( 272769 )  2025/03/07 07:00:16  
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中古車市場では、中古車価格が新車価格を上回るという珍しい現象が起きている。

高級車の一部は新車購入が難しく、中古市場に大量に出回っており、価格も高い。

例えば、ポルシェ911やランボルギーニ・ウラカン・ステラートなどが日本の中古車市場で見かけられる。

新車購入が難しい高級車が中古市場に大量出回る理由には、投機的購入の失敗やディーラー在庫調整が影響している可能性がある。

(要約)

( 272771 )  2025/03/07 07:00:16  
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 中古車の世界では「中古車価格が新車価格を上回る」ケースが存在する。ほぼすべてが新車が買えない、買うのに時間がかかるモデルばかりだ。しかし、買えないほど人気だったはずなのに、気付けば市場に大量に流通…という不思議な現象が最近起きている。何が起きているのだろうか。 

 

 文:古賀貴司(自動車王国)写真:ポルシェ、ランボルギーニ、フェラーリ、ロールスロイス 

 

 最近、欲しいモノを欲しい時に買えない、という売り手市場が様々な分野で散見される。特に高級ブランドの鞄や腕時計などが顕著な例で、購入希望者は販売店に定期的に通い、時と場合によっては欲しくないモノまで購入して店員と顔馴染みになることを「修行」や「詣で」と呼ぶようだ。 

 

 一部の高級車輸入車は日本割り当て台数よりも需要が上回っており、新車の購入には"購入実績が大切"なんて話がある。そんな高級輸入車の新車購入困難時代だが、中古車市場で異変の始まりを感じつつもある。 

 

 新車で買えなかったはずの車が大量の出回っているのだ。しかも転売ヤーが狙うような"プレミアム価格"でもなさそうなのだ。 

 

 例えばポルシェ911カレラT。リアシートが取り外され装備の簡素化により軽量化され、よりスポーティな足回りと6速MTが奢られたシンプル&スポーティ・グレードとして新車時はオーダーが殺到した。 

 

 しかし、気づけば中古車市場にはなんと50台ほどが流通している。なかにはほとんど乗られた形跡がないような走行距離なものもチラホラ。 

 

 最も安いものが2023年式、走行距離6000の認定中古車で1800万円弱。新車時価格にオプション装着した価格より若干安いくらいか、ほぼ同等である。 

 

 2年落ちの中古車なのに新車時乗り出し価格とほぼ同等、と聞くと一般的な"中古車"としては高く感じてしまうが、新しめのポルシェ911であることを考慮したら、これでもお手頃価格と呼べてしまう。 

 

 

 世界限定1499台だったランボルギーニ・ウラカン・ステラ―トも50台以上が日本の中古車市場に流通している。ベースの新車時価格は3500万円弱であったが、オプションを装着するとどんどん高くなるのがこの手のスーパーカー。 

 

 そんなウラカン・ステラ―トの最安物件は2024年式で走行60(メーカー保証付き)、車両本体価格3950万円である。新車時に買えなかった人は、まさに選びたい放題の状態だ。最近、フェラーリを購入したことがない人は、なかなか新車を購入できない、という神話がある。 

 

 しかし、ローマではちょっと事情が違う。現在、120台以上が日本の中古車市場に流通している。さすがに値落ち率はさほど大きくないが、新車時登録から4年落ち、走行距離1万、認定中古車で2500万円から狙える。 

 

 4年落ちで新車時価格と同等は、フェラーリ相場の強さを物語っているが、120台も流通するのはかなり異例点。供給過多に陥る一歩前な雰囲気が漂っている。 

 

 おいそれと手は出せないが、ちょっと面白いのはロールス・ロイス初の電気自動車である、スペクターかもしれない。 

 

 なんと現在、日本の中古車市場には16台が流通していて、その多くの走行距離は1000に満たない。なかには登録未使用車もチラホラ。ディーラーが試乗車を自社登録したものが、中古車として出回っていると予想される。 

 

 「入手困難な高級車」とされていた車種が、なぜこれほど中古市場に多く出回っているのか。その背景には投機的購入の失敗や、一部ディーラーの在庫調整の動きが垣間見える。 

 

 一方、フェラーリ・ローマは需要と供給のバランスがやや異なり、実需に基づく自然な市場循環が起きている可能性が高い。絶対金額は高いかもしれないが…、条件が合う人には「朗報」と呼んでもいい状況なのではないだろうか? 

 

 

 
 

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