーマーケットのコメ売り場。県産米の「さがびより」5キロが約4000円。去年(2024年)より1000円ほど高い値段だ。 

 

また、全体的にコメの数が少なくなっていて欠品や品切れの棚もあり、次の入荷は未定となっているという。 

 

スーパーマーケットの店長は「極端に言うと倍近くぐらい値段が上がっている。発注をしても思うように(いかず)入荷が少ない」と厳しい仕入れの実情を語る。 

 

コメの価格高騰で、家計を圧迫する日々も続いている。 

 

コメを購入した客: 

高いけど…きょう食べるお米が無いので買わないとしょうがない 

 

すでに品切れの商品もあり、米どころの佐賀県内でも多くの店が”購入の制限”をして対応しているのが現状だ。 

 

コープさが生協新栄店 江口浩二店長: 

このままの状況が続くと、欠品というか、”お店にお米が無い”という状態も出てくる。入荷量が増えることを望んでいる 

 

一方、コメを生産している農家はこの現状をどう感じているのだろうか。 

 

佐賀・小城市の農家は次のように本音を語った。 

 

小城市のコメ農家 北川公文さん: 

そりゃ農家にとっては、値上がりは非常にいいことなんでしょうけど、ちょっと異常だなと感じている 

 

年間約45トンのコメを生産する北川さん。そのほとんどを、ふるさと納税の返礼品として出荷しているが、今年(2025年)の注文の量は去年の約3倍に増加。 

 

いま冷蔵庫にあるコメはほぼ全てが“予約分”だという。 

 

 

燃料代や肥料代など生産コストが年々高騰するコメ作り。北川さんは、コメ価格の高騰に複雑な思いを話す。 

 

小城市のコメ農家 北川公文さん: 

“もうけ”だけの話でいけばコメがどこまででも上がってくれれば一番いいんですけれどもね。そしたら買ってくれる人がいなくなるんじゃないか。“米離れ”が一番心配ですよね 

 

そもそも、なぜコメの値段が上がっているのか? 

背景のひとつに、普段はコメの取引をしない業者の参入が指摘されている。値上がりを見込んだ“転売目的”での購入だ。 

 

ある農家には、今年1月、見知らぬ男性が突然訪れたという。その時のようすを次のように話してくれた。 

 

県内のコメ農家: 

ぶーんと車で来た。ぱっと見“廃品回収屋”のような。この人誰だ?という人が『お米買いますけど』と軽トラックで来た。佐賀県ナンバーじゃなかった。福岡県の筑豊ナンバーだった。私はほとんどJAに出しているので、もうお米持ってないよ、とお断りした 

 

また、普段は野菜の取引を行う長崎県の“青果業者”からも高値での買い取りの誘いがあったという。 

 

県内のコメ農家: 

お米の方を流して(買わせて)もらえないかと。野菜よりもお米の方が流通させて利益が取れると。(提示してきたのは)結構いい値だった 

 

最終的にはコメを売らなかったが、この業者から提示されたのは60キロで2万円を超える価格。JAよりも数千円高い値段だった。 

 

「農家としても、少しでも高い方が自分たちの収入として得られる。JAには失礼かもしれないが、外(の業者)に流した方が自分たちの収入にはなるのでは?という感じにはなる」と農家は本音を語る。 

 

見知らぬ業者が訪れているのは農家だけではない。 

 

佐賀・みやき町のコメの販売店の社長は「業者なのか転売する人なのか分からないが、あるもの全部買い占めようという人が何人か今まで来た」と話す。 

 

このコメの販売店の店頭でのコメの販売量は去年(2024年)より6割増えた。去年完成したばかりのコメの保管庫の在庫状況は想定していたものとは全く違う状態だと次のように話す。 

 

大塚米穀店 大塚乾祐社長: 

見ての通り…すかすかです。当初の予定だと(保管庫の)ギリギリまでお米が入って、こういうスペースがあることは(想定に)なかったんですけど… 

 

 

現在の在庫は約100トン。想定していた4分の1しか残っていない。 

 

年間を通して施設や飲食店にコメを卸しているため、在庫の減少に不安を抱えているという。 

 

大塚米穀店 大塚乾祐社長: 

売り上げが上がるのはありがたいことだが、どうやってこの先の在庫を確保しようかという問題がある。途中でコメを切らしてしまうのが一番お客さんに迷惑をかけるので複雑な心境です 

 

コメの高騰対策として国は備蓄米の放出を発表したが、県内の市場にどう影響するかは不透明だ。「規模の小さい販売店までコメが回ってくるのかわからない」との不安の声もある。備蓄米放出の効果について疑問視する関係者も多い。 

 

消費者も生産者も安心できるコメ市場に戻る日がいつになるのか、関係者の不安は続いている。 

 

(サガテレビ) 

 

サガテレビ 

 

 

 
 

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