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アメリカのトランプ政権が「トランプ関税」を発動し、カナダや中国などの主要輸入相手国が報復措置を取る展開になっている。

これにより株価や為替にも影響が及んでおり、日本の経済にも悪影響を及ぼす可能性がある。

日本でも円高や追加関税の影響で株価が下落し、外国人投資家も懸念を示している。

物価や賃上げ、NISAなども影響を受ける可能性があり、市場や消費者に不安を与えている。

(要約)

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“トランプ関税”がついに発動しました。関税をかけられたカナダや中国などは「報復関税」を宣言。日本市場でも一時、株安が進む展開に…。こうしたトランプ政権の経済政策は、私たちの暮らしにどのような影響を及ぼしていく可能性があるのでしょうか。 

 

■“トランプ関税”発動で主要輸入相手国が報復措置も 

 

アメリカ トランプ大統領 

「アメリカが戻ってきたぞ」 

 

連邦議会で2期目の施政方針演説を行ったトランプ大統領。「アメリカン・ドリームの再生」がテーマとあって、関税についても… 

 

トランプ大統領 

「“トランプ政権のアメリカ”でモノづくりしないのなら、関税を払うことになる。関税をかけられたら、かけ返す」 

 

アメリカの主要な輸入相手国は中国、カナダ、メキシコの3国。カナダとメキシコからアメリカに入る製品に25%の関税を課し、中国からの製品に対する追加関税も10%引き上げました。 

 

カナダ トルドー首相 

「ドナルド…あなたは賢い人だが、これはあまりに愚かな行為だ。貿易戦争だ」 

 

カナダは同じく25%の報復関税を発動。アメリカが関税を撤回しないかぎり、報復関税を継続する方針です。 

 

影響は早くも出始めています。 

 

カナダ最大の人口を抱えるオンタリオ州では対抗措置として、アメリカ産の酒類の販売が停止されました。商品棚の貼り紙には「カナダの利益のために」の文字が。カナダ産を購入するよう促しています。 

 

ワインを購入した買い物客 

「いつもはカリフォルニア産のワインを購入しているけど、別の物を買いました。アメリカの関税への抗議を支持します」 

 

報復措置はカナダ以外でもとられ、中国はアメリカからの農産物などに10日から最大15%の追加関税を課すと発表。メキシコは、関税を含む対抗措置を9日に発表するとしています。 

 

■日本の株価や為替への影響は? 

 

さらなる貿易戦争に発展すれば、世界経済への影響は避けられません。4日のニューヨーク株式市場は、株価が一時800ドルあまり急落。4日の日経平均株価も一時、900円以上値下がりし、5日も方向感を欠く取引となりました。 

 

 

株安の要因、もう一つは“円高”が進んだことです。そのきっかけも、この人の発言でした。 

 

トランプ大統領 

「日本の円であれ、中国の人民元であれ、彼らが通貨を切り下げると我々(アメリカ)に非常に不公平な利益をもたらす」 

 

トランプ大統領は3日、日本が円安誘導していると名指しで批判。円安による不公正な貿易を是正するために、日本に対しても“追加関税”を課す可能性を示唆しました。 

 

トランプ大統領の言動に市場が振り回される状況は続きそうです。 

 

日本株への影響をどう見ているのか。日本株の売買の6割以上を占める外国人投資家に聞きました。 

 

オーストラリアの投資家 

「円高が進行すれば、日本株にとって悪影響を及ぼす。ドル・円相場とトランプ政権の動向が、日本株市場にとって最大のリスク要因」 

 

スイスの投資家 

「トランプの最初の任期中、日本経済は何とか影響を回避できた。しかし、今回も同じ状況になるかは確実ではない」 

 

■日経平均株価は右肩下がり 「物価」「賃上げ」「NISA」は? 

 

小川彩佳キャスター: 

様々な影響が懸念される中で、外国人投資家の方々からは日本株への影響を気にする声がありました。 

 

23ジャーナリスト 片山薫 記者: 

実際に日経平均株価を見てみると、この半年ぐらいは3万8000円台〜4万円台をずっとウロウロしていて、ある意味“レンジ”に入っていましたが、この1か月ぐらいで急に下がっています。一時期3万6000台につけることもあったので、やや投資家の不安が高まっている状態です。 

 

藤森祥平キャスター: 

トランプ大統領の発言や振る舞いに株価為替も影響を受ける形になっていますが、トラウデンさんに街の皆さんの声を聞いてきてもらいました。 

 

トラウデン直美さん: 

トランプ政権の経済政策で、暮らしにどんな影響が出るのか、皆さんがどんな不安をお持ちなのか、聞いてきました。 

 

――懸念や期待していることは? 

 

40代(メーカー勤務) 

「期待っていうのはなかなか難しい。メーカーなので、作った物の価値をちゃんと届けたい。関税によって届けられなくなるとマイナス」 

 

 

50代(経営者) 

「小売店をやっているので、輸入した物を販売するという意味においては為替は落ち着いてほしいというのはある。株も安くなるのは困る」 

 

30代(会社員) 

「円高で一番はガソリン代。そこが一番大きく生活には関わってくるかな」 

 

20代(大学生) 

「海外旅行に行けるようになったら嬉しいので、円高には期待したい」 

 

50代(小売業勤務) 

「NISAをやっているが、外国株を買っているので今だいぶ落ち気味で、今後どうしようかなと」 

 

40代(自動車企業勤務) 

「自動車関連の仕事をしていて、生産台数の減少がかなり来ている。賃上げがなかなかしてもらえない可能性があるので、関税は上げないで欲しい。トランプさんお願いします」 

 

小川キャスター: 

まさに生活に直結しますね。皆さんそれぞれ実感があると思いますが、どうですか。 

 

トラウデン直美さん: 

実際にいろいろな場面で感じている方もいらっしゃいますし、まだ全然実感がないっていう方もたくさんいらっしゃいました。就活生の方にお話を伺ったら、「モチベーションにも繋がるので、この先の賃金の状況が気になる」ともおっしゃっていました。 

 

私もNISAをやっているので、少し目減りしているなということで今後どうなるのか気になっています。 

 

片山薫 記者: 

なかなか予想が難しく、「こうなります」とは言えないのですが、NISAや物価、賃上げについて考えるヒントです。 

 

まずNISAですが、外国株にとっては今、ダブルパンチを食らっている形です。元々株が下がっている上に、円高なのでどうしても円安のときより目減りしている。今は1ドル148円ですが、ついこの間まで158円だったので、この1か月で急変したなと感じられるかもしれません。ただ、一時的なのではないかという見方が投資家の中では多いです。 

 

トラウデン直美さん: 

この一時的とは、どのくらいなのでしょうか? 

 

片山薫記者: 

この関税の第2弾が本格化するのが4月の頭なので、それまでの間は本当に行われるのかどうかが心配。不安とともに株価も不安定になるのではないか。 

 

一方で、来週以降だんだん“トランプ減税”という景気浮揚策も出されると思うので、それとともに徐々に安心感が広がっていくのではないかという期待もあります。1か月から数か月の間は、やや不安定かなとみられています。 

 

 

■「自動車除外」を直談判 トランプ関税は日本にも 

 

藤森キャスター: 

当然株価はトランプ大統領を意識をしているでしょうし、皆さんの声を伺っても一番気になるのは物価だそうです。 

 

片山薫 記者: 

生活に直結する物価ですが、トランプ関税自体ではそれほど日本の物価は動かない。ただ円高になっていることで、これまで円安で進んでいた物価高は少し上昇率が緩やかになります。いきなり下がるようなことはありませんが、これまで勢いで上がっていたものが、少し緩やかになるのではないかという期待はあります。 

 

小川キャスター: 

トランプ大統領は「日本が円安を誘導してるんだ」という発言をしましたが、これは事実誤認でしょうか。 

 

片山薫 記者: 

事実誤認だと思います。これで円安の進む勢いはなくなると思うので、やや為替が落ち着き、150円前後で動くのではないかと期待できます。為替はなかなか予想ができないので、難しいところです。 

 

賃上げについては5日に春闘の先行妥結があり、比較的早く出た企業を見ると、賃上げ6%台後半の企業もあり、今年の春闘は期待ができるのではないかと一般的に言われています。 

 

不安なのは、これから日本車がアメリカに行くときに自動車関税がかかってくるというところです。企業の打撃が大きいので、不安視されています。 

 

トランプ大統領が「4月から自動車関税を引き上げる」と言っていますが、来週にも武藤経済産業大臣がアメリカに渡り、商務長官とかアジアのカウンターパートに対して、自動車関税の適用除外を直談判するということです。こちらも除外できる要素というのは探していると思いますが、切り札はまだ見つかっていません。 

 

トランプ大統領が、「ホンダの工場がアメリカにやってくる」と発言しています。元々メキシコで、『シビック』という売れ筋の車の新しいモデルを作ろうとしていましたが、それをアメリカの工場で作りますよというのがお土産の一つなのではないかと見られています。 

 

ただ、これで全部うまくいくかどうかはわからないため、真剣勝負だと思います。何かアメリカから買わされるといったことも警戒しなければいけないかもしれません。 

 

 

 
 

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