( 272464 )  2025/03/06 06:42:17  
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フェラーリは希少性を高めるために台数を絞って販売しており、日本では多く見かけることができるが、その戦略は健在のようだ。

フェラーリは昨年史上最高の出荷台数を達成するなど好調であり、希少性へのこだわりや多車種少量生産戦略が功を奏している。

日本は北米やヨーロッパ主要国とともにフェラーリの主要マーケットであり、中国では意図的に出荷台数を抑えることで希少性を保っている。

このように日本はフェラーリにとって重要な市場であり、ブランディング戦略が成功していることを示している。

(要約)

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 台数をあえて絞ってクルマを販売するフェラーリ。しかし、日本の都市部では面白いぐらい見かけることができる。希少性を高めるための戦略は今も健在なのだろうか?また日本は世界的に見てどんなマーケットなのだろうか。ここではその疑問について考察してみたい。 

 

 文:越湖信一写真:フェラーリ 

 

 スーパーカーの王者、フェラーリは2024年の出荷台数でも王者の風格を見せてくれた。2023年から比べると微増ではあるが、史上最高値の1万3752台を記録し、過去最高の売上高と営業利益を達成。 

 

 電動化で揺れる量産自動車カテゴリーとは異次元の好調ぶりである。もちろん、CO2削減への姿勢を表明するために、e-ビルディングの完成や、10月9日に予定されているキャピタル・マーケッツ・ディにてBEVの登場をほのめかすことも忘れてはいない。 

 

 今から10年ほど前はフェラーリの年間出荷台数が7000台あたりだったことを考えると、その躍進ぶりは凄まじい。しかも車両価格は年々上昇しているのだ。 

 

 2015年当時の主力モデルであった488GTBが3000万円くらいであったのに対して、現行の296GTBは4000万円(それぞれベース価格)である。いくらモータースポーツやニューモデルの開発コストに掛けようとも、着実に利益を上げるフェラーリ。これらの数字からもその凄さが感じ取れる。 

 

 フェラーリのセールスが好調であるのは、彼らのブレることなきブランディング戦略があってのこと。その根本にあるのは希少性への徹底的なこだわりだ。 

 

 常に顧客のニーズを精査し、需要台数より供給台数を絞り、マーケットに品薄感、飢餓感を抱かせるという戦略だ。だから、フェラーリのショールームに即納車がゴロゴロ存在することはあり得ない。 

 

 注文を受けて、その納車が1年後、はたまた3年後だったりするというおなじみの販売スタイルは今も健在だ。では、なぜ近年総生産台数が増えているのに、マーケットが飽和しないのか? 

 

 それは"多車種少量生産"戦略だ。フェラーリは年間1万台ほどの少量生産メーカーにも関わらず、昨年デリバリーされたのは16モデルにも及ぶ。 

 

 そして、まだ人気の高いモデルであっても惜しげなく生産中止としてしまうのだ。昨年ではポルトフィーノM、ローマ、SF90ストラダーレ、812 GTS、812コンペティツィオーネなどが生産終了。まだまだ欲しい人はいただろうに…。このあたりのやり方は実にうまい。 

 

 

 さて、そんな絶好調のフェラーリであるが、いったいどの国が多く売っているのであろうか?このところ、キーマーケットである6か国ほどが全出荷台数の約60%抑えており、大きな影響力を持っているのだ。 

 

 トップは言うまでもなく北米、2位がドイツ、3位が日本、4位が英国、5位イタリア、6位フランスと続く。 

 

 つまり、北米とヨーロッパ主要国、そして日本がフェラーリのメインマーケットなのである。 

 

 一時期、大幅に台数を伸ばした中国であるが、このマーケットに関して、フェラーリは意図的に出荷台数を抑えていることもあり、減少が続いている。そう、これも希少性を保つための戦略のひとつなのだ。 

 

 この上位グループの中で日本はここ数年ドイツに抜かれてはいるが、2位の時期も長く、フェラーリにとってとても重要なマーケットであるのだ。 

 

 日本の街中でフェラーリを見かける機会は多いが、それは決して希少性が薄まったからでなく、日本がビッグマーケットであることの証なのである。 

 

 

 
 

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