( 272679 ) 2025/03/07 05:10:25 1 00 セルフレジを使わなくなった人たちの本音(イメージ)
セルフレジの普及が進む中、セルフレジを使ってみたが使わなくなった人たちの声もある。 |
( 272681 ) 2025/03/07 05:10:25 0 00 セルフレジを使わなくなった人たちの本音(イメージ)
多くのスーパーやコンビニなどで設置されるようになったセルフレジ。一般社団法人全国スーパーマーケット協会の「スーパーマーケット年次統計調査報告書」によると、2024年のセルフレジ設置企業の割合(半数以上の店舗に設置と半数未満の店舗に設置の割合の合計)は37.9%で、コロナ禍以前となる2019年の11.4%からおよそ5年で約3倍に増えたことがうかがえる。
生活に馴染みつつあるセルフレジ。便利に使いこなす人がいる一方で、「使ってみたが使わなくなった」という人たちもいる。スーパーのレジ現場での悩ましい現状について、客と店員の双方に話を聞いた。
「近所のスーパーでは、コロナ禍にセルフレジが導入された当初、お客さんは有人レジと半々くらいの利用割合だったのに、今では私も含めて、ほとんどの人が有人レジに並んでいる印象です」
そう明かすのはIT企業勤務の40代女性・Aさん。「セルフレジで会計するメリットがないことにみんな気づいたのでは」と話す。
「スーパーでは、基本的に買う品数が多い。その分スキャンする数も増えます。セルフレジは『自分でスキャンして会計してね』というシステムですが、スーパーが人件費を抑える代わりに、こっちが店員の仕事をやってるんだから、その分何らか対価があってもいいような気はします」
Aさんは、「一種のタダ働きのように感じるし、ある意味“労働搾取”なのでは(笑)」と、口ぶりこそ冗談めかしたものの、「あるいは、有人レジを有料にするとかですかね?」と、終始どこか納得のいかない表情だった。
高齢者も苦労している。主婦の60代女性・Bさんは、「レジ操作は覚えましたが、あまり使いたくないのが本音です」と語る。
「操作は覚えましたが、やっぱり店員さんにやってもらった方が速いし、袋詰もスムーズです。お釣りの取り忘れもなくて安心。私は現金派なのですが、セルフレジに1万円を入れて、お釣りは小銭だけ取って、お札を取り忘れてしまうということがあるんです。そのたびに、店員さんが慌てて追いかけてきてくれるのですが、申し訳ない気持ちになるので、今は、有人レジでしか買い物しません」(Bさん)
スーパーだけでなく、コンビニでも不満を募らせる客がいる。カメラマンの30代男性・Cさんは、「セルフレジは使わず、必ず有人レジか、店員さんを呼びます」と言う。
「セルフレジ、便利だと思ったんですが、コンビニはスーパーと違ってレジ周辺のスペースが狭くて、店舗によっては袋詰するスペースもない。領収書をもらおうとすると、結局店員さんを呼ばなくてはいけないということもしょっちゅうでした。結局、店員さんに会計してもらったほうがラクだなと思うようになり、今はすべて有人レジで会計してもらいます」
いくら人手不足とはいえ、「セルフレジのあり方を見直してもよいのでは」と考えるCさん。「酒を買う際に店員がわざわざ確認手続きをするのも無駄だし、割引商品はセルフレジに対応してないこともある。買いたいものを買いたい時にスムーズに買えないシステムは、見直したほうがよいと思います」と語る。
店側はどう感じているのだろうか。50代男性・Dさんが働く都内のスーパーでは、数年前に有人レジを半減させ、セルフレジを設置したというが、「最近、裏目に出ています」と語る。
「有人レジはあるのですが、並ぶ人が多くて、『早くしろ』などと声を荒らげる人もいます。セルフレジ導入で有人レジの混雑が緩和されると期待していたのに、むしろ大行列。有人レジに並んでいる人にセルフレジがありますよ、と案内するスタッフもいるのですが、先日は『それが嫌だから並んでるんです』と言う人がいて、そりゃそうだな、と思ってしまいました」
有人レジの混雑による弊害もあるという。Dさんは「有人対応が必要な人が不便をしています」とその実情を明かす。
「有人レジがあまりに混んでいて、赤ちゃん連れや、体が不自由な方など、有人レジのほうが圧倒的に買い物がラクな人がセルフレジを使っていることがあります。もちろんお手伝いのお声がけをするのですが、これまでになかった手間が増えていることは店員も感じています。店側の人件費削減と業務効率化、お客様側の利便性を図ったはずのセルフレジなのに、かえって両方の負担が増えてしまうのは本末転倒ですよね」(Dさん)
メリットだけでなくデメリットへの指摘も増えているセルフレジ。客側からも店側からも、「もう少しよい方法がないものか」と模索する声が出ているようだ。
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