( 273374 )  2025/03/09 07:18:44  
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中国合弁企業の広汽トヨタが電動SUV「bZ3X」を発売し、価格が225万円からと驚きをもたらしている。

全長4600mm、幅1875mm、高さ1645mm、ホイールベース2765mmで広い室内を持ち、大人2人が快適に車中泊できるほどのゆとりがある。

航続距離によって「430」「520」「610」の3つのグレードがあり、NOA(ナビゲーション・オン・オートバイロット)と呼ばれる自動運転技術が搭載されている。

bZ3Xは中国のみの専用モデルとなるが、低価格EVが日本にも必要であり、bZ3Xの技術が生かされた日本モデルの登場を期待されている。

(要約)

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 トヨタがとんでもないクルマを出してきた。3月6日、中国合弁企業の広汽トヨタが、電動SUV「bZ3X」を発売したのだ。その価格を聞けばぶっとぶ。EVなのに225万円から!!たったの225万円から!!!こりゃいよいよトヨタが本気出したんじゃなかろうか! 

 

 文:ベストカーWeb編集部/写真:トヨタ自動車 

 

 「bZ3X」だが、もとをたどれば2023年4月に公開された「bZ FlexSpace Concept」というコンセプトカー。2024年4月の北京モーターショーで「bZ3X」という車名が明らかとなり、1年以内の発売がアナウンスされていたクルマだ。 

 

 その概要だが、全長4600mm、全幅1875mm、全高1645mm、ホイールベース2765mmという大空間型電動SUV。サイズ的にはRAV4が近いが、ボディ後端までまっすぐに伸びるルーフラインを見ただけで、車内の広大さが想像できる。実際その広さは圧倒的で、ロングドライブはもちろん、大人2人が快適に車中泊できるほどのゆとりがある。 

 

 モデル構成は航続距離によって「430」「520」「610」というグレードに大別できる。いずれも前輪駆動で、モーター出力は「430」「520」が150kW(204ps)、「610」は165kW(224ps)だ。バッテリーは中国で普及が進むリン酸鉄リチウムイオン電池を採用、容量は上記グレード順に50kWh、58kWh、68kWhと大きくなる。 

 

 しかしこんなハードのスペックを並べただけでは、bZ3Xの説明にはならないかもしれない。このクルマの魅力はむしろソフト力にある。もちろん、猛スピードで進化を遂げる中国製EVと渡り合うためだ。 

 

 その際たるものが「NOA」。これは「ナビゲーション・オン・オートバイロット」の略で、近年の中国車に搭載が当たり前になっている技術だ。 

 

 その中身だが、いってみればカーナビと連携した半自動運転。目的地を設定してスタートすればその瞬間からシステムが立ち上がり、走行はもちろん車線変更や合流といった操作を代行してくれるものだ(ドライバーの監視・操作が必要なため自動運転にはならない)。 

 

 bZ3Xは法規対応していない日本に先駆けて、このNOAを搭載した。正式名称は「トヨタ・パイロット」。中国の自動運転スタートアップ「モメンタ」と共同開発したシステムで、背後では多くのセンサー類に加えて、エヌビディアの最新Soc「Orin X」が作動している。 

 

 それだけじゃない。ほとんどスイッチ類がない車内では、インフォテインメントや車両の設定がほぼ音声だけでコントロールできる。前席後席にそれぞれマイクがあり、エアコンの温度設定や窓の開閉、調光、エンタメメニューの選択などはすべて自然言語で可能。こちらではクアルコムの車載用チップ「Snapdragon 8155」が活躍しているようだ。もちろんスマホとの連携も抜かりはない。 

 

 

 こうしてみてくると、bZ3Xの市販モデルからは中国勢と戦うトヨタの本気がうかがえる。最後に気になるのが価格だ。中国ではBYDを筆頭に、最新技術のディスカウントが進んでいるからだ。 

 

 しかしこの点でもトヨタは本気のようだ。bZ3Xのベース価格は10万9800元。日本円に直すとなんと225万円なのだ。たったの!!さすがにこの価格でNOAは付かないが、それが付く520プロでも14万9800元、307万円である。忘れないでほしい。500km走るRAV4級のEVが、だ。 

 

 実はこの価格を実現するために、トヨタはすさまじい努力をしたらしい。前述したとおり、バッテリーは安価なリン酸鉄リチウムイオンだし、一説によれば駆動系にも系列外サプライヤーのパーツを採用したと聞く。 

 

 もちろんそこには、トヨタの長年にわたる「いいクルマを安く作る」知見が活きているのだろうが、それだけではこの価格が実現できないことは、bZ4Xの最低価格が17万9800元(368万6000円)であることからも分かる。ちなみにBYDの類似モデルである元PLUS(=ATTO3)が11万5800元だから、bZ3Xの商機は十分にある。 

 

 このbZ3X、残念ながら中国専用モデルとなりそうだが、なかなか景気が上向かない日本にも低価格EVは必須。bZ3Xのノウハウを生かした衝撃的な日本モデルの登場に期待したい! 

 

 

 
 

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